3
「じつは神様! ……だったりして」
だから冗談を言ってみた。
もちろんウソ。
だけど、アーベントの顔がちょっと怒ったように見えたからごまかした。
「ごめん。ウソ言ったりして」
「ウソだったんだ。ごめん信じかけた」
「え」
アーベントなら絶対に信じないと思っていたのに。本当に信じたのかな。
「嘘だよ。信じるわけない」
「だ、だよね! あ、そろそろ帰ろっか!」
くすくす笑われて恥ずかしい。
そうだよね信じるわけないよね。
顔が熱いから赤くなってるかも。先に歩いて行けば見られないよね。
「神様……か。吐き気がするな」
「アーベント?」
後ろから呟く声がして振り返る。
でもアーベントはあたしを見ないでそっぽを向いて海を見つめていた。
「俺は、悪い人だから神様に嫌われててね。そして自分にも嫌われてる。きっと君にも嫌われる」
どうしていきなりそんなこと言うんだろう。あたしはアーベントが好きなのに。
「……そんなことないよ」
「ん?」
決めないでほしい。
言ってることはとてもさびしいんだから、笑わないでほしい。
「アーベントが悪い人で、自分のことが嫌いでも」
悪いところなんか見たことない。
昨日会ったばかりだから見れるわけもないのかもしれないけど、もし悪いところがあっても
「私はアーベントのこと好きだよ? 悪いアーベントも良いアーベントも!」
「どうして……会ったばかりの他人にそこまで好意を持てるんだ」
「会ったばかりでも、特別な他人だもん」
「特別?」
そう、アーベントは特別。
ずっとママ以外の人を知らなかったあたしにとって
「初めての人。だから特別!」
そう言ってみたらアーベントは笑うのをやめて驚いたみたいに目を大きくする。
あ、勝手に特別にしてよかったのかな。
「……特別になれてよかったよ。ありがとう」
「こちらこそ!」
でもアーベントは笑ってお礼まで言ってくれた。
ちょっと顔が赤くなってたけど、照れてくれたのかな。
それからはアーベントと一緒に家まで手を繋いで帰った。何回か転んでアーベントが繋いでいてくれた。
「今日のご飯はオレー」
「ノイテは食べたくない」
「じゃあ食うな」
帰るとノイテが料理をして待っていてくれて、からかわれて怒っていたらアーベントが止めてくれてみんなでご飯を食べた。
☆
「明日はノイテと一緒に森の探検だね」
「嫌だね」
「行くんだよね?」
「行きたくないんだよね」
「え、何これ? ね、を付けて話すの?」
「そうだよね?」
「アーベント困ってんね」
「じゃあ、ノイテはソリスと明日森に行くこと……ね?」
「間あけんなよ! 怖いな!」




