9 またお前か
「今日こんなメールが届いた」
蝶々がメールの内容を仲間に見せる
「裏切りの怪物?そんな怪物がいるんですね…」
葉奈が言った
それを見たゴルドは、送り主の情報について調べ上げる
「送り主の名前は藤城 という人らしい。調べてみると、陰謀論界隈では結構有名な人らしい…」
「陰謀論?」
「そう、訳あって顔出しはしていないらしいんだけど…」
「でもこの人、昔から怪物について言及しているんだって…」
「そうなんだ…でもそれが本当なら裏切りの怪物の存在も信憑性が増すね」
ローサが言った
「明日行くつもりなんだが、蒼ついてきてくれるか?」
蝶々は蒼に向けて言った
「分かりました」
裏切りの怪物の地に向かうのは、蝶々と蒼の2人に決定した
次の日…
予定通り蒼と蝶々は電車に乗り込み、例の地へと向かう
羽水町から10分程でいける隠楽町がその地のある場所
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
2人揃って椅子に座っている
「蒼大丈夫か。まったく休みの無い中できついだろ」
「多少はきつい時もありますけど、今の現状からするに守るためには仕方ないって感じですかね…」
「今こうしている間も怪物達が封印を解こうとしているんかな…」
「しかし、気をつけるべきなのは空間の怪物だ」
「あいつさえいなかったら3番目は守れてましたもんね…」
「あのライブを見ていると、山下坂は紫っぽい霧がかかっており、怪物も活発化している雰囲気だった」
ガタンゴトン…ガタンゴトン…
次は〜隠楽駅
車内アナウンスが響く。そして目的の駅に到着した
彼らがホームに出ようとすると次の瞬間…
ガンッ!!
電車の上に何か重いものが乗っかる
―グガァ!!―
大きな雄叫びをあげた。そこにいたのは空間の怪物だった…
「お前が…なんでここに…!」
―グガァ!!―
空間の怪物が再び雄叫びをあげると、車内にいた人達が一人一人亜空間に吸い込まれていく…
「逃げろ!みんな逃げろ!」
車内は大慌て、開く扉にぎゅうぎゅうになって押される
消えていく人達…
―ハッハッハッ!蝶々、お前らもだ!!―
ガガガ…!!
「お前らがその気なら…望むところだ!」
蝶々は吸い込まれていった…
「蝶々さん…行ってしまった…」
何をしたらいいのか分からず立ち尽くす蒼…
―蒼、お前は特別なところに連れて行ってやろう―
「特別…?」
―そうさ、特別さ。ハッハッハッ!―
ガガガ…!!
蒼も飲み込まれていった…
―ザゴの量産化と、蝶々達を空間移動させる計画はこれにて終わり―
―しかし、この世界で2度も技を放たせるなんて…さすがに重労働すぎるだろ―
用の無くなった空間の怪物は、さっそうとその場から立ち去っていった…
怪物の世界に飛ばされた蒼
「ここは怪物の世界…あいつ特別だとか言ってたけど、どこらへんが…?」
蒼は周りを見渡した。すると遠くから1体の下級怪物が近づいてくる…
「下級のやつか…?なんだ、それならパパっと終わらせてやるか」
―ガ…ガアァ…―
こちらへ歩いてくる下級怪物
―ガゴ…ガゴ…―
その怪物が近づいてくるにつれて蒼は何かに気づく…
それは、その下級怪物の胴体に蒼の親友 聡太 が埋まっていたのだ
蒼の親友は1年前くらいに怪物に襲われて死んでいる
ということは、蒼に近づいてくる下級怪物=蒼の親友であることが分かる
「来るな…来るようならこの矢をうつぞ!」
しかしその怪物は聞く耳をもたない。聡太の意思関係なくだんだんと近づいてくる
「俺は今から…聡太を殺さないといけないのか…?」
蒼の弓を持つ手がずっと震えている
特別とはこういう事だった…
………………
ガガガ…!!
スタッ…
その一方で、蝶々も怪物の世界に降り立った
「さぁ…どんなことをしてくれるのかな」
ゴゴゴゴ…!!
上空から凄まじい音…
「なるほどな…」
そう言い蝶々が頭上を見上げると、そこには怪物の長が…
何十mにもなるその巨体が蝶々のことを睨んでいる
「長が直々におでましといったところか」
ゴゴゴゴ…!!
―蝶々、今からお前を殺す。くらえ!―
長は目から動き止めの光を放った
シュバッ…!
「そんな光は当たらない…!蝶の舞!」
蝶々はその光を避けながら、技を放ち距離を詰める
―かかってこい…―
「はあっ!」
蝶々は、長の、巨大でミミズみたいな身体に乗る
ズザザザ!!ズサッ!ズバァァア!!
蝶々は刀を使って長の身体を切り刻む
―グガッ…!ガアッ!!―
長は身体を強く揺さぶった
揺さぶられたことによって蝶々は身体から降ろされてしまうが、空中で体勢を整え再び向かっていった
―くらうわけにはいかない!はあっ!―
ブンッ!
長は自身の大きな右手を振り回す
バゴーーン!!
そして、それに当たってしまった蝶々は振り落とされてしまった…
「俺はお前が死ぬまで切り刻む…こんくらいじゃあ死なない…!」
―抗え抗え!この人間界の怪物が…!―
「その名で呼ぶな!オラァァ!!」
ヒュンッ!!
蝶々は上空へ飛びたった
蝶々の軽やかな動きは長を翻弄させる
―鬱陶しい…!消え失せろ!―
暴れ出す長…
ヒュン…!ヒュン…!
蝶々は、空中を飛び回りながら避ける
そうしてそのまま刀を長の目にぶっ刺した
ブサァッ!!
長は1つしか目がないため、この目を潰されてしまうと一時的に視覚情報が無くなるのだ
蝶々はこれを狙っていた
―ガアァ!!―
長は叫び声を上げた
そして蝶々は長の身体に移った
「戻ってこい…」
ヒュルル……ガシッ!
蝶々は戻ってきた刀をキャッチする
「死ぬまで斬り続ける!くらいやがれ!!」
ズザザザ!!!
―ガアァァアァア!!―
長は絶叫しながら暴れ出す
「俺は止まらない…オラァァ!!」
―ガアァ…グゥ……ガアァア!!―
長は身体からビームを放ちだした
これは危機的状況の時だけに放たれる技
バッ!
蝶々は咄嗟に長の身体から離れる
―次は仕留める!―
長は再び目から光を放った
ヒュンッ!ヒュンッ!
蝶々はその攻撃を避けた
「その攻撃は読みきっている。大丈夫か?逃げないで」
―いいや、お前はこれをよめていない。さぁ来い!―
長の命令通りそこに誰かが来る
そこには2体の下級怪物がやってくる。だが、何故かその怪物の顔にはカメラが装着されていた…
というのもこいつらは、以前江土高校の校門近くで襲われた記者の人達だからだ。魔改造され今に至る
―ガッ!!―
パシャッ!!
その下級怪物は蝶々にフラッシュを食らわせる
「うっ…!」
蝶々はその怪物の放ったフラッシュによって目をくらませる
―ハッハッハッ!!今だくらえ!―
長は目から3発のビームを放った
バゴーン!!バゴーン!!バゴーン!!
そして追い討ちのごとく、大きな右手を蝶々に向けて振り下ろす。そのまま蝶々のことを殴り続けた
―どうだ蝶々。これが俺達の実力だ!!―
ヒュンッ…シュバッ!
蝶々はなんとか抜け出す…
「はあぁ…!!」
ズザァァ!!
カメラを取り付けられた下級怪物達の首が吹っ飛ぶ
「はあぁ…はあぁ…はあぁ…まだ立てるぜ」
蝶々は身体から血を垂れ流し、息も上がっている様子…
―あれを耐えきると…ありえない。だがその体力が続くのも時間のうち―
そこで蝶々は、ゲートを見つけ出しそこに向かっていった。そして、そのゲートの中に入った蝶々の姿がだんだんと消えていく…
ガガガ…!!
人間界に戻り、蝶々は自らの足で羽水町へと歩く。ふらつきながらも諦めずに歩き続けた…
一方で蒼の方だが、未だに親友である下級怪物を倒すことが出来ていない…
ひたすら攻撃を避け続けているだけ…
―ガアァ!ガアァ!―
ヒュンヒュンッ…!
「目を覚ませ…目を覚ませ!」
―グ…グガァ!!―
「やめろ!やめてくれ!」
「俺は聡太のことを殺した怪物に復讐するために戦っているんだ。なのに、今俺がここで聡太のことを傷つけたら…意味がないだろ!」
―グアァァ!!―
怪物化した親友には何を言っても伝わらない
「久しぶりに聞かせてくれ、お前の声を!」
―ギギ…ガガ…―
怪物と聡太の意思がせめぎ合う…
―して…たお…して…―
「倒して?」
―ゲートは…用意するから…―
そう言ってゲートを開いた
「なんでだよ…」
―もう俺は怪物だから…蒼が何を言おうとも俺の意思は変わらない。分かってくれ…―
蒼は悩んでいた。しかし決めた
「分かっ…た。わかったよ。今俺が楽にしてやるから」
聡太の声、本音を聞けたことで蒼に覚悟が生まれる
「ありがとう!!」
蒼は、青の石の技であるサファイアアローを放った
タッタッタッ…
―ぐ…グガァ!!―
蒼の技に真っ向から走っていく親友…
―こちらこそ…―
ボカーーン!!
技をくらい爆散していった……
ガガガ…
そうして蒼は、親友が開けてくれたゲートから脱出した
そのまま蝶々に先に行くとメールだけして、裏切りの怪物が封印されている地へと向かっていった……
………………
トコ…トコ…
十分程歩き、その地へと辿り着く…
駅周辺とは違いここだけ木々が生い茂っており、人のいなさそうな雰囲気…
「聡太のことは一旦忘れよう、よし…」
気持ち切り替えて、蒼はその地へと歩いていった。すると、前から仮面を被った人がやってくる…
「来てくれましたか。もしかして、あなたが怪物隊の人…?」
「はいそうです。もしかして、藤城さんですか?」
「そうですよ」
「ですが…なんだかあなた、暗い顔をしてますね。ここがそんなに怖いですか?」
「いや、そんなことはなくて…」
「さっき、怪物化した親友と出会ってしまって…」
「親友ですか…」
「ちなみに私にも似たような経験があります。親友が殺された経験を…」
「なんか…思い出させてすいません。早速行きましょう」
2人は奥の方へと向かっていった
トコトコ…
少し歩き、封印された地へと到着した
「ここがその怪物の封印されているところだ」
その地だけ不思議と草がはげており、異様な様子…
「ここはいわゆるいわくつきと言われていて、誰も近寄ったりしないんだよ」
「怪物の影響なんですかね…」
「では、怪物の詳細をお願いします…」
「裏切りの怪物は元々、人間を滅ぼそうと同じ仲間と共にこの世界を侵略しようとしていた」
「しかし戦況は変わり、だんだん人間の方が有利になっていく。その時、その怪物は急に掌を変えて人間の方に寝返っていった」
「それによって、裏切り者として罰せられたその怪物は、仲間の怪物によって腕と脚を切り落とされ、この地に封印された。ということ…」
「なんでそんなこと知ってるんですか?」
「俺は怪物について調べてるからな」
「それより、君が持っている石って…?なんでそれを持っているんだ…」
「蝶々っていう人から貰いました。これを使って怪物を倒したりしてるんです」
「蝶々……へぇー」
……――……――……――……
ズバッ!ズバァァ!!
谷口が、山下坂町を探索している一般部隊を斬り刻んでいる映像が発見される…
「かかってこい。人間共」
何故か谷口はカメラに向けて挑発しだした
そして、カメラを向けている人を襲いにいった
ぐぁぁぁ!!!
ここで映像は止まってしまった…
一体どういうことなのか…
蝶々は療養中
回復するまで自室で寝ている




