●●爆発しろとかゆわれそう(T_T)
「よいではないか、よいではないか~」
「いやよいやよも好きのうち~」
「よいではにゃいか、よいではにゃいか~?」
宴会の席で勇者と魔女とにゃんこはおおはしゃぎです。
獣耳尻尾の美少女や美少年を追い回してはもふもふセクハラを敢行しています。
魔王と黒鍵騎士が用意した選りすぐりの耳尻尾的美少年&美少女達は、勇者と魔女をそれはそれは満足させました。
二人はキラーン! と目を輝かせて手近な耳尻尾に襲いかかります。
美少女美少年おかまいなしです。
そこに耳尻尾があれば手当たり次第です。
魔王陛下と黒鍵騎士の命により集められたコンパニオ……もといおもてなし担当者はあれよあれよと逃げ回ります。二人が喜ぶように逃げ回ります。まさに『いやよいやよも好きのうち』的有様です。
ハルマ大陸にも耳尻尾マニアは沢山いるようで、こういったおもてなしには慣れているようなのです。
「………………」
それを知らなかった黒鍵騎士は故郷の暗黒面を垣間見た気がして複雑な心境になります、もちろん自分に被害のしわ寄せが来るよりは遥かにマシなので口に出したりはしませんが。賢明な耳尻尾です。
にゃんこの方は魔女と勇者が大はしゃぎなのを見てなんとなく楽しくなっているようです。
そして小さなにゃんこは獣魔族の間でも大人気です。
「あらあら~。君可愛いわね~」
「素体は猫の使い魔ね。いい出来だわ~」
「このままこっちに住み着いてもいいくらいよ」
「にゃう~。ぼくはますたぁといっしょにいたいからだめだよ~」
お姉さんの膝枕や胸の谷間に顔を埋めるという、非常に美味しい役割をこなしながらも、その価値が分かっていないようです。
世の男達が見たら殺意を憶える光景かもしれません。
●●爆発しろ、とか言われそうです。
「おー。にゃんこはホントに魔女が好きなんだな~」
勇者が後ろから羽交い締めにします。どうやら制裁のつもりのようです。もちろん力はほとんど入れていませんが。
「だいすき~」
耳をぴこぴこさせながら答えるにゃんこです。素直すぎます。
「よいではないかよいではないか~」
「ひょわーっ!?」
その横では魔女が美少年耳尻尾をなでくりまわしています。
胸板や太もも、尻までお構いなしです。
地球世界でこんなことをしようものならたちまち手錠がかかりそうなセクハラ具合です。
「その魔女の方は浮気真っ最中だけどなぁ」
勇者がその光景を眺めながらにゃんこのしっぽをなでなでします。
「えっとね、うわきじゃないんだって。ますたぁがいってたよ」
「ほう? じゃあ何って言えばいいんだ?」
勇者の膝の上に乗ったにゃんこが得意げに胸を張ります。質問に答えられることがなんとなく嬉しいようです。
「『はくあいしゅぎしゃ』なんだって! かわいいものをこよなくあいするのにいちずなきもちはじゃまなんだってってたよ。かわいいものはみんなすき。あれもこれもみんなすき。ひとりにしぼるなんてもったいない。ぜんぶあじわいつくすべきだ! っていってたよ」
「………………」
子供になんて事を吹き込みやがるんだあのくされ魔女! とついつい声に出しそうになってしまいましたが、もちろん堪えました。魔女はともかく、にゃんこの夢を壊すのは勇者も気が引けたようです。
自分もにゃんこの耳尻尾を通してそっちの萌えに目覚めてしまった以上、ある意味では魔女に感謝しなければならないとも考えています。
客観的に見ると実に見当違いな感謝のような気がしますが、そこは深く突っ込まないでおきましょう。
そんなこんなで、魔王の報酬に勇者も魔王もにゃんこもとっても満足して、つやつやてかてかのほっこほこになって帰るのでした。




