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ダイヤの月  作者: むらまき雀
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2.放課後の出会い

 よし、と気合を入れたのはいいもののどういうタイミングで話しかければいいものか、と悩んでいるうちに放課後になってしまった。

 これに千里は焦った。昼間ならば休み時間姿が見えなくても授業があるため教室に戻ってくる。しかし放課後ともなると、どこに行ったらいいものか皆目見当がつかない。

 千里は当てもなくさまよっていた足を止めた。やはり今日はもう諦めたほうがいいのだろうか。これ以上探し回っても時刻は午後五時を回っている。当の本人がいないとなれば全くの無駄骨だ。

 静まり返った廊下を夕日がオレンジに染め上げる。半分開けられた窓からカキーンという小気味良い音が聞こえた。




 ガラッと教室のドアを開けるとそれは聞こえてきた。

「遅かったね」

千里は予期せぬ出来事に踏み出そうとしていた足を止めた。

 

 誰が予想しただろう。今日はもう諦めて帰ろうと、鞄を取りに教室のドアを開けると、そこに散々探し求めていた御仁が涼しい顔をして窓に寄りかる姿があるなんて。

放課後の教室。二人きり。

なかなかに乙女心をくすぐる展開ではあったが、薄暗い室内に彼の真っ黒な様相も相まって不気味な雰囲気が醸し出されている。正体はわかっているが怖すぎる。おまえは座敷わらしか。

タラリと冷や汗が千里の背中に流れた。

 

 千里が驚きのあまり止めていた息をつくと座敷わらし、もとい水無月鴉は静かに言った。

「大丈夫?」

大丈夫なものかばかやろう、と声を大にして言いたい。がいかんせんこの急展開に頭が付いていかない。

「うん。だいじょーぶ」と即席の愛想笑いで繕うが、ちょっと待てと何かがささやく。千里の脳内では先ほどのチラリと聞こえた水無月の台詞がリフレインされていた。

 そうだ、先ほどこの男は「遅かったね」と言わなかったか。それはつまり千里のことを待っていたという意味で、さらに言えば千里が自分のことを探していたことを知っていたということにならないだろうか…。最近の彼の視線に加え千里の行動を見越しての行動…。千里の脳裏にはチラリとストーカーという文字が浮かんだが、あたっていたら怖すぎるので見なかったことにした。


 思わず黙り込む千里をしり目に水無月は淡々と言った。

「そろそろ君がやってくるんじゃないかと思って待っていたんだ。町田千里さん。思いのほか時間がかかった様だけどね」

 千里は思わず手のひらを握りしめた。

視線の先の薄闇にたたずむ彼は、昼間の物静かで目立たない少年ではなかった。もっとずっと存在感のある光をたたえた瞳の目立つ少年がそこにいた。




話が進みました~。ううん、書きたいシナリオはできてるのにそれを改めて書くとうまく言葉が出てこない。不思議だ~。

今回も読んでくださった方に感謝!

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