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手を繋いで森を進んでいたら転ぶことも、木にぶつかることもなかった。
空は暗くなってきていたけどノイテが帰るって言わないからあたしも帰るって言わなかった。
「あ!」
木がなくなってきて、遠くを見るとお花畑が広がっていた。
とってもキレイ。早く行きたい!
「おい、いきなり走るな!」
早く行きたくて走ったらノイテも走ってくれる。
もう転ぶことはないと思ったけど、ノイテの手は離さないままお花畑に飛び込んだ。
「わっ! ってえ、オマエな!」
「痛いけどとってもキレイだよ!」
お花に埋もれているから色々なお花がすぐ近くで見れる。
ノイテのほうにはノイテの目の色と同じ紫色の花が咲いていた。
「ノイテのお花」
「なんで?」
寝転んでいたノイテが先に座って、あたしは紫色の花を抜いて寝転んだままノイテに渡す。
もらってくれたノイテはお花を見ながら聞いてくるから、あたしは自分の目のところをトントンって指でしてみる。
「ああ、オレの目の色と一緒なのか。でもこんな濃いか?」
「ううん、ノイテの目のほうがキレイ」
「いや、濃いか薄いかを聞いたんだけど」
お花をくるくる回して何かを思いついたようにノイテが反対の手をお花畑に埋める。
すぐに出てきた手には黄色いお花があった。
「オマエの髪の色」
そう言ってあたしの耳の所に黄色いお花を付ける。
「こんなにキレイな色してないよ」
「そうか? 花なんかよりキレイな色してると思うけどな」
「本当?」
ノイテがほめてくれた。
嬉しくて起き上がるとノイテは笑顔でうん。って頷いてくれた。
それからノイテはお花を集めてお姫様が付けていそうな冠を作ってくれた。
お家に飾りたいから何本かお花を抜いて集めていたら夜になっていた。
「早く帰らなきゃ怒られるかな」
「アーベントは何があっても怒らねえよ」
「優しいね。ノイテとは大違い」
「オレのほうが優しいだろ? ドジっ子」
「ほら、そういうこと言うもん!」
笑いながら意地悪を言うノイテ。
笑ってくれるのはうれしいけど意地悪はやめてほしい。
そう思っていたらノイテは笑うのをやめて体ごとあたしとは違う方向を向いて黙ってしまう。
「どうしたの? 笑いすぎてお腹痛くなった?」
今度はあたしが意地悪を言ってみた。だけど、ノイテは黙ったまま。
どうしたんだろう。
「そうだな。オレこんなに笑ったの初めてだから」
「そうなんだ。あ、そういえば昨日のノイテはずっと笑わなかったね」
昨日のことを思い出したら笑顔のノイテが見たくなって足を進める。
一歩進めたらノイテも一歩進んだ。
ノイテはあたしから離れたがってるのかな。
「……昨日だけじゃない。その前の日も、ずっと笑ってない。生まれてからずっと。自分がいやになって笑うしかない時には笑ったりしたんだけどな」
「ノイテ?」
寂しそうに見えてきてノイテの肩に触ろうとしたら
「触るな!」
ノイテが怒った。
びっくりしたら、なんでだろう苦しくなって、きた。
「あ……」
「っは、はあ……は」
息をするのが苦しくなってきて、汗がでてくる。
苦しい。助けて。
ノイテに助けてほしくて、ノイテを見たらノイテは泣きそうな顔であたしを見ていた。




