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か、勘違いしないでよねっ!

「どーしようか、アレ」

 とりあえず今まで通りすね毛をブチブチ千切りながら魔女が傭兵団長に問いかけます。もうちょっとしたら●●毛に挑戦してみようかなどと密かに考えていることは内緒です。小型精霊もちょっぴりびくびくしています。彼らの姿は巨人や傭兵団長達には見えないので、その様子を把握しているのは魔女だけです。分かっていてやらせる気満々なあたり、やはり魔女です。

「参ったな。お嬢の大規模攻撃を切り札と考えていただけに、こうなると打つ手がまるでない」

「だよね~。私もさっきのが一番威力のある魔法だったし。いや、威力を上げたところで意味はないんだけどさ。となると物理攻撃が一番確実なわけだけど」

「……すね毛は論外としても、そうなると俺達の攻撃しか効かないんだよな。でも俺達だと決定打に欠けると……」

 物理攻撃が本職の傭兵団でも攻撃手段がないとなると、いよいよお手上げ状態です。

「逃げちゃう?」

 魔女的にはその選択肢が一番堅実だと思っています。

「いや。そういう訳にもいかんだろう。今はこの山脈に居座っているだけで済んでいるが、街にまで移動してきたら大惨事になる」

「そりゃそうだけど。さすがにそうなったら軍が動くんじゃないの?」

「軍で相手になると思うか?」

「……うーん。大砲でまるまる一週間攻撃し続ければ退却ぐらいはさせられるんじゃないの?」

 鉄のかたまりを飛ばす大砲ならば効果はありそうです。しかしそれをまるまる一週間続けられるだけの準備が街の常備軍にあるかというと、そこまでの期待は出来ません。

「その間に間違いなく街が蹂躙されるよな。攻撃に集中しないといけないから住民の避難もうまくいかないだろうし。やっぱり駄目だ。ここで何としてでも食い止めないと」

 決意に燃えた傭兵団長です。

「団長、素敵であります!」

「………………」

 そしてきりっとした団長の雄姿に惚れ直す部下の感動に、再びガックリと肩を落とします。

「手段がないのにどうやって食い止めるのよ。このままだとジリ貧だよ。もちろんやばくなったら私は逃げるよ」

「ああ、やばくなったらそうしてくれ。そこまで巻き込むつもりはねえよ」

「………………」

 ある意味潔い台詞に、魔女はちょっと感心しました。

「団長! おれは最後までお供します!」

「ああ……」

 愛情溢れる台詞に、格好いい決意が台無しにされています。どうにも締まらない光景でした。

「むぅ……」

 本心では彼らを見捨てて逃げ出したい魔女ですが、この面白い光景が、具体的には同性愛の行く末を見届けられなくなるのはかなり残念に思ってしまいます。

 部下の頑張りがどこまで通用するのか。

 傭兵団長は押し切られて、具体的には押し倒されてしまうのか。

 その結末を、とても、とてもとてもとても見てみたいという欲求が魔女の中に生まれてしまいます。

「仕方がない。ちょっとサービスしてやるか」

 か、勘違いしないでよね! 別にあんた達を助けたいわけじゃないんだからね! ただちょっと、ちょっと二人の愛を見届けたいだけなんだからねっ!

 ……的なツンデレ台詞を心の中で繰り返しながら、通信魔法を発動させるのでした。


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