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「じつは神様! ……だったりして」


 だから冗談を言ってみた。


 もちろんウソ。


 だけど、アーベントの顔がちょっと怒ったように見えたからごまかした。


「ごめん。ウソ言ったりして」

「ウソだったんだ。ごめん信じかけた」

「え」


 アーベントなら絶対に信じないと思っていたのに。本当に信じたのかな。


「嘘だよ。信じるわけない」

「だ、だよね! あ、そろそろ帰ろっか!」


 くすくす笑われて恥ずかしい。


 そうだよね信じるわけないよね。


 顔が熱いから赤くなってるかも。先に歩いて行けば見られないよね。


「神様……か。吐き気がするな」

「アーベント?」


 後ろから呟く声がして振り返る。


 でもアーベントはあたしを見ないでそっぽを向いて海を見つめていた。


「俺は、悪い人だから神様に嫌われててね。そして自分にも嫌われてる。きっと君にも嫌われる」


 どうしていきなりそんなこと言うんだろう。あたしはアーベントが好きなのに。


「……そんなことないよ」

「ん?」


 決めないでほしい。


 言ってることはとてもさびしいんだから、笑わないでほしい。


「アーベントが悪い人で、自分のことが嫌いでも」


 悪いところなんか見たことない。


 昨日会ったばかりだから見れるわけもないのかもしれないけど、もし悪いところがあっても


「私はアーベントのこと好きだよ? 悪いアーベントも良いアーベントも!」

「どうして……会ったばかりの他人にそこまで好意を持てるんだ」

「会ったばかりでも、特別な他人だもん」

「特別?」


 そう、アーベントは特別。


 ずっとママ以外の人を知らなかったあたしにとって


「初めての人。だから特別!」


 そう言ってみたらアーベントは笑うのをやめて驚いたみたいに目を大きくする。


 あ、勝手に特別にしてよかったのかな。


「……特別になれてよかったよ。ありがとう」

「こちらこそ!」


 でもアーベントは笑ってお礼まで言ってくれた。


 ちょっと顔が赤くなってたけど、照れてくれたのかな。


 それからはアーベントと一緒に家まで手を繋いで帰った。何回か転んでアーベントが繋いでいてくれた。


「今日のご飯はオレー」

「ノイテは食べたくない」

「じゃあ食うな」


 帰るとノイテが料理をして待っていてくれて、からかわれて怒っていたらアーベントが止めてくれてみんなでご飯を食べた。





「明日はノイテと一緒に森の探検だね」

「嫌だね」

「行くんだよね?」

「行きたくないんだよね」

「え、何これ? ね、を付けて話すの?」

「そうだよね?」

「アーベント困ってんね」

「じゃあ、ノイテはソリスと明日森に行くこと……ね?」

「間あけんなよ! 怖いな!」




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