58 竜との対決
遺跡の中でなんだかピンチぽい、ハルカとエリカです。
「お嬢様方に残念なお知らせがあります」
セバスさんが、申し訳なさそうにこちらを見る。
いや~、残念なお知らせ聞きたくないっ!
「どうも、主が貴女方を侵入者とみなしたようです。攻撃されると思いますので、お気をつけ下さい」
いやいや、主、止めて! めっちゃ止めて!!
「先ほどから主にお話し申し上げてるのですが、応答がありません。さすが、主、無意識で対応されてるご様子です。」
ひゅっーと、風が走る。カマイタチじゃん。私たち狙われてる!
闇魔法で結界を張る。
にゃんこに、いいかげん覚えろ!と言われてたヤツだ。
カマイタチをはじく。
「主は頑丈に出来ておりますから、攻撃して構いませんよ。目を覚まして欲しいですし」
セバスさんがにこやかに言う。
良いのか攻撃。お言葉に甘えて、ファイヤーボールを打ち込む。
はじかれた!
「言うのを忘れましたが、主の鱗は魔法をはじきます」
こちとら、非力な魔法使いなのよ、どうしろっていうのよ。
そうこうしてるうちに、竜の口から火が放たれる。
竜、寝てるのに炎吐くのか、こわくて横に寝れんな。
ファイヤーボールなんてかわいいのじゃなくて、火炎放射だ。
結界で防ぐ。さすが竜の火炎つらい。頭がクラクラしてくる。
「ハルカは、死んでも私が守るからね」
額に汗がにじむ。
「……どうしてそんなに? 前から思ってたんだけど、エリカってお母さんでしょ?」
目が泳ぐ。バレた。
「うん。わかっちゃった?」
「わかるよ。だってお母さんだもの」
集中して、冷静に、すべての魔力をコントロールしてみせる。
杖に魔力を集中させる。
全てを守ってみせる! だって私はお母さんだもの。
遠くにいても近くにいても、貴女たちの幸せを祈ってる。
でも、このままじゃ、魔力が切れていつか結界が破れる。
琥珀、力を貸して。
椿の精霊よ、力を貸して。
( しょうがないなあ、僕が防御の結界を張るから、エリカは攻撃して! )
( 宴会で手を打とう。エリカ、物理でなぐるのじゃ )
琥珀はいいとして、椿の精霊、私、非力な少女だから! しかもアドバイスだけ?
殴るなんて…… ゴーレムみたいな力があれば別だけど。
――ん? ゴーレム? わかった。
「私もお母さんを守る! もうかばわれてお母さんがいなくなるのはイヤだ!」
「わかったハルカ、一緒に魔力込めて」
私は、竜の上、天井に一番近いところに魔力を込める。
まだ、竜の鎖がすべて外れないうちに。
ハルカと二人で魔力を込める。ハルカの髪がふわりと舞い上がる。
目が黒から金色に変わる。
びっくりしてハルカをみると、『お母さんも変わってるよ』という。
確かに、私の髪も舞い上がっている。
二人でニッコリ笑いながら、魔力を込める。
娘と一緒に何かをやるって、すごく楽しい。
ありがとう。エンバー先輩。
貴方の教えてくれた氷魔法で、特大の氷を作ります。
初めてかき氷用以外の氷を作りましたよ!
竜の上空で魔力が固まってゆく。キラキラとした氷ができる。
大きな大きな氷が高い位置から、竜に向かって落下。
巨大な氷が、竜の頭に当たった!
「ガギャオオオオオオオウン!!!!!!!!!!」
竜が痛みでのたうち回る。
竜の目が覚めた模様です。
ついでに、竜がのたうち回ったので全部の封印の鎖が解けました。
ピンチじゃん!




