02-11 拘束
私はエレイン。
本日息子と嫁が館を訪れ、曾孫ソフィア襲撃という我が罪を示した。
今更言い逃れをするつもりは無いが、魔族の将来に光を見つけられなかったのは無念でしかない。
嫁リマドは故国アドウの技術を用いて、我が実験の先までも予測してしまった。
我等魔族はかつて人間であり、いずこからかもたらされた魔族の血によって汚染された。
この汚染は子孫にまで続いてる。
魔族は、主食が人間の魂という代替不能でコストのかかる物であるが故に多くの問題を抱えている。
かつては移動しながら人間を狩猟していたが、定住を選択した際に食用品種の人間を畜産する方法に切り替えた。
食用人間繁殖のための穀物は支配地の人間の税に頼っている。
同じ人間の畜産飼料として穀物を育て税を納めるのだから人間側の感情は極めて悪い。いや、敵対的と言っても良いだろう。数百人規模の反乱は頻発している。
特に人間に勇者と呼ばれる特異種が発生した場合、より大規模なものに繋がりやすい。
現在は人間の街同士の相互通信の未発達と魔族側の個人戦闘力で治安が維持されているが、今後人間が技術を得て戦略を用い始めれば逆転されるだろう。
要するに、魔族には未来は無いのだ。
私は魔族を人に戻すべく実験を試みたが、リマドが示した分析結果は否であった。
それは、一度魔族の血に汚染された者はどんなに人間と交わってもその子孫は人間にはなれない、という結論だった。
私は娘エスティーカを実験に使うため努めて情が移らないように接した。それは結局あの子を無用に傷つけただけだったのだ。
私は咎人として幽閉される。
今となってはエスティーカに連座が及ばないことを願うだけだ。




