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2.精霊

「改めて説明させてくれ。こいつはハイエルフの元で修行している精霊見習いのシマさん。こう見えてドラゴンの巣から単独で逃げ出した猛者だ」

「ほぉ。見た目によらずやるではないか!」


「精霊にも見習いってあるんですか?」

「ハイエルフってエルフと違うんですか?」

 ドランとジゼルの質問が重なった。


「エルフはエルフ種の総称で、ハイエルフは森エルフ・海エルフの上位種だな。世界樹と迷宮の管理を行っている。ハイエルフはエルフ種の中でも魔力量も寿命も桁違いなんだが、同種でさえ生涯で実際に会うことは稀だ」

「森エルフと海エルフ……」


 またもや知らないワードだ。

 頭にはてなマークが浮かぶジゼルのために、クオッツは詳しい説明を付け足してくれる。


「森に住んでるエルフが森エルフで、海中や港町に住んでるのが海エルフ。里に所属しないエルフはエルフとそのままで呼ばれることが多いな。海エルフは手に水かきがあったり、肌が日に焼けてたりするから見ればすぐ分かるぞ。里の外に出たエルフと森エルフとを外見で見分けるのは難しいが、純血であればあるほど食の好みが偏っている。だが一番の違いは精霊達との親和性だな。その精霊達についてだが……」

「キュキュキュッッッキュー」


 クオッツの合図でシマさんが鳴き声を上げる。

 先ほどとは違い、柔らかなものだ。シマさんの周りにふわふわと何かが飛んでくる。


 クオッツはその子達を姿別に整列させる。


「精霊には、こいつらみたいな属性精霊と呼ばれる人型の精霊と、たーちゃんやシマさんのような獣型が存在する。属性精霊はそれぞれの属性によって見た目の特徴が違ってな、右から順に風精霊・水精霊・土精霊・火精霊だ。俺達ドワーフは主に土精霊と火精霊と仲がよく、森エルフは風精霊、海エルフは水精霊と仲がいい」


 背中に羽が生えているのが風精霊。

 半透明な衣をまとっているのが水精霊。

 木こりのような姿をしているのが土精霊。

 そしてトカゲのような長い爪と尻尾、鱗を持っているのが火精霊。


「精霊と言ってもいろんな姿があるんですね」

「たーちゃんもはじめまして」


 クオッツ曰く、人と同じく髪や瞳などの色が異なることはあっても属性ごとの特徴は変わらないのだとか。ジゼルが文献で見た精霊のイラストは風精霊に近い。


 クオッツは机の上に置いてあった錬金飴酒の瓶からペレンナの実を取り出し、精霊達に与える。

 集まってくれた報酬なのか。ペレンナの実を受け取った精霊から順に解散していく。


「娘もたーちゃんも興味がないことにはとんと関心が向かないからな……」

「人生で精霊に会うことがあると思っていなかったので……」


 ジゼルはポリポリと頬を掻く。

 たーちゃんが精霊らしくないというのもあるが、もう少し興味を持った方がよかったかもしれない。


「他に俺が知ってる話だと、精霊の素質を持つ獣型の場合はシマさんのように親は普通の動物であることが多く、進化をすることで精霊になれるってことだな。進化方法はいろいろあるが、強い魔力を持った奴のところで修行を積むのが一番手っ取り早いみてぇだ。だが進化をしても本質部分が変わることはない。何かに宿ったとしても、本質が属性精霊であれば属性精霊のまま――っていってもこれもエルフ達から聞いただけで正確な情報かは分からんけどな! 十年後には全く別のことを言ってる可能性もある。現状困ってないんならそのままでもいいと思うぞ」


「そうなんですか?」

「精霊の言葉が分かる奴も、人の言葉を話せる精霊もほとんどいない上、どうも精霊は話し方がかなり独特らしい。うちの里で精霊の言葉が分かるのは俺の娘のガーネットだけなんだが、精霊の話を正確に理解するよりもミニチュア作ってる方が楽だってよく騒いでる。そういえばなんでたーちゃんはジゼルと契約したんだ? もうすでにかなり格は高いよな?」

「たーちゃんはねぇ、ジゼルがすきだからけーやくしたの!」

「見返りとかは」

「あめ! あとねぇ~、たーちゃんっておなまえと、すももらったんだぁ」


 いいでしょ~と自慢げなたーちゃん。

 クオッツはきょとんとするが、精霊仲間のシマさんからは尊敬の眼差しを向けられている。


「それだけか?」

「おいしいごはんとおやつと、このおようふくとばっぐもおやじさんとおかみさんがつくってくれたんだよ~。たーちゃん、ジゼルとけーやくできてとってもしあわせ」


 たーちゃんはジゼルの膝に移動する。幸せなのはジゼルも同じだ。

 ぺったりとくっつくたーちゃんの頭を撫でる。えへへ~と笑う姿はとても癒やされる。


「気に入った相手に力を貸しても、普通は契約まではしないもんなんだが……。俺がおかしいのか?」

「たーちゃんが特殊なだけだ」


 ドラゴンさんは「契約も湯が沸くより早く終わった」と付け加える。

 クオッツは口元をヒクつかせる。そこまで特殊だったのだろうか。比較対象がいないため、よく分からない。


番外編や記念SSを含めると今回がちょうど100話目となります(*´▽`*)

長く続けられたのも応援してくださる皆様のおかげです。


今後ともジゼルの錬金飴をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
たーちゃんは無邪気で可愛いですね〜 シマさんも素敵な契約相手と出会えると良いですね
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