03-SS-07 旅の宿にて
ルーテシアです。
今日もまたこの国の情報を収集するため、貴族に身を任せてきました。
何度もやっていることですが、その度に心が切り刻まれる思いがします……
スミカ様は、これから私を綺麗にして下さいます。
この身を洗って汚いものを洗い流し、そして私がされたことと同じことをして下さるのです。
そう、私の悪夢を愛しいスミカ様の行為で塗り替えるように……
私は触れたヒトの心が読めます。
それ故に故国メセドではずっと王宮の子供部屋に幽閉されていました。
故国が魔族に征服された際、子供部屋の扉を開いて下さったのがスミカ様なのです。
心を読まれるのを怖がって誰も私に、いえ、子供部屋にさえ近づこうとしなかったのに。
スミカ様は平然と私の手を取り、子供部屋から連れ出して下さったのです。
スミカ様のお手を通して伝わって来たのは、私に魅せられ私を求める愛情でした。
「そんなはずはない、この方には愛しい奥様もお子様もいらっしゃるのに!」私の心が警告しました。
でも私は、初めて女性として接して下さった方、スミカ様を求めずにはいられなかったのです。
スミカ様のお心はあれから変わっていません いえ、愛情は深まってさえいます。
だから私は、このお役目をお受けすることにしました。
私の傷心を慰めるように繰り返される愛撫、そのあえぎの最中に私は聞いてみます。
「私と奥様、どちらがお好きですか?」
スミカ様はちょっと困ったように微笑みながら「君が一番だよ」と囁いて下さいます。
「嘘!」と私が言っても、肌を通して伝わって来るスミカ様のお心に嘘偽はありません。
これがとても高等な詐術であるならそれでもいいのです。どうか最後まで私を騙し通して下さい。
スミカ様と肌を重ねながら、私は祈るのです……




