006:合流 ~PV不採用NG集~
はい現在、サクラちゃんに言われて公式のイベントPVを視聴してます!
なんでもいいけどゲーム内でも桜ちゃんはサクラちゃんだったよ、ボクと同じで本名全開だ!
『キレちまった』
ぁぁぁああああ!
映像で流れる自分の醜態に、思いっきりサクラちゃんの頭をなでなでする。
「こころぉ、私の頭が禿げる」
「大丈夫、大丈夫だよぉ」
「それって私の頭が? それともこころのPVが?」
イベントPVにはボクが悪の首領ヘルエルと邂逅する手前から流れていた。
つまりは空から落ちるところから。
つまりは最初からだね!
テンションおかしくなるって。
「うぅ~、これって事前に起用していいかとか確認こないんだね……」
「実は利用規約に含まれてるんだなぁ。私は読むけどこころは読み飛ばすタイプだもんね。でも安心してよこころ! すごくかっこよかったよ! だから魔法少女になって?」
サクラちゃんのキラキラした目に迫られてもう無心で魔法少女になる。
こうやって見るとやっぱりボクはブラックだけど、サクラちゃんは明るいピンクでザ・正統派魔法少女って感じだ。
こっちを起用してよ謎運営ぃ!
「ブラックもよき、ブラックこころもよき……」
流れるように膝枕に移行するサクラちゃんを撫でながら、ボクも気持ちを落ち着かせる。
もうイベントPVに使われちゃったことは仕方ない、利用規約にもあったならそれは見なかったボクの責任だ。
まぁしっかり見ててもゲームをやらないって選択肢はなかったけど。
ともかく!
いつまでももじもじしてても仕方ないよね、せっかくサクラちゃんと遊べるんだから楽しまないと。
「サクラちゃんはボクがいない間どれくらい進めた?」
「およ、復活した? それじゃ運営公開PV不採用NG集は一旦消してと……」
「待って」
ボクの膝の上でなにか操作してるなぁと思ってたら、そんな面白そうなの掘り出してたの?
見せて、ボクに同類のはしたない姿を見せてぇ!
全力でサクラちゃんの頭をなでなで擦った。
「わかったわかった見せるから! 私ゲームの中で禿げたくない! 禿げプレイは見るのは楽しいけど自分でやるのは嫌だ!」
「女の子だもんね」
「優しく撫でてね」
全力をソフトな感じに変更しつつ、未だ膝からどく気のないサクラちゃんを待つ。
さぁて、NG集って話だけど、一体どんなおもしろ映像でボクを慰めてくれるのかな。
1つ目。
『俺はお前を許さない! この勇者さまがお前をぶっ殺して世界を救うんだ! 覚悟しろ悪の首領ヘルエ──』
……いや最後まで言わせてあげてよ悪の首領ヘルエル!
興味なし、眼中になしって感じで事務的に殺しとるがな。
これはあれだね、PV採用狙い過ぎて薄っぺらいのと、勇者とか言っちゃったのがいけない。
この世界でボクたちは魔法少女で、勇者はフカオスのほうでのプレイヤーの呼び方らしいからね。
ゲーム的にも王道ファンタジーのほうが彼には合っていたんじゃないかなぁ。
さて次、2つ目。
『負けイベントとか逃げるに限るでしょ! これ俺だけ逃走成功で特殊ルート解放あるんじゃn』
はい死んだ。
あぁ~でもなるほど、よくゲームのお話である特殊ルートとか隠し要素で最強育成とか、そういうのを狙ったプレイヤーなんだ。
実際どうなんだろ、この人は普通に倒されたけどこのゲーム個人で覚える魔法が千差万別っていうユニークさがあるから、そういう要素があってもおかしくはない……のかな?
それを狙って自分の行動を制限しようとは思わないけど。
さて次、3つ目。
満足してきたしこの辺で最後にしようかな。
『んまぁっ! このイケボ、生で聞いて確信しましたわ! わたくしの魅了魔法でイケメンゲットですの! これで世界を救ってわたくしも幸せな家庭を……あら? これギガントギアだと魔法使えないんですの? そんな!? 魅了魔法がないなら口説くしか……そんなはしたないこと淑女がしてよろしくって!? あぁダメですわいけませんわぁ~!』
『……おもしろい女だな』
『あらそれならわたくしとこの後食事でも──ア゛ッ!?』
……濃いなぁ!
そしてやっぱり死んじゃったなぁ!
最後の最後に求めてたおもしろ映像出てきたよ。
魅了魔法でイケメンゲットはそういうジャンルの悪役ヒロインに多いのに、なんだろうこのお嬢様感強いプレイヤーの憎めなさ。
むしろ応援したくなる……!
3本のNG集の中で唯一悪の首領が反応してるし、おもしろい女判定はゲームがゲームならヘルエルルート突入なのでは?
ボク彼女とヘルエルの先の展開が気になります……!
「こうして見るとやっぱりこころのPVは選ばれるわけだよねぇ! なんていうか、悪の首領ヘルエルが抱えてそうなストーリー? が一番進行してそうな感じするもん。私はそういう意味だと全然だったなぁ」
「そういえばサクラちゃんはどんな感じだったの?」
「私ぃ? ベータテストから引き続き扱いなのか、ヘルエルに「戻ってきたのか、魔法少女サクラ。また私に抗うか?」って言われたよ。その後は再戦に熱くなっちゃって、戦い挑んだらまた負けちゃった」
「運営選ぶ人間違えてない? もう完全に主人公じゃんか」
いやいや、因縁の再会で因縁の対決、PVにするなら絶対そっちでしょ。
ベータ前提なのがダメだったのかなぁ……?
「ま、PVも魔法少女こころも堪能したし、そろそろ軽く学院回ってみる?」
「あぁ、そっか。この魔女学院で師匠探しから始めるんだっけ?」
「そうそう、まぁ焦らずゆっくりがオススメだけど。師匠によって魔法がどう育つかも変わるからよく見極めないとなんだ」
身体を起こして立ち上がったサクラちゃんに合わせてボクも立ち上がる。
衣装も目立つからデフォルト私服に戻しとこっかな。
辺り見渡してもやっぱりブラックはいないんだよねぇ。
リアル時間もまだゲーム開始から1時間ちょっとだし、あともうちょっと遊べるかな。
それじゃ学院探索いってみよう!




