1話「5000柱の女神に見守られながら旅する異世界転生」下
次に目覚めてからこれまでの間、俺はずっと特訓をしていた。
手加減の練習を開始してどれくらい経ったのかは分からないが、日々色々な女神とスキンシップをすることをしてきた。
本当に様々な女神がいた。
そのどれもが、美しいしスタイルもいいし、なんでかみんな俺のことを潤んだ瞳で見つめてくる。
「あの……異世界行ったら、俺何かやるんですか?」
休憩の間に、序列2位らしい女神・ソリューシャ様に聞いてみた。
「いえ、特には何も。あなたはただ思うがままに生を謳歌すればいいのです」
「あ、そうなんですか……」
特に何もしなくてもいいらしい。
と言われても、何かやりたいことがあるわけじゃなし……どうするんだろう。
「ところで、リョウタロウ」
「あ、はい」
なぜ、彼女が俺の名前をリョウタロウと呼んでいるのか、それは俺の過去を過去を司る女神様に見ていただきその時の名前を自分に付けたからだ。
「ここでの暮らしはどうですか?」
「えっと、不自由はないどころか……食事も美味しいですし、皆さん様々ないい匂いの方々ばかりで男の俺としてもちょっとあれですが……」
「まぁ! いい匂いだなんて!」
「みんな、きいたかしら?」
「リョウタローが、いい匂いだって!」
「嬉しいわー!」
と、黄色い悲鳴が上がるのが恒例になっている。
もはや何か褒めればこうなってしまうので、ついつい褒めてしまうこともできないが久々にやってしまった。
その伝染力はすごくて、また再び色々な女神様に囲まれてしまった。
これは男の夢だろうなって純粋に思った。
いや、本当に……。
でもさすがに同性が誰もいない空間は色々ときつい。
とにかく空気が甘いし、不快さは全くないのだが……こうなんだか、気後れしてしまうのだ。
そんな周囲に色々ないい香りが包まれる中で、俺はあることに気付いた。
目立たないようにしていて他の女神からしても特に容姿が優れているわけでもない女性が向こうを向いていたのが気になった。
すいませんと謝りながらそちらに近づいて声をかけてみた。
「あの……どうしたんですか?」
「……え?」
その女神様は俺に声をかけられたことに驚き、そして後ろを振り返る。
「いえ、あなたに声をかけたんですよ」
「な、なんで……」
「えっと、1人でそんなところでどうしたんだろうって……」
「そ、そんな……」
そんなやり取りをしていると、周りの女神がひそひそとやっていた。
「さすがはリョウタローね。女神でもトップクラスに嫌われ者で有名な貧乏を司る女神にも分け隔てなく声をかけるなんて」
「彼女も彼女なりに、彼のことを考えているっていうのにね」
「男神って本当に見た目とその司るモノで判断するからダメなのよ!」
そんなことを言い合っていた。
なるほど、この方は貧乏を司る女神様か。
なんか前世と関係あるのか、俺は彼女にとても愛着が沸いた。
「あの、一緒に話しませんか?」
そっと手を伸ばして声をかけた。
「……いいの? 私に関わったら――」
「なにを司っているのかとか関係ないですよ。僕を見守るために来てくださった方に無作法はできません」
そして、かの女神様は手を取ると慣れない笑顔で笑ってくれた。
「はぁ~リョウタローが尊い」
「だめ、ちょっと席を外すわ」
「なぜかしら、生殖に興味がないのに彼の子種が欲しくなってくるわ」
こらこら。
今じゃ15歳の思春期なんだし、だめだぞそんなこと。
あれ? 思春期ってなんだ?
と、そんなやり取りをしていると創造の女神様・アブソリューナ様がいらっしゃった。
「リョウタロウ、私からも礼を申します」
「礼だなんてそんな……」
だって見た目が俺に近いし、すごい親近感が沸くんだもんとかは言えない。
「……クス」
なんだろう、何か見通されたような。
「では、その子を旅の供にしますか?」
「アブソリューナ様! ずるいです!」
「そうです、私も狙ってたのに!」
と、何やら周りの女神様たちがブーブー言い始めた。
「彼が気に入っている、それじゃあ納得できませんか?」
「……」
その言葉にしーんとなった。
「旅はまだまだ先になるでしょう、そう慌てずに」
「あの、それって女神様と旅をするってことでしょうか?」
「そのつもりです。あなた一人ではさすがに大変でしょうから」
いや、大変助かるけど本当にそれでいいのだろうか?
なんか恐れ多いというか……。
「パーフリィ神。あなたも異存はありませんね?」
「え、あ、で、でも……」
自分の司るモノがモノだけにって感じの断りをしそうだと分かった。
「あの、そんなの関係ないですよ。良かったら、俺と旅をしてください」
「え、あ、は、はい!」
ということで、パーフリィ様と旅をすることとなったのだった。




