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新たな出会い

 俺たちは村で風馬と直幸は片手剣を購入。武器や食料を最低限揃え、目的の山へ向かった。

 道中にはいろんな魔物もいるし、何しろ俺たちは犯罪集団で顔も割れている可能性がある為、いつ兵士や騎士に襲われるか分からない。

 注意を払いながら長距離の移動をすることになっている。

 それは神経も使うし、確かに1日じゃ厳しいかもしれないな。


「なぁ風馬どうしてこんな山奥に拠点を構えてるんだ?」

「それは、着いてからのお楽しみさ」


 そういって風馬は疑問を隠そうとする。


「どうやってあそこから通ったり、情報収集しているんだ?」

「その仕組みも着いてからのお楽しみさ」


 どうやらよっぽど面白い仕組みになっているのだろう。

 俺は知っておきたいことをどんどん風馬に質問していく。

 11人の聖騎士についての事だ。

 今、分かっている聖騎士はクラン・ジ・ルーゴ、ラ・ジーマ、マリアナ、この三人だけだ。

 ラ・ジーマが倒されたと知った他の聖騎士は次々と俺たちに襲い掛かるだろう。やつらとは今後もっと戦う事になるだろう。敵を知っておくのも戦略の内だ。

 風馬に聖騎士の概要を尋ねた。

 風馬によると、11人の騎士は名前や性格、行動や経歴などの情報は分かっているが能力の情報量はとても少ないそうだ。

 クラン・ジ・ルーゴは超再生、既に倒したがラ・ジーマは伸縮、それにマリアナの冷気操作、分かっている情報これだけだそうだ。

 他、9人の情報で分かっているのはまだ5人だけだそうだ。

クライス・フォン・アルヴヘルト、クラント・ダリーマ、グラス・グライア、ナターシャクリファス、ジュリア・アラクラットの5人だ。残りの4人はまだ謎が多く、分かっている事や情報が少ないようだ。


「能力は分かっていることは無いのか?」

「そうだねぇ能力は前に言った通り、数人の能力が開花された事だけを知っただけであり、能力は分からないんだ。」

「なぜ、開花したことだけが分かるんだ?」

「それは、これから行く場所ですべてわかるさ。僕たちの拠点を見るとナタシア君も直幸君も驚くと思うよぉ?」

「なら楽しみにしておくよ」


そういって、俺たちは弱い魔物を蹴散らしながら着々と進む。

俺たちは感覚的には7時間くらい歩いた。今の時間は、大体3時くらいかな。

 進んでいると俺たちは一つの村が見えた。


「あそこの村で今日は一度一泊するかい?」


 風馬が問いかけるとグレイは賛成して、


「夜になると、この辺魔獣が多いから、ここで一泊していくのはいいかもね。それにここから目的地までの泊まれる場所が無いからね」


 と答える。

 だが直幸は何かに気が付く。

 そう、その村は黒い煙が上がっていたのだ。

 初めはただの煙突の煙かと思った。だが村にしては煙の色と煙の量が明らかに多いような気がした。


「なぁみんな。あの村何かおかしくないか?」

「確かに何か変ね。火事かしら」


 そうグレイが言うとナタシアが反応する。


「あれはッ!?」


 何かトラウマを思い出したようにナタシアは涙が零れてくる。

 風馬は迫真な表情で、


「とにかく行ってみようッ!」


 と言って、先陣を切って村まで走った。俺たちは風馬の後を追いかけるように走っていった。

 村に着いた。だがその村はひどい有り様だった。家は焼け焦げ、村人は逃げ回っているところを、兵士が一人一人確実に殺しに掛かっていた。


「いやだ…いやだいやだいやだッ!」

 ナタシアはすごく怯えている。

 風馬はその状況を見て、


「みんな!すぐに隠れろ!」


 と言って草むらに身を潜めた。

 すると一人の重装備な鎧を着た大きな体付きのした騎士が歩いていた。

 小声で風馬は言った。


「あれは、聖騎士だ。今の現状では奴に勝てないだろう。だから身をひそめるんだ!」


 とナタシアの精神状態を見て言った。

 すると、その聖騎士は親を殺され、腰を抜かして泣いている獣人の少年を見て、ゆっくりと近づき、剣を抜き、その少年の首を斬った。


「クソ!」


 怒りが抑えきれなくなった俺は、草むらから出て、持っている剣でその騎士に斬りかかろうとすると、風馬が直幸の手を引っ張り、


「馬鹿野郎!抑えろ!今出ていくと、僕たちは一瞬で殺されるぞ!僕たちの目的を忘れるな!」

「だけど、こんなものを見せられて、黙ってみていられるはずがないだろう!」


 俺は、草むらから飛び出し、


「おい!クソ野郎!」


 と叫ぶ。

 その騎士はこちらの方を向、騎士は剣に炎をまとわせ、こちらに斬りかかった。

 目にも止まらぬ速さで斬りかかる。

 だが直幸は、その速さの剣を偶然、防ぐことができた。


「罪のない人や子供を殺してお前に何があるってんだ!」


 俺は騎士の剣を受け流し、背後に回り込み、その騎士を斬ったが剣が折れてしまい、攻撃を与えることは出来なかった。

 剣が折れたその理由は奴がまとっている鎧だろう。その鎧は近くにいるだけで脱水症状になりそうなくらいにまで伝わる熱気がある。

 剣が折れた断片を見ればよく分かる。断片は赤く光っており、熱に耐えきれなくて折れたのだと推測する。

 鎧を着た騎士は言った。


「私に勝てるのは我が忠誠の主、王だけだ」


 そう言って、騎士は剣で直幸の腹部を刺す。


「ッ!」

「直幸ッ!」


 風馬が叫ぶ。

 俺はバカだった。たった一人の人間ならば、同じ種族の人間である俺が止められないはずが無いという考えがあったからこそ動いたのだった。だがそれは間違いだ。

 相手は既に普通の人間では無かった。

 そもそもこの世界は前に居た世界とは違うんだ。そんな常識が通じるはずも無かった。

 だがそれでも俺には耐えられなかった。


「ほう、まだいたのか。次は貴様らを殺してやる。その前に、私の剣を防ぎ、かつ私に攻撃が出来たことに称賛し、貴様の名だけを聞いてやろう」

「お前になんかに知られる名前なんてねぇ!人殺しのサイコ野郎!」

「ならばもう良い」


 そう言って騎士は俺の腹部に刺さっている剣で腹部を斬り裂こうとしたその瞬間ッ!

 一瞬の光の光線が俺の背後から騎士の左肩を貫いた。

 その光線の先を見てみると一つ、普通の矢が刺さっていた。


「誰だッ?!」


 その光線を放った先の方向を見るとそこには黒いフードを着た男が弓を引いて立っていた。


「私の鎧を貫いたことは褒めてあげましょう。ですがたかが弓兵が全線に飛び出すのはただの無謀ですよ」


 そういって、騎士はそのフードの男に斬りかかった。

 男はすかさず矢を騎士に向けて放った。

 騎士はその光線の速さの矢を剣で弾き飛ばした。


「ふん、この程度弾くのは造作もないな」


 騎士は矢をものともせず、フードの男の元へ距離を詰めた。


「いくら、矢の力が強くて弓兵としてはなっていないようだな。もそもそも弓兵というものは距離を取って戦うものだ。距離を詰められてはどうしようもできないでしょう!」


 フードの男は、向かってくる騎士を前に一歩も引かずに次の矢を引いた。


「甘い!それはもう見切っている!」


ードカァァァァン!!!


 騎士がフードの男の元へ踏み込んだ瞬間、足元の魔法陣が光だし、爆発を起こした。


「俺が、何の仕掛けをしてないとでも思ったか?

あんたが言う通り、弓兵は距離を取って戦うものだ。だがそれが出来ない環境であれば、策を講じて戦うまでさ。それにお前は単純で戦いやすかったぞ」


 男は、追い打ちで騎士に向けて矢を放った。だが騎士はその矢を弾いた。

 騎士は体制を立て直し、手の平を広げ、男の方へ向けた。

 騎士の手から破壊光線並みの速さに高火力の炎が男を襲う。


「危ない!」


 風馬がフードの男を突き飛ばして、攻撃を避けた。

 男は風馬に「ありがとう」と言ってもう一度矢を引いた。

 そして風馬は自分とフードの男のデコイを3人分づつ展開する。


「ほう、変わった能力を使うのですね、ですが私の前では意味が無いことを証明させてあげましょう」


 そういって騎士はすべてのデコイを炎で焼き払った。その瞬間フードの男の矢が騎士に放たれる。

 「無駄だ」といいながら騎士は放たれた矢を弾く。


「なにィ!?」


 もう1本、さらにもう1本と、複数の矢の光線が軌道を曲げて、騎士の鎧を貫いた。


「ナイスアシストだ」


 男は風馬にグッジョブと言わんばかりに親指を立てている。

 そう、風馬は軌道を曲げた矢をデコイで複製し、相手を困惑させていたのだ。


「「アルヴヘルト様!大丈夫ですか!」」


 二人の兵士が騎士に寄ってきて騎士アルヴヘルトの肩を担ぎ、逃げようとする。


「アルヴヘルト様!撤退しましょう!これ以上戦ったら死にますよ!」


 一人の兵士が撤退を呼びかける。


「クソぅ!貴方たちはいつか殺す。騎士を愚弄するものは必ず殺す。

撤退だぁ!全員引きますよ!」


 アルヴヘルトがそう言うと、村で殺しまわっていた兵士約10名が集まり、アルヴヘルトを守るように去っていった。

 風馬は「はぁ」とため息をつきながらキアラスから貰った白い液体の入った瓶を取り出し、俺の腹部の傷に掛けた。するとゆっくりと傷が塞がっていった。


「すまない」


 そう俺は風馬に謝ると風馬は、


「良いって、僕もあれには耐えられなかった。結果オーライさ!でも次から気を付けてね」


 風馬は明るい表情で言った。

 そして俺はフードの男に礼を言った。


「あの…ありがとうございました」


 俺はフードの男にそう言った。

 するとフードの男はフードを外した。青い瞳に橙色の髪の青年だった。


「なに、君の勇気ある行動が気に入って助けたまでだ。

だけど君、あれは無謀すぎるよ。命は有限なんだから」

「すみません」

「俺は一流の弓兵、シーゲルソン・リリクラット。あんたは?」

「俺は斎藤直幸で」

「僕は伊藤風馬。であちらの二人が」

「グレイよ」

「ナタシアです」

「君たちは何?冒険者?旅人?」


 とリリクラットは風馬に尋ねた。


「まぁそんなところかなぁ~」

「そうか!俺も旅をしている途中なんだ。たまたまこの村を通りがかった人間さ。

で、あんたら、あの騎士に喧嘩吹っ掛けるという事はあの国のヤバさを知っている感じか?何か知っていることがあったら教えてくれ!」

「うん、いいよ!」

「いのかよッ!」


 思わず突っ込んでしまった。

 なぜならあの国の内情を知っているのは俺たちだけだ。それを提供するのは色々とまずいのではないか?

 そう思ってしまうのだ。


「助けて貰った礼に情報は教える。ただし、条件を出していいかな?」

「俺にできることならばいいさ。で、条件は?」

「この情報はあの国の機密情報であり、他言無用の内容である。だからこちらのリスクも大きいのさ。

で、教える代わりにこの条件を呑んでくれないかな?」

「ああ、約束しよう。」

「では、詳しく話していこう」


 リリクラットは条件を呑んでくれた。

 そして風馬は今までの全てでは無いが、ある程度の情報を話した。ところどころ嘘も混ざっていた。

 どんなことをやっているのか、詳しくは話さなかった。詳しく話そうと言っておきながら嘘の情報も流し込むとはさすが風馬汚い。


「へぇ、あの王がねぇ、そんなことをしようとしているとはねぇ。ますます許せねぇ。俺はあの国の兵士に妹を殺されてな。復讐でもしてやんねぇ気が済まねぇ。

それで…あんあたらはその拠点とやらに向かっている訳か。」

「そうそう。で、この村で一泊していこうって言う話をしていると」

「この状況にあったわけか。

 俺は、君たちの向かっている村に用があってね、丁度あの岩陰に馬車を隠してるんだ。一緒に乗っていこう、そうすれば一気につくだろう」

「それはありがたい。では今すぐ出発しよう」


 風馬とリリクラットだけで話がどんどん進んでいく。

 ナタシアは破壊された村の家を眺めている。

 やはり自分の村が潰されたことや、辛いことを思い出したのだろう。今はそっとしておいてあげよう。そりゃ故郷を燃やされるとなるとトラウマになるだろう。

 風馬とリリクラットは馬車に乗り込んだ。


「おーい、行くよぉ!」


 風馬は今にも出発しそうな勢いだが俺はまだこの村でやり残したことがある。


「風馬!やっぱりこの村で今日は一泊できないか?」

「どうしてさ?」

「この村で生き残りの人がいるかもしれない。せめて確認だけでもさせてほしい」


 そう、まだ助けを求める者がいるかもしれない。まだ生き残りがいるかもしれない。可能性が少しでもあるのなら、確かめたい。


「もういないだろう。早く行かないと奴らが戻ってくるぞ」


 リリクラットは早く行かんとするように馬車を引く。

 だが直幸は家の瓦礫や岩など少しずつどかしてゆき、生存者がいないか確かめていく。


「直幸君、僕も協力しよう」


 風馬が馬車から降り、直幸と一緒になって瓦礫をどかす。

 そしてグレイ、ナタシアも一緒に手伝ってくれていた。

 リリクラットは「はぁ」とため息をついて、馬車で待機している。


「分かった、俺も手伝う」


 馬車で待機していたリリクラットも一緒に手伝ってくれるようになった。

 それから、数時間。夕方になるまで、村の隅々生存者がいないか探しまわり、数人生存者がいた。

 幼い男の子が3人と女の子が2人に、若い青年が2人と3人の少女と老婆が1人、そして1人の爺さん計12人の人が生き残っていた。それ以外は死んでいたか、火事で一緒に燃やされてしまった可能性が高いとみる。

そのうち重症者が青年の1人と老婆の1人の2名だ。

風馬はキアラスから受け取っていた液体瓶を取り出し、ひとまず重症者の治療を行った。


「これは、キアラス・イーラという女性が独自で開発した、即効性の高い回復薬だ。

あの人いわく、調合の素材がレアもので滅多に作れないと言っていたが、緊急事態だから使う。それに丁度2つあったんだ。使えというキアラスの計らいだろう」


そういって風馬は回復薬を重傷者たちに掛ける。

すると俺に掛けた時のように彼らの傷口がみるみる塞がっていく。


「ん…助かったのか?」

「この老いぼれにもまだ生かしてくれるのかい?」

「そうさ、まだ生きる使命がこの世にはあるという運命なんだろう」


 二人は助かったことに歓喜するが、同時に故郷が潰された悲しみが込み上げて泣き崩れる。

 今まで住んできた故郷を潰されるのはとても悲しいことだ。一緒に生きてきた者や、友人、恋人や親、大切な人はたくさんいるはずだ。

 ナタシアもこういう風な光景を体験し、怖かったのだろう。

 その中でも、ナタシアは救助活動に乗りきったことは精神の成長ともいえるだろう。

 だが、こんな光景は二度と見せたくもないし、見たくもないな。


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