05-01 ソフィア姫の目覚め
ソフィア姫様の侍女組リーダー、シャリーです。
王都防衛戦の約1ヶ月後、姫様はお目を覚まされました。
姫様が王都上空でのだんどうだんの爆発を無かったことにするため因果の糸に触れて止められた時間が5秒、それによって救われた王都の人口50余万、両者を掛け合わせると約1ヶ月になります。
因果の糸の反動で、その分だけ姫様のお心が身体から離れてしまったようなのです。
涙を流して喜んだアネットと私達でしたが、すぐにその涙は悲嘆のものに変わりました。
因果の糸の反動は昏睡だけに止まらず、姫様は約1年分の記憶を失っていたのです。
そう、アネットの愛の告白も姫様がそれを受け止めたことも、二人が共に過ごした時間も全て消えてしまったのです。
戦功により魔王陛下からソフィア姫様を娶ることを許されたアネットでしたが、このような状況を見て、父君のシトウ伯爵よりアネットの許婚返上の申し出がありました。
魔王陛下は、これに対し申し出の一時保留を決定されました。
一時保留というのは、姫様の記憶が戻るか、姫様が再びアネットを選ぶ可能性を考慮されてのことだそうです。因果の糸に関わるので、とても僅かな可能性だそうですが。
姫様の記憶喪失を聞いて、適齢期の男性魔族が張り切ってしまいました。
女性であるアネットに姫様を攫われた失敗を繰り返すまいと、姫様のお目に留まろうとそこここで求愛を繰り返したのです。
しかし、このような有象無象はすぐに消え去りました。
そいつらが夜道を歩いていると後頭部を殴られたり、どこからともなく矢が飛んできたり、突然雷に打たれたり、突然身体が麻痺したり、食事後泡を吹いて倒れてしまったり、怪事件が続発したのです。
王宮の近衛が捜査しましたが、結局この一連の事件の犯人は分からずじまいでした。
ええ、私達足がつくようなヘマはしませんし、命までは取りませんとも…もとい。
そんな私達の騒ぎをよそに、アネットは再び侍女の一人として姫様の元で働き始めました。あふれそうな想いを胸に秘めて、黙々と。
どうか姫様とアネットの愛に奇跡が訪れますように。




