4話 夕方の海
二人に出会ってから次の日。
「ねえねえ探検しに行こうよ!」
朝ごはんのパンを食べてから、あたしは同じくパンを食べ終わった二人に今日したいことを言った。
それは昨日言おうと思っていたことでここがどんな場所なのか見て回りたかった。
「とってもいいお天気だし、お家にいるのもったいないよ!」
「昨日初めて外に出たから外に出たいだけだろ。それに天気のことだけど、オレらが出たら雷落ちるからやめとけ」
「こんなにいいお天気なのに雷なんて落ちないよ!」
窓からは太陽が出て、雲も少ないのに。ノイテは何を言っているんだろう。
「それより探検て? どこに?」
「うーん……色々?」
「ちゃんと考えてないくせに言うなバカ。海岸か、森かぐらいは決めとけよ」
「じゃあ……砂浜に何か落ちてるかも……。お散歩しようよ!」
「貝殻しか落ちてねえよ。やだ」
「貝殻でもキレイなやつがあるよ!」
「全部いっしょだろ」
「じゃあ俺が一緒に行ってあげるよ」
言い合いになるあたしたちを止めるみたいにアーベントが言う。
三人で行こうって言う前にノイテは留守番しとくって言ってベッドのお部屋に行っちゃった。
「貝殻が見たい?」
「うん!」
「じゃあこれ持って行こうか」
そう言ってアーベントは棚から昨日使っていた小瓶を持ってくる。
中には味をつけるものが入っていたはずなのにどうするのか気になったけど、アーベントが小瓶をポケットにしまって扉に行っちゃったから聞けなくなった。
「どうしたの?」
ノブに手をかけたまま立ち止まるアーベント。
行かないの?っていう意味も込めて聞くと、アーベントは窓を見た。
「雷が落ちても平気?」
アーベントまで言ってる……。
「だーかーらー、落ちないよ! 絵本の中でも雷は黒い雲から落ちてたし、こんなに太陽が出てるときに雷が落ちてるところなんか見たことないよ」
「俺がすごい雷男で、雷を呼び出せるとしても?」
「……お願い呼び出さないで」
なんとなくだけど、アーベントなら本当にできるかもしれない。
外に出たいから雷なんてやめてほしい。
お願いしたらアーベントはクスクスおかしそうに笑った。
「それじゃあ俺が呼び出さないように君から外に出て」
「わかった! ……あたしが出てすぐに呼ぶとかしないでね?」
「頭がドカンってなるね」
「やだ!」
クスクス笑いながら言うことじゃないよアーベント。
「しないからどうぞ」
扉を開いてくれたアーベントが絵本に出てくる王子様みたいで、あたしがお姫様になったみたいだった。
「うーん、やっぱりいいお天気!」
外は雷雲なんて一つもなくて、晴れてて気持ちがよかった。
「アーベント早く早く! 雷雲なんて一つもないよ!」
先に出たのになかなか出てこないアーベントに手招きしてみる。アーベントは一回俯いて家から足を踏み出していた。
そんなに怖いのかな。
「あれ?」
「ね、とってもいいお天気でしょ?」
なんでか不思議そうなアーベントがおかしくてちょっと笑った。
そしたらアーベントも笑顔を浮かべてくれてあたしはアーベントの手を繋いで歩く。




