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5000柱の女神に見守られながら旅する異世界転生記~体験版~  作者: 武宮川 夏乃介
第四章「懲罰の女神編」
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プロローグ「懲罰の女神編①」

途中から目隠しをされたリョウタロウ。

それぞれ私兵が何やら引継ぎをやりにくそうにしていた。

なんせ、女神が何も言わずにリョウタロウの前に佇んでいるので、彼らの気持ちを考えれば推して知るべしというところだろう。


やがてリョウタロウは、船に揺られてどこかへと連行される。

それまで付いてきていた貴族は、女神に無礼を決して働かないことなどや色々言い含めて当柱にはものすごく丁寧にこの度のお礼をして去っていった。


その間中も、懲罰の女神は一時もリョウタロウから目を離さず、聞いているのか聞いていないのか分からなかったが。


しばらくして周囲を海に囲まれた監獄島とされるところへと到着した。


リョウタロウは目隠しをされていて見えないのだが、何やら一癖も二癖もありそうな気配を感じ取っていた。


そんな中でしばらくすると――


「彼に鎖を、私の命じるままに付けなさい」


全く口を開くことなく彼を見続けていた女神が口をようやく開き、兵士の人に命令を下した。


「あ、あの……それは――」


「体中を鎖で縛るのです。幾重にも」


指示に従うままに兵士は、さすがにこれはきついだろうと言うほどまでに巻いていきやがてもういいでしょうというまで鎖を巻き続けた。


「あとは私が――」


そう言うと、思わずうっと声を漏らしてしまうほどに重くなったその鎖にきっと女神がさらに重くしたのだろうと気づいた兵士たちはそれを指摘することもなく、大人しく女神に出てもらうように促す。だが――


「……」


女神はそれには答えず、またずっとリョウタロウだけを見続けた。


付き添ってきた兵士の言葉に、獄卒は驚いたがそういうものかと彼の目隠しをようやく取って女神と一緒にリョウタロウを独房に閉じ込めた。


やがてリョウタロウも女神が目の前にいるとは思わず、直視してしまったことに後悔をしてしまう。


その美は、彼の性欲を大いにそそってきたのだ。

それはもちろん懲罰の女神による懲罰である。


「これ、あなたのせいですか?」


その下半身は、美に当てられたためにそそり立っていて抗い難いモノにリョウタロウに襲い掛かっていた。

そして、食欲もだ。


「あなたへの罰はこれだけではありません」


そう言うと、測ったかのように美人の奴隷が食事を持って現れた。

女神の存在に驚き、だがあらかじめ聞いていたのだろう驚き方は一瞬でかの柱は無視して食事の準備を終えるとやがて一口ずつ彼の口に食事を運んでいた。


それを抗い難い食欲でもって彼にしては珍しいくらいに、口を大きく開けて奪い取るようにむさぼり食べていく。

そそり立つそれに美人の奴隷も気づいたが、あえて無視をしてその次から次に要求する口へと次から次へと食事を運び続けた。


「あ、ありがとう……っ」


無理くり自分の欲を断ち切るようにお礼を言うと、美人の奴隷は信じられないとでもいうようにじっと彼を見つめそしてそっと鍵をかけて立ち去っていった。


「……さすが懲罰の女神様ですね」


「あなたも罪深いですね。我ら女神たちにその性欲とは」


「……あなたたちが作ったんでしょう? 俺にこういう風になるようにって……なぜか俺に対して性欲がないはずなのに」


「そうですね。欲を司る女神によってそれらは作られています」


その言葉にやっぱりそうかという表情で、ため息を吐きそしてまた再び力を入れてその美から目をそらし欲望をなんとか抑えようとするリョウタロウをライヴァは、また再び黙って彼を見つめ続けた。


沈黙の時間はリョウタロウにとっては助かるらしく、ずっと立たされたままで過ごしているがそれすらも彼にとっては別のことを考えられるとしてそのまま立ち尽くしているのだった。







美人の奴隷は、その空になった皿を見つめながらも歩いて調理場のほうへと向かっていた。その間にも別の房からかかる声は肉欲に満ちた声かけだった。

それほどまでに彼女は美しかった。


元貴族――政争に負けた結果がこのようなところでの奴隷、しかも囚人たちに対しての餌というべき欲望の塊といったスタイルと見た目は大いに国にとって役立っていた。


そんな彼女は先ほど食事を与えていた男の状態と必死に何かを堪える様子と、あとは聞いていたはずの自分からしても、常識外れの美の女神と言わんばかりにあまりに美しい女神の存在に目を疑っていた。


なぜあの男にそのような女神がじっと見つめ続けているのかといったことや、なぜあれほどの鎖が巻かれてもなお耐え続け、ただ食事の時はまるで獣のような食べ方をしてくるといった、いわば下品な食べ方をしていたのかなど色々だ。


そして、最後に自分への感謝の言葉。


自分はもはやこの監獄島での奴隷にすぎない。

そんな彼女に礼を言う必要は全くないのだ。


「なぜ……」


ポツっと喋った声は、不思議と響きその声は小鳥がさえずるように美しかったのだった。







リョウタロウが作った村というか小屋と畑では――リョウタロウが不在の中、彼が立てた小屋の近くにあった木の下に墓穴を掘って大切にそっと置かれた子供の遺骸へ向けてシスターが涙ながらに祈りを捧げていた。


どうか、次の生では幸せに。

女神よ、どうか彼女に新しき人生の幸せをと。


それを当の本人が聞いているとは知らず、また頼まれずともかの柱はリョウタロウのためにということで次の生は絶対に幸せになるように他の女神とともにそうなるようにされていた。


「ラナ」


「……なんだい、兄貴」


「リョウタロウの兄貴は、どれくらい繋がれるんだ?」


「パ、パーフリィ……様」


答えに困ったラナは、唯一この場で他の女神の動きを追える貧乏を司る女神・パーフリィに問いかけた。


「ま、まだどれくらいになるのか……で、でも! 懲罰の女神ライヴァ神がいなくなったときが解き放たれた瞬間なので! わ、私がお知らせします!」


口下手にも関わらず、リョウタロウを心配する彼らのために頑張る言葉をかけられたため、シスターも含めてお願いしますと頼まれた。


その頑張るという神気に当てられて、また再び気絶してしまう兄貴なのだった。

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