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005:合流 ~PVまじ?~

 初っ端から濃いチュートリアルを終えて。


「んじゃ報告かねて魔女学院、いっちょいってみっか!」


 今度はらっきーの案内が始まるようです。

 いやまぁ、フィールドに制限とかないし強制力もなさそうだから好きに動いてもいいんだけど、まぁ順当に進めようかな。

 変に寄り道してると今でも待たせてるサクラちゃんをもっと待たせちゃうことになりそうだしね。


 ところで魔女学院って?


「らっきー、魔女学院ってなに?」


 歩き始めながら隣で私服姿になったらっきーに聞く。

 ボクも気付いたらデフォルトの味気ないシャツとズボンになってるけど、らっきーのほうはパーカーにホットパンツとなうを生きる女子高生って感じ。


 ……らっきーって女子高生でいいんだよね?

 魔法少女っていうくらいだし、上も下も装甲が中学生って感じしないし間違いないよきっと。

 これでオラ中学生とか言い出したらちょっと運営に電話しちゃうね。


「魔女学院はオラも通う魔法を学ぶための機関だお~。普通の学校と違って教室とかクラス分けがあるわけじゃなくて、自分で師匠を見つけてその人から魔法を学べる場所かなぁ。設備とかはしっかりしてるし、利用しといて損はないよ」

「ふーん? 結構自由……あんまり学業だけに縛られないようにってことかな……?」


 らっきーの説明だと決まった時間に決まった授業とかじゃないみたいだし、やっぱりそこはゲームってことで自由に行動できるようになってるのかも。

 如何に没入型VRでも、いや完全没入型VRだからこそ1日机と睨めっこは辛いもんね。

 ボクもそういうのはリアル学校だけでいいかなぁ。


「因みにらっきーにも師匠はいるの?」

「いるよぉ。いい歳したおばさんがうさ耳つけてぴょんぴょん言ってるから会ったらすぐわかるよ」

「それは間違いなくわかるね!?」


 濃いなぁ!

 この世界!

 運営の趣味全開で作ってるんじゃなかろうか。


 とからっきーと会話をしながら街を歩く。

 今はリアル夜でゲーム内でも夜だ、この辺の時間設定はちょっとづつずらしていくって話らしい。

 深夜ログインで店閉まってるとか悲しいもんね。


 ……と、そんな心配をしていたんだけど。


「綺麗……」


 歩いてきた街の中は確かに閉店してるとこが多かった、けど。

 辿り着いた学院の敷地内は色とりどりの光の玉がふわふわ浮遊していてどこも常に明るい。

 それになりより活気がある。

 学院って名前だけどこれはもうもう一つの街だよ。

 そもそも校舎らしき場所が見当たらないんだ。


 歌声の聞こえる水晶の森とか。

 動物たちが賑わうもふもふの楽園とか。

 大根同士が格闘し歓声が響く畑とか……ツッこまないよ、ボクは視線を逸らすから。


 とにかく如何にも魔法で溢れてますって場所が、今ボクの目の前に広がる魔女学院だった。


「それじゃ新米ちゃん、オラの案内はここまでだ。ここから先は新米ちゃんが自分の足でこの学院を巡って、師匠を見つけて弟子入りして、そして君だけの魔法(物語)を紡ぐんだよ」


 現実じゃ見られない、けれど現実として見られる没入型VRの光景に感動しているボクにらっきーがお別れを告げる。

 そっか、ここはボク以外にもプレイヤーがいるはずの空間、なのに今は見えないってことはまだ専用フィールド内ってことなんだ。

 ここでこの世界に一人しかいないらっきーとお別れすることで、いよいよボクも本当の意味でこの世界に一歩を踏み入れる。


 チュートリアルの出来事ってらっきーは覚えててくれるのかな……?


 普通に考えてプレイヤー何万を全部らっきーが記憶するとかないだろうし、無理なのかもしれない。

 でもそのときはまたらっきーに会いに行って友達になればいいよね。


 ボクはらっきーに向き直って手を差し出した。


「改めてボクはこころ。また会おうね、らっきー!」

「うん、新しい魔法少女をオラは歓迎すっぞ! また会おうねぇこころ!」


 笑顔で握手をして、軽くハグをする。

 手をブンブン振って元気に走り去っていくらっきーの背中を、見えなくなるまで見送った。

 本当に同じ人間にしか見えないんだから、この世界は別の意味でも没入型だ。


 と、らっきーの背中が見えなくなった途端、耳に比較にならないガヤガヤが届く。

 どうやら専用フィールドはここまで、オープンフィールドに変わったらしい。


 視界にはさっきは見えなかった筋肉もりもりの魔法少女(男性)やイケナイ雰囲気を醸し出す魔法少女(熟女)が陽気に行き来している。

 すっごい世界だぁ。


「こぉこぉろぉぉぉ!」

「……ん?」


 なにやら見知った声が突撃してくる。

 あれはサクラちゃんだぶへぇっ!?


「なんで私服姿なの!? 私に魔法少女こころを拝ませてよぉ! イベントPVだけじゃ栄養を摂取しきれない!」

「お、おぅサクラちゃん……遅くなってゴメンネ……」


 突撃からの腹にダイブ、効いたぜこりゃあ……。

 ボクのお腹に頭をぐりぐり押し付ける幼馴染を撫でながら、この世界で無事合流できたことにホッとした。

 学院も広いしプレイヤーも多いしもっと時間かかっちゃうかと思ってたよ……って、ん?


「サクラちゃん、イベントPVってなんの話?」

「およ? こころ気付いてない? こころのチュートリアルイベントシーン、運営に気に入られてPVに起用されてるよ?」

「……まじ?」


 まじ?

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