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モンスターを鎧にする仕事  作者: タック
第二章

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ヘパイストスの移動工房

 爽やかな早朝、振動と轟音が響き渡った。

 巨人が一歩一歩地ならしをするかのように、砲撃が直線上に着弾していく。

 そして――イストのボロ工房に直撃した。

 無残に吹き飛び、跡形もなく四散してしまった。




 ***




「うおおお!? ビビったああああああ!?」


 本来なら一緒にボロ工房と吹き飛んでいたはずのイストたちだったが、彼らは完成した移動工房に移動していたのだ。

 内部は血まみれの監獄からすっかりと小綺麗にされていて、設備も整っている。


「名付けて〝ヘパイストスの移動工房〟だ! こっちの仕上げのために移動してなかったら危なかったな」

「あ、あの脳筋機械巨女め……!! わたくしたちが吹っ飛ばされていたら、人質を取った意味もないでしょうに……!!」


 マティスが憤慨する気持ちも分かる。


「まぁ、俺たちが退却した方に向けて直線上に当てずっぽうに撃ってたみたいだから、そもそも当たらないか、音で逃げるくらいに思ってたんじゃないか? ……普通だったら俺は瀕死の重傷で動けないというのを忘れてそうだが」

「人間を理解していない機械らしいですね」


 直接見たユーダイだからそう言えるのだろう。

 そんなことより、相手からの早く来いというラブコールに答えなければならない。


「さてと、作業を開始するぞ!! 炉に火を入れろ!! 火魔術は使うなよ、魔力はモンスター装備作成と相性が悪い!」


 鍛冶用の炉は事前に材料を搬入しておき、中で組み立てた。

 これで新しく金属系の装備が作れる。


「それじゃあ、鍛冶のことを今日も色々と教えてくれ。ユーダイ師匠」

「師匠は止めてくださいよ。俺も村で鍛冶場を手伝っていた程度ですから」


 イストは元現代人で、もちろん鍛冶の経験はない。

 そこでギルドメンバーの中で鍛冶経験がある人間に従事することにしたのだ。

 丁度、ユーダイが経験者だったので以前から少しずつ教えてもらっている。

 基礎はある程度できてきたので、まずは簡単な量産型のモンスター防具を作ることにした。


「さてと、量産型のモンスター防具の材料は監獄ヤドカリの金属殻だな。手脚や胴体から引っぺがしたものだが、サイズがデカいからかなり量がある」

「普通は鉱石から金属を錬成するんですが、これはそのまま形を整えてやれば防具として使えそうですね……もっとも、普通なら脆くて使えませんが」

「俺が硬くしてやるぜ! 素材ちゃん!」


 イストはテンションが上がり、普段では言わないようなセリフを吐く。

 それを見たアルプスが呆れて言う。


「女の子には興奮しないのに……」

「最高に楽しいからな! 来い、工具犬!」

「ワンッ!」


 どこからともなく工具犬がやってきて、意図を読んだのか巨大な鍛冶ハンマーへと変身した。

 動物保護の観点から補足しておくが、工具犬自体がメカドッグであり、全身が必要なハンマーの変身後に生々しいところは残ってないので見た目的にはセーフだ。

 尻がハンマーの先になっていて、顔がイストの方を見ている感じになるので若干気まずいくらいだろうか。


「おっ、腕をモンスター防具として強化したおかげで巨大なハンマーでも軽く持てるな」

「魔力使わずにそれって人間辞めてますね、イストさん」

「魔力使ったらお前の方が一億倍ゴリラだろ、ウリエル。……おい、眼が怖い。俺はまだ病み上がりなんだから全力パンチとかするなよ、普通に死ぬ」

「快復したときを楽しみにしておいてくださいね」


 ウリエルなら本当にやってきそうで怖い。

 そのときはガードするから耐えてくれ、新両腕。


「さて、やっていくか。事前に鉄素材も他と同じように〝モンスターが死んだ時点で強度が下がる〟というのは確認済みだ。逆に言うとそれによって加工がしやすい」


 本来ならかなり耐久性がある監獄ヤドカリの金属殻は、熱して叩いても曲がったりはしないだろう。

 だから、本来なら脆くなるという特性も、イストのモンスター防具作成とは相性が良いのだ。


「炉で鋼鉄殻を熱して、金床に置いてっと……」


 ちなみに金床とは、金属で出来た小さな台のような設備だ。

 平らなところと、曲げるための角度が付いている場所があったりして金属加工の助けになる。

 RPGでもよく置いてあるので、誰しもが見たことあるはずだ。


「うわあああああ!? イストさん何をやってるんですか!? そんな真っ赤に熱された金属を素手で持ったら火傷どころじゃ――」

「あ、すまん。何か持てそうかなと思って持ってしまった」


 イストは1000℃くらいのものを、普通の表情で握ってしまっている。


「あ、熱くないんですか……?」

「熱さは感じるが、火傷の痛さはないな。これが両手をモンスター防具に加工した力か……」

「万が一のこともあるので、次からはちゃんと道具を使ってくださいね……」

「ああ、わかった。よい子たちがマネをしたら大変だからな。ライター的なコンプラに反する」

「よくわかりませんが、頼みましたよ……心臓が止まるかと思いましたよ……」


 そんなユーダイを見て、ウリエルが〝そうですよね~、わかりますよ~〟と理解者面をしていたのはスルーした。


「まだ慣れてないから加工難易度と汎用性を重視して、簡単な籠手と胸当てを量産していくか」

「そうですね。弱い虫モンスターの甲殻の籠手でさえあの性能でしたから、それさえあれば俺たちも戦うことができます。……あのグラウ・グスタフという十機人相手はきつそうですが」

「適材適所、そっちはアイディアがある」


 イストはまだ壊れて放置されているアイゼンシルトを見た。

 彼女はそれに気付いたのか、グッと親指をサムズアップしてきた。


「それじゃあ、どんどん作っていくぞ!」


 鋼鉄殻のサイズは不揃いなので、まずは熱してから金床に置いて、(たがね)とハンマーを使って分割して適正量にする。

 そのあとにハンマーで叩いて丁度良い厚さにしてから、金床の丸みがある部分を使って曲げていく。

 鋼鉄を固定していた(やっとこ)ごと、水が入った桶に入れて冷やす。

 この頃には鋼鉄の熱された赤みが薄れてきてはいるが、実際はかなりの高温で水がジュウジュウと沸騰するのが見える。


「よし、一つ目が完成だな。名前は……ダメだ。量産品だと何も思い浮かばない。クソッ、みんなも格好良い名前を期待しているだろうに……」

「いや、そこはあんまり期待していませんよ」


 ウリエルの無慈悲なツッコミが入った。


◎資金作り

◎新工房作り

・アイゼンシルトのメンテナンス

◎レオタード素材集め

・量産型モンスター装備作成

・アイゼンシルトの新装備


・機魔国に占領された村を取り戻す

・魔国をどうにかする

・世界を救う

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