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ダイヤの月  作者: むらまき雀
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1.水無月という少年

 水無月みなづき からすは少々変わった少年だった。


 奇怪な言動や奇妙な容姿をしているというようなことではなく、ただその存在感の薄さという点でのみ周りを不思議がらせた。

それはもともと彼が持つ印象などがそうさせるのかはわからないが、彼が日の光を避け日蔭へとよっていく性質がそれに拍車をかけているのは明らかだった。

 といっても、別段色素の薄い色をもつでもない彼がなぜ日の光を避けるのかは誰の知るところではなかったし、彼も誰かに話したそうなそぶりは見せなかった。ただ話す人が周りにいないだけなのかもしれないが。

 

 ともかく、彼はクラスの端にひっそりと存在する物静かで目立たないクラスメイト、というのが新クラスになって四日目の皆の見解だった。



 そうだ、そうだったはずだろう。

 苦手な数学の時間。刈ったばかりの襟足がチリチリするのは、進級してより一層理解不能に陥った数学にビビっているわけではない。断固主張する。原因はそう、水無月鴉だ。

 

 特に接点があるわけでもない千里と水無月は新しいクラスになってから一度も話したことがない。それ以前然り。大体にして彼の姿を意識化に入れることさえあまりない千里にとってはまったくもってよく分からない展開にただただ困惑していた。

 私が何したっていうのだろう。思わず出てしまうため息も本当に勘弁願いたい。

 新学期早々たまる心労。数学教師から紡がれる数字も全く頭に入らない。新手の呪詛のようだ。

 

 ちらり、と彼を盗み見る。名前の通り濡れ羽色の髪と瞳。そのコントラストで肌がやけに白く見える。真っ黒の詰襟も相まって本当に鴉みたいだと千里は思った。

そっと、伏せていた瞳がこちらを向いた。千里は急いで視線を戻す。驚いた。一瞬捉えた瞳はどこまでも真っ暗で光が見えているのか不思議なほどだ。

 しかし、何かが心に引っかかる。ただまっすぐにこちらを見る目。何か言いたいことがあるのだろうか。ここは勇気を出して一度彼と話して見たほうがいいかもしれない。平和な学校生活のために。


 いまだ続く数字の朗読を聞きながら、千里は背中にあの視線が注がれているのを感じていた。


書くのって難しい…。続けてればみなさんのように素敵な文章が書けるのでしょうか???

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