エミールの変化
音楽祭の波乱の後、あれからシーザー王はミラベル王女を連れて海神に謝罪した。
海神も、「今後音楽祭で不正が起きなければそれで良い」と寛大な対応だった。
実は音楽祭には海神の部下も聴きにきており、普段は海の底にいる海神にも聴こえるように、特殊な道具を持ってきていた。
毎年の美酒と音楽を何よりも楽しみにしていたのだそうだ。
シーザー王はエミールに対してもミラベル王女に謝罪させ、「お前の苦労を気付いてやれず、今まですまなかった」と謝罪した。
そして危ない目に遭った私は、人魚の国にいつでも特別待遇で迎えてくれることも約束した。
「先生が休みの日に案内しよう。綺麗な珊瑚礁や美味しい物もたくさんある。きっと気に入ると思う」
エミールは微笑みながら私にそう言った。
わくわくしている私に対し、呆れながら学園長のユタは言った。
「観光も結構ですが、あなたは異世界人。珍しい存在なのですから、学園の外は危ないことはお忘れなく。あと、授業の指導のこともね」
「わ、わかってますよ」
人魚姫の童話が好きだっただけにはしゃいでしまっていたが、水を差されてしまった。
肩をすくめていると、エミールは真剣な眼差しで私を見つめ、こう言った。
「一花先生。授業を頑張って、あなたにとって魅力的なマーマンになることを約束する」
「ありがとうエミール。私も頑張るからね!」
私は素直に喜んだのだが、ユタは気になるようで、首をかしげながら「あなたにとって…?」とエミールの言葉を反復した。
バルトはからかうように笑いながら、エミールに話しかけた。
「おいおい、随分先生のこと慕っているじゃねぇか」
「ああ。先生は魅力的な人だ。俺も努力は惜しまない」
きっぱりと話すエミールに対し、バルトはぽかんと口を開けたままにするし、ルイは「やれやれ」と言いながら肩をすくめた。
以前から協力的ではあったけどすごく助かるなと喜ぶ私に対し、ユタは「まさか…ねぇ…」と訝しげな目でエミールを見つめていた。
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