02-06 襲撃
ソフィアです。
エストちゃんは、お城の北館近くの隠し通路を通ってお城の外に出て行きました。
私たちはこっそりと後をつけます。
エストちゃんはお母様と馬車で通るような表通りを過ぎ、見たこともない街区に入っていきます。
道にはゴミや汚そうなものも多く見られます。
シャーリーが「そろそろ引き返した方が……」と囁いた時、エストちゃんはぼろぼろの建物の扉に入って行きました。
建物に近寄ろうとした私たちを遮るように、細身の男が現れました。
トエリがシャーリーに「姫様」と呼びかけます。非常事態の合図です。ここからはシャーリーがお姫様、私は侍女の一人と言う設定です。
何度も練習したことだけど、危険をシャーリーに押し付けるのは心が痛みます。
男はにやにや笑いながら言います。「お前ら魔族だな。」じゃらり、と男が鎖でつながった棒を垂らしました。
剣を抜きながらトエリが答えます。「そうよ、こちらは魔族のさる高貴なお方、人間が近寄っていいお方では無いのよ!」
胸を張るシャーリーの横で私は帽子を深くかぶります。
「ガキをなぶる趣味は無いが、人喰いの魔族は別だな。」男の目に足が震えます。アネットがそっと私の腕に触れます。少し安心します。
「そこか!」男の目が光ったと思ったら目の前が揺れました。身体が宙に浮く感じ。何が起きたのか分かりません。私を受け止めたアネットが曲がった拳銃を捨てました。
男が言います「とっさに俺の一撃を逸らしたのは褒めてやる、だが得物はもう使えんようだな」
座り込んだ私は左目の上のおでこを押さえます。手にはべっとりと血が!あの男の鎖付きの棒がかすったのでしょうか?身体が恐怖で震えます。
トエリが叫びます「シャーリー、セシル、非常信号!」セシルが非常信号を上げました。救援が来るまでもちこたえないと!
私のお腹に太い腕が巻き付きました。いつの間にか後ろにいた大男に私は抱え上げられました。
「そのお方を放せ!」シャーリーとセシルが大男に魔術を使おうとして殴られ動かなくなりました。
「姫さま!」予備の銃を両手に大男を狙ったアネットの両肩に矢が刺さりました。屋根の上に弓を持った女が!
ステラはこれもまたいつの間にか現れた女剣士と切り結んでいます。トエリは必死に鎖付きの棒を避けています。
鎖付きの棒を持った男が叫びます「シダーク!さっさと行け!そのガキは大事な餌だ、壊すんじゃないぞ!」
大男は私のお尻を叩きました「さあてな、無理そうだぞアーランド?」
あまりの事態に私は声も出せません。
そして大男は恐怖で固まる私を抱え路地を走り出しました。




