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ふたり



川色歩夢は、内なる声を信じて華川檜を

連れ、吉田守の家にたどり着いた。


インターフォンを鳴らす。


ピンポーン…。


直後、扉が開いた。


扉を、開けたのは守だった。


すでに絵は完成していた。


部屋に入ると、

壁にかけられたキャンバスに、


守の直感で描いた絵があった。


背景が薄暗い夜で


手足を縛られた小さな少年が、


湖に漂う姿だった。




その絵を見た華川檜は、

悲鳴も上げずにその場に

泣き崩れた。


なぜ彼女がこの絵を見て

これほどまでに取り乱すのか…

歩夢には疑問に思う。


しかし、今はそれを問うよりも、


守の描いた絵の真実を知る事が優先だった。



守の身体が震え床にへたりの座り込む。


そして起き上がると雰囲気が

一変し、佐賀剛に切り替わった。


佐賀剛は優雅に絵の前に立ち、

その守の感じた音を描いた絵を

読み解き始めた。



「うぅむ、。」


「そぅか…。」


「いや、違う。」


「………なるほど。」



「最悪だね。」

佐賀剛はそう呟いた。


「この少年は、すでに亡くなっている。」


「この少年を殺害した人物は

だね。」


「君の妹、菜緒さんを殺害した人物と、

同一である可能性が高い。」



佐賀剛は、


そこで一度言葉を切り、


泣き崩れる檜を見た。


「そして、君は、この少年の母親だね。遺体がどの場所にあるか、知りたいかい?」


檜は、と「はい。」

拳を握り締め力強くうなずいた。



佐賀剛は、手元にあった紙を

二枚取り出す。


一枚には、少年が浮かぶ湖の

場所を示す地図を。


もう一枚は歩夢に宛てた

メッセージを書いて渡す。


佐賀は守に変わる。


すると小さな画用紙に


取り憑かれた様に何かを描く。


その絵は、黒い翼を生やした

歩夢が、檜に寄り添う姿だった。


歩夢は、守の絵を見て、

直感的に悟った。


「守。檜さんを手伝うことが、執行人に

たどり着く近道なんだな?」


守は,鉛筆を強く握り絞め

コクン、コクンとうなずく。


佐賀剛に渡された地図を

檜は震える手で読む。


そして歩夢は、

佐賀剛から渡された

もう一枚の紙を開いた。


そこには、万年筆を使い

走り書きで以下の言葉が書かれていた。


執行人は、君の過去と深い因縁を


持つものである可能性が高い


死ぬなよ、歩夢。


守はいきなりパタンとフローリングの

床に寝転がりそのまま寝てしまう。


歩夢は、近くに椅子に掛けてあった

タオルケットを、守にそうっとかける。



そして


歩夢は、華川さんの車に


乗り込む。


「静岡の青木湖に行きます。」


華川は、車のエンジンをかけ


走りだす。


歩夢は、道中、華川さんに


問いかける。


「何故、僕を庇って嘘の証言をしたのですか?」


華川さんはその一言に

眼を見開く。


「歩夢さん、あの時の事、

覚えていないのですか…。」


「あなたのおかげで、私は殺されなかったのです。」


歩夢は、何の事を言っているのか理解ができずにいた。


ドクン。ドクン。


脈を打つ度に頭に釘を刺された様な痛みが走る。


まぶたを閉じると


男性が女性の首を絞めている。


女性は


「あ…なぁ、たぁ…。」


「や…め、て…。」


と腕を掴み瞳から涙が落ちる。


すると奇声を発した人間が


男性に体当たりをすると

転がり倒れる。


歩夢は、その奇声の声の主だと


気づいた。


男性は起き上がると


今度はこちらに向かってくる。


そこを女性が石を掴み


背後から振りかぶる


後頭部に強く当たるが


男性は、倒れない。


すると歩夢は懐に入っていた


ナイフを男性のみぞおちに


深く突き立てた。


男性はピクピクしてたが


次第に動かなくなる。


歩夢は女性に「逃げろ!」


と伝える。


そこから映像が途絶える。


頭の中から声が聴こえる。


「歩夢…。」


「この記憶は、お前が封印した。」


「理由は、この先、檜と共に

行動すれば自ずと分かる。」


「そして我らが、声を発さぬ

理由もな…。」


それを伝えると


また、沈黙が流れるのだった。



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