59 ピンチは続くよ、どこまでも?
竜が目覚めたけど、ピンチは続くエリカです。
よく考えてみ?、寝てるところを特大の氷を落とされて目覚める。
激おこですな。さらに封印解けてます!
しかもですねえ、起こして思い出したけど、この方、狂った竜なのです……
金色の目の焦点が合ってません。こえ~、狂った竜、こえ~。
起こしちゃ、ダメじゃん!
しかも、頭に大きなたんこぶ!
ハルカと二人、ぶるぶる震えながら、「とりあえず、たんこぶ治そう!」ということになった。
二人で杖をふるう。ダブルヒール!なんちゃって。
ビビってたせいか二人でかけたせいか、ヒールじゃなくてエクストラヒールかけちゃいました。
たんこぶが光り輝いてみるみる治っていくとともに、竜の目に光りが宿る。
「セバス、私は今まで何をしていた?」
「おお、我が主が正気に戻られた。貴方様は精神を病まれ、ここに封印されてました」
「ほう、情けないことだ。人がいるのか、竜のままでは話しづらいな。人型をとろう」
竜がもやもやとした霧に包まれると、金色の長い髪、金の瞳の麗しい美丈夫となった。
「そもそもなんで、黄龍様は精神を病まれたんですか?」
恐る恐る質問してみる。
「も~お母さんてば、デリカシーない! そういうこと聞いちゃいけないんだよ!」
ハルカに叱られる。
ふん!おばちゃんにデリカシーは存在しないのだ。
子供を産んだり、いろいろやらかす子供を育てたりしてるうちに、デリカシーはすり切れてなくなるのだ。
セバスさんが驚いた顔で私を見る。いやん、心読まないで。たぶん、ちょっとはあるからデリカシー。
「よいよい、竜は番を大切にする種族だ。竜は数千年という長い年月を生きるので、番なしでは孤独でだんだんと病んでしまうのだ。私は不幸なことに、今まで番を見つけることが叶わなかったのだ」
あ~、婚活に失敗したってことですね。
おばちゃんは、ハルカに時々叱られながら、黄龍様に、結婚だけがすべてではないぞ!、
独身でも楽しいぞ、結婚しても苦労があるぞと、夫が浮気した夫婦の話や、嫁が借金作ってドロンした話や、嫁姑で家が戦場になった話など具体例をあげて力説した。
それに黄龍様が眠ってる間に新たな竜も生まれただろうから、これから出会いもあるぞ諦めるなと励ました。
黄龍様が狂ってしまうと、世界が危ないのだ。
何ならおばちゃんと一緒に世界中を嫁を探して旅しようと、誘った。
「それは、楽しそうだな」と黄龍は朗らかに笑った。
笑う黄龍様は、眩しいくらい美しかった。
『 イケメンの 破壊力は 半端なし 』 読み人エリカ