登場人物・国・地名紹介(リアルタイム向け)
最新話を追っかけてくださっている方向けの登場人物等紹介です。
ネタバレを多分に含みますので、最新話近くまで読んでいる方以外にはお薦めしません。
多少の加筆を含んでおります。
本編が進むにつれ、必要に応じて編集により更新してゆきます。(次話投稿ではなく、このサブタイトルの物を加筆します)
登場人物・国・地名紹介(リアルタイム向け)
全体地図
ヴァイス王国
豊かな穀倉地帯に恵まれた小国。北にグラーフ王国、西にゼイウン公国、東にノワール共和国がある。国土の七割が平地である為、魔物の被害が少ない。しかしそれ故に実戦経験に乏しい軍隊しかなく、軍事力はお粗末なもの。
南は海に面しているため海軍もある。
主な産出品は小麦と綿。
ゼイウン公国とは同盟関係、というより軍事的に保護されている立場である。またノワール共和国とは香辛料や薬草を輸入している重要な交易相手。
王制だが、貴族の発言力も強い緩やかな封建制度の国である。
先代国王レナルドが農業中心から交易中心政策に舵を切ったのが功を奏し、国土の割に経済的には豊か。徴税機能やそれを支える行政が優秀であり、内政面では周辺諸国でトップクラスの力を持つ。
国体を支えるのは外交官上がりの敏腕宰相と、軍事的保護国であるゼイウン公国にかかっている。
ヴァイス王国の登場人物
セラム・ジオーネ
主人公。元は会社員の男であり、謎のゲーム「グリムワール」により異世界グリムワールでセラムに成り代わった。
開始時点の年齢は12歳。(以後人物紹介の年齢は全て登場時点の年齢を表記)
青みがかった銀髪、蒼い瞳で背も胸も小さい。中身のせいで表情や立ちふるまいが年齢に見合わない。
彼女が微笑む時は大概良からぬことを企んでいる時とはカルロ談。
アルテア王女からは不羈奔放な人物と言われる。
とはいえ持ち前の器量の良さと性格のギャップがまた良いと兵士には評判である。
軍の階級制度が変わった段階で少将になっており、その時点で侯爵位を受け継いでいる。
因みにこの世界の爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士の順に偉く、男爵以下は一代限りである。現実世界とは違い、ファーストネームの後に爵位が付くのが一般的であり、人によっては賜った勲章の名の後に爵位を付けて名乗る者もいる。
つまり貴族として呼ぶ時はセラム侯爵、軍人として呼ぶ時はセラム少将となる。
特別な力などは何もなく、魔法も使えない。筋力、持久力は同じ歳の女の子より少しましな程度。瞬発力はそこそこ良いようだ。
元がシミュレーションゲーム好き、歴史好き、少々ミリオタ気味だったため、その知識を何とか活かして生きている。
元の日本人としての記憶とグリムワールのセラムとしての記憶が混ざり合っており、性格が少々不安定気味。しかしそれすらも武器にする強かさで列強と戦うヴァイス王国の筆頭武将に成長した。
ベル・レンブラント
ジオーネ家メイド長。23歳。10歳の頃セラムの父、エルゲント将軍に連れられてジオーネ家にやって来た。以来セラムの世話係として仕える。
諜報活動が得意であり、かつての、そして今の部下であるメイド隊を率いて奔走する。
どこでもメイド姿を崩さないその姿勢は例え戦場であろうとも発揮される。
セラムを溺愛するクレイジーサイコレズ。
実は元ゼイウン公国の名家の公女。故エルゲント将軍の手引きで部下共々落ち延び、以降セラム専属のメイド長として平和な時を過ごした。
セラムに対して母のような姉のような想いを持っており、セラムの一番の理解者であり味方である。その包容力は胸の大きさにも物理的に表れている。
フィリーネ
ジオーネ家メイド隊その一。その弓の腕前は随一。メイド隊はルチア以外全員ゼイウン公国のヤルナッハ家で暗部を担っていた、もしくはその候補生の女性であり、フィリーネは暗殺術や戦闘術に長けている。
その達人級の腕前を以てしても弓を扱う時は胸当てが無いと死ねる位の大きさの胸。
男性嫌いなのだが、最近は少し慣れてきた。
プリシッラ
メイド隊その二。金髪の美女で朗らかな性格。ただし表に出ているその顔が彼女の本当の姿とは限らない。諜報活動に長けており、仕事柄演技と変装の名人。どこにでも入り込みどんな仕事でもこなす。
メイド隊諜報部の統括をしている。
アデライデ
メイド隊その三。十九歳で、ルチアが入る前のメイド隊では最年少だった。毒物の天才で五歳の頃に発見済みの薬草、毒草の見分け方と効能を全て修め、七歳の時には新種の毒を配合、毒草の新発見もいくつもしていた。八歳の時に内乱によりヤルナッハ家が滅亡、ベルと共にエルゲントに連れられメイド隊となる。
現在はスティルルームメイド(お茶やお菓子の貯蔵や管理をするメイド)として働いている。彼女の作る薬物、そして毒物の知識はセラムとメイド隊にとってなくてはならない物である。
デメトリア
メイド隊その四。最年長の三十三歳。妖艶な色気溢れる女性だが、ヤルナッハ家時代の暗部の任務で性格が捻じ曲がってしまっている。セラムに対しては純真なままでいてほしいという親心と自分と同じ底まで世の中の暗い部分を見てほしいという、愛情とも嫉妬ともつかない複雑な思いを寄せている。
残虐な性質ではあるが暗殺や破壊工作などは誰よりも経験がある為ある意味頼れるお姉さん。
ルチア
ジオーネ家の新人メイド。通称メイド隊とは違い、ごく普通の暮らしをしてきた普通の女の子である。十六歳で最年少のメイド。そろそろ世代交代を考えベルが雇った常識人……だったのだが、外伝の三年後を見る限り大分染まってしまう模様。
ガイウス・サヴォルデッリ
ヴァイス王国宰相。
彼がいないと国がまわらないと言われる政治上最重要人物。
あらゆる手段を用いて今の地位に就いた海千山千の政治家。ただしセラムの前ではただの好々爺である。
どうやら友人であるエルゲント将軍の忘れ形見を自分の孫のように想っている様子。
若い頃は外交官として辣腕を振るい、ゼイウン公国との現在の同盟の形を作った。また、レナルド国王の命を受け道路を整備し交易路を整える事で彼の交易政策を助けた。
アドルフォ・モンティーニ
元ヴァイス王国副将軍で現在は大将。不幸にも片足を失くした。
騎士からの叩き上げであり、現場の信頼は厚い。
指揮能力も戦略眼も高いが政治的なことは苦手。良くも悪くも補佐が得意なタイプである。
現在はセラムにいいように使われている感もある。
アルテア・バスクアーレ・ヴァイス
ヴァイス王国の第一王女であり第一後継者。王制の国には珍しく他に兄弟姉妹がいないため、時期女王が約束されている。
セラムとは幼少時から姉妹のように育った幼馴染。昔はお転婆だったっぽい。
物語の途中でレナルド国王亡き後ヴァイス王国の女王として即位する。
リカルド
ヴァイス王国の公爵であり中将。貴族の中心人物である。
立場が彼を堅物にさせているが、根は熱い男。
彼が貴族派を纏める事によってヴァイス王国の政治・軍事はバランスを保てている。
貴族派代表という立場上ガイウスと敵対する時もあるが、個人としてはガイウスの能力を高く買っており、国の宰相として誰よりも認めている。
カルロ・サリ
ヴァイス王国常備軍中佐。セラム被害者の会その一。
真面目を絵に描いたような男で、いつもセラムに振り回されている。
20代後半ながら魔物討伐で功を重ねた経験豊富な指揮官であり、軍の運用に於いては調練、準備から隊の指揮まで堅実に仕事をこなす頼れる男である。
胃薬は常に常備している。
ヴィルフレド
ヴァイス王国大佐。セラム被害者の会その二。
金髪碧眼の好青年。
馬の扱いに長けており、若くして騎馬隊を任される。
機転が利き、何事もそつなくこなすため上に覚えが良いが、本人は実家の農園を継ぎ馬と妹と一緒に暮らせればそれでいいため、出来れば昇進したくないと思っている。
何の因果か対グラーフ王国重要拠点のヴィグエントの責任者となる。
自他共認める馬オタクで、その知識と愛情が率いる騎馬隊を無双のものにしている。
レオ
ヴィルフレドの副将で階級は少佐。最初はヴィルフレドの事を馬オタクの若造と侮っていたが、今ではその実力を認めている。
バッカス
大柄で筋骨隆々の野性味溢れた男。
その腕前をセラムに気に入られる。セラムから賜った青龍偃月刀は彼のシンボル。
出身はノワール共和国で元傭兵と本人は言っている。
その自信に見合った腕前で、セラム隊の危機を何度か救っている。嫌味の無い彼の人柄を慕う兵は多く、意識せず隊を率いる事も。
グリエルモ・ノヴィエロ
元ヴァイス王国の百人長。退役軍人として田舎で一人暮らしていたが、以前の経歴からセラムに才を見いだされる。エルゲントを始め多くの才人を部下から排出した、とセラムには思われているが、本人にその自覚は無い様子。
若い頃はそれなりに野心もあったが、軍の腐敗ぶりに幻滅して以来なるべく部下を死なせないよう立ち回った。結果として百人長というそこそこの地位に留まっているが、その智謀は本物で、セラムは師と仰いでいる。
現在は参謀部付きのセラム隊で階級は少佐。愛すべき助平爺である。
ステファン
セラム隊の弓手。ワルターとダニエレの親友。セラムに看病された事があり、それ以来セラムのファンであり、セラムは敬愛する上司だった。しかしメルベルク砦でセラムと共に行軍したオーガに潰され死亡。死の間際にもセラムの名を呼び続けていた。
ワルター
セラム隊の槍兵。ステファンとダニエレの親友。ステファンと共にセラムのファンだったが、ステファンの惨たらしい死に様を見てセラムを恨む。
ダニエレ
セラム隊の工兵。ステファンとワルターの親友。どちらかというと大人しい性格でステファンとワルターの抑え役に回る事が多い。
ダリオ・アバッティーニ
ヴァイス王国元副将軍、後に中将。
名家の生まれで、身分の低い者を見下す性質がある。
身分が低いアドルフォより下になった現状に不満を持ち逐電。
実は妾腹の子で、母親から魔法使いの素質を受け継いでいる事を理由に家督を弟に譲った経緯があり、自分を含む魔法使いを憎む捻くれた性格になった。
のちにセラムの前に現れ凶弾を放つがヴィレムが庇った。ダリオ自身はベルの短刀の投擲により崖から落下。
レナルド・バスクアーレ・ヴァイス
ヴァイス王国国王。病に倒れ政務を執れない状態である。そのため娘のアルテアが国王代理として政務を執っている。
王妃を深く愛していたようで、側室はとらなかった。
実は物語が始まってから数か月後に死んでいたが、戦時の混乱を恐れた重臣に死を隠されていた。年が明けアルテアが成人したと同時に崩御が発表された。
エルゲント・ジオーネ
セラムの父であり故人。ヴァイス王国最後の将軍で、名誉元帥としてその名を歴史に残す。
指揮能力は当然高いが、それよりも政治的な手腕で将軍になったようだ。
彼と敵対する者は国内には少なく、レナルド国王やガイウス宰相とも友人であった。
ロモロ
ジオーネ領にある工房の親方。その腕前と工房の製鉄技術は確かなもので、数々のセラムの無茶ぶりをこなすナイスガイ。
誰がチートかといったら間違いなくこの男である。
コージモ
アッピア出版社長。
トマス
ジオーネ領主館の事務員。セラムの爺やの孫。徹頭徹尾現実主義で守銭奴。この世界では珍しいタイプである。事務員としては優秀な様子。
オリンド
ヴァイス王国に赴任する大司教。
タルキ
ヴァイス王国に赴任する司教。バルナバにセラム抹殺を命じた張本人。
バルナバ
セラムの魔族疑惑を晴らす魔物退治の時に教会から派遣された見届け人。その正体はヴァイス王国方面魔族討伐隊副長。真の任務はセラムの抹殺である。
魔族に家族もろとも住んでいた村を滅ぼされた過去がある。
袖に隠せる小型の折り畳み式クロスボウと毒矢でセラムとカゴメを窮地に追い込むも、逆に組み付かれ降伏を迫られ自殺。最期まで信念と任務の遂行を貫いた。
二コラ
セラム隊に配属された少年兵。主計二等兵として主に事務を担当している。
リオネロ
セラム隊の工兵隊に配属された新任中尉。
地名等
王都インペリア
ヴァイス王国の王都。
ジオーネ領は王都のすぐ西にある。
リカルド公爵の領土は王都の北東、少し離れた場所にある。
ジオーネ領
セラムの領地。先代のエルゲントの功績で治安は良い。セラムに代替わりしてからは彼女の新政策や発明品により急速に発展している。常に目新しい事を進めている為にヴァイス王国内では通称「実験都市」と呼ばれている。
ヴィグエント
ヴァイス王国の都市。グラーフ王国戦に於いて重要な防衛都市。
斜め後方、左右の砦からの連携によって都市を守る防衛構造になっている。
現在はヴィルフレドが守将となって幾度ものグラーフ王国軍の侵攻を防いでいる。
ノエ砦
ヴィグエント付近にある砦。ダリオの反乱時に使われた。
トパ
ヴィグエントの更に北にある街。現在はグラーフ王国に占領されている。
アッピア出版
プリシッラが情報操作の為に目を付けた出版社。資金繰りに困っていたところに付け込まれ嘘・大袈裟・紛らわしい一歩手前の記事を書かされる。しかしプリシッラの販路開拓や資金によって経営を立て直し、大手出版社の仲間入りとなる。
安い、大衆でも読みやすいと評判。ただしゴシップ誌としても有名。識者はあまり好まない。
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グラーフ王国
現国王の絶対王政の元、帝国主義に目覚めた軍事大国。
元々鉱物資源は豊富だが食料資源に乏しく、必要性に迫られ急激に版図を広げる。
南西に位置するモール王国を攻め滅ぼし念願の不凍港を手に入れてから、なし崩し的にゼイウン公国を中心とするグラーフ王国包囲網と戦争状態になる。
厳しい環境と数多く生息する魔物や異民族との戦ってきた歴史柄、精強な兵士が多い。戦い、勝った土地と人材と文化を吸収してきた為多様性に富む。獣人族などは元々辺境に住む異民族だったが、敗北した後に吸収された。
グラーフ王国の登場人物
ホウセン・クダン
グラーフ王国軍師。通称、隻眼の軍師。六将軍の一人。
軽薄な口調だがその頭脳は本物。離間工作でヴァイス王国、ゼイウン公国を手玉に取った人物である。
その正体はセラムと同じ元日本人。その頃から傭兵として世界中の紛争地帯を渡り歩いていた経歴を持つ。グリムワールのホウセン・クダンとなってからは六将軍として采配を振るう。
本人も非常に強い魔法使いであり、現代知識と魔法の融合により水操銃やそれを扱う操術師部隊を作り、多様な戦略、戦術を駆使する。
世界最強を目指し、少々自惚れの強いきらいがあるが、それに見合った実力を兼ね備えるセラムのライバルである。
ヴァレリー
グラーフ王国軍ヴァイス方面軍司令代理。
ヴィグエントの防衛・維持を任されている。ゼイウン方面の救援に向かったホウセンの代理として指揮を執っていたが、蒸気圧力式大砲の奇襲によりヴィグエントは陥落、その際に戦死した。
キルサン
ヴァレリーの部下。隘路の村付近でセラム隊と戦うが、セラムの馬車による即席陣地に手こずり、ヴィルフレドの援軍により大敗北し戦死。
ロスティスラフ
ホウセンの部下で肉体派の指揮官。頭を使う事は苦手だが、彼が率いる部隊の突撃は並々ならぬ衝撃力があり、戦闘は滅法強い。オットーとは同期で仲が良い。
自分が素手で仕留めた動物の頭蓋骨で作った兜をコレクションしており、それぞれに愛称を付けている。熊さんのはテディ。
オットー
ホウセンの部下で同期のロスティスラフとは違い頭脳派の指揮官。損耗を恐れない非情な策も立てる冷徹な一面がある。
ブレージ
ゼイウン公国からの降将でホウセンの部下。その独特な割り切った考え方はゼイウン公国人ならでは。
ミロン
グラーフ王国のベテラン二千人将。多分もう出ない。
ティムル
実力は本物のお髭がトレードマークの将。同じくきっともう出ない。
チカ・アルパ・ザガ
グラーフ王国南方方面侵攻軍団長。通称、人狼将軍。六将軍の一人。
グラーフ王国に敗北し恭順した異民族出身。亜人種、ワーウルフであり、狼の耳と尻尾を持つ女性。背は低く年若い。尚本人達は自民族の事をワーウルフではなく、誇りを持って獣人族と呼ぶ。ワーウルフという呼称はその昔魔物と混同されていた時の呼称だからというのが理由。
彼女が率いる獣人部隊の突撃力は凄まじく、個々の力は人間を遥かに凌ぐ。
チョロイン。
バルト
チカの副将。獣人であり、特にその血が濃い。
獣人族は血が薄まっており、本来持つ獣人変化が出来なくなっており、今ではその身体的特徴と人間よりも鋭い嗅覚ややや強い腕力や自己治癒能力を有すのみなのだが、彼は部族の中で唯一獣人変化が出来る。
変化した彼は狼の頭と体毛と鋭い爪を持ち、多少の傷は瞬時に治る。それは最早再生能力の域であり、並の人間が束になっても敵わない。
ユーリ・サヴエリエフ
グラーフ王国東方方面軍司令。六将軍の一人。
ノワール共和国を相手に軍事力をちらつかせ、政治的にグラーフ側に引き入れようとしている策士である。
カゴメ
メルベルク砦でグラーフ王国軍に雇われた傭兵。予備動作からその後の動きを全て見切る読みと超反応から繰り出されるその剣は、ホウセンから「ラプラスの魔のようだ」と言わしめる。
メルベルク砦が陥落後はヴァイス王国に流れ、その時ベルに雇われセラムの魔物退治の旅に護衛として同行する事になる。
不幸な生い立ちながら暗さを微塵も見せない心の強い女性であり、その言葉は自我が揺らいでいたセラムに多大な影響を与える。
ホウセンとセラムという両将が名付け親となった「秘剣ラプラス」は、相手の初動から動きを予測し超反応で回避と攻撃を同時に行う後の先の一の型と、相手の筋肉の動きや気配から起こる初動を察知し動作そのものを潰す超高速の攻撃で相手に行動をさせない先の先の二の型がある。ただし二の型はカゴメの肉体では負荷に耐え切れず、短時間で戦闘行動に支障が出る。
地名等
マレーラ大平原
元はゼイウン公国とヴァイス王国の国境内にあった土地。果てしなく続く原野にポツポツと集落や街があり、その広さ故に明確な国境が引けなかった。現在はグラーフ王国の支配領域に侵されてはいるものの、地政学的にここに拠点を置く意味は薄く、一足飛びにメルベルク砦やヴィグエントに侵攻拠点を置いていた状況であった。余程の大兵力が駐屯しているのでなければ敵の目の届かない位置を進軍する事が出来る広い平原であり、常に大兵力を駐屯させるのは余りにも利に見合わないのである。
なお、エルゲントが戦死した大戦もここで行われたものであった。
現在も中規模の軍隊くらいなら三国の軍隊が同時に行軍していても、マレーラ大平原内で会敵する事すら難しく、ましてその行軍を平原内で食い止めようとするのは至難の業。しかしながらメルベルク砦とヴィグエントが解放された今、この土地の重要性が復権してきている。
サングエスト病
症状は日光に浴びると苦しむ。しかし別に夜だと活性化する訳ではなく、段々と衰弱する場合が多い。症例が少なく治療法も確立されていない。
カゴメの義妹が罹っている。
ベルの調査では大昔に吸血鬼とされた村人達の症状に近く、カゴメの義妹も吸血衝動と戦っているのではないかと心配される。不確定ではあるが、感染源は血液感染ではないかと推測。
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ゼイウン公国
ヴァイス王国の西、グラーフ王国の南に位置する国。領土は広いが山脈がその多くを占めている。
川による水源が豊富で主食は米。
内戦が続いていたためか、兵士は精強な者が多く軍事力に優れる。
かつては皇族が治めるゼイウン皇国という国だったが、反乱により滅亡。公の位に就いていた三家が合議制によって国をまとめるようになる。
公国とは貴族が治める国政形態である。ゼイウン公国は、数ある豪族をより強い豪族が協力して治めているような状態である。
ゼイウン公国の登場人物
ヴィレム・マトゥシュカ
ゼイウン公国三名家の一つ、マトゥシュカ家の三男。15歳。
勇猛な父、リーンハルト銀翼公や兄達と違い、戦争が嫌いで勉強家。編み物が得意。
ヴァイス王国との同盟強化のためにジオーネ家の婿養子としてヴァイス王国に来る。
セラムが成人していないため、未だ婚約状態である。
最初は政略結婚を承知で自分の役割を果たそうとしていたようだが、次第に本気でセラムに惹かれてゆく。しかし皮肉にもそれ故に同行したメルベルク砦攻略戦の途中セラムを庇って凶弾に倒れる。最後の最後までセラムを想って死んでいった。
リーンハルト・マトゥシュカ
ゼイウン公国三名家であるマトゥシュカ家の当主。三名家はそれぞれ銀剣、銀盾、銀翼の称号を冠しており、リーンハルトは銀翼公と呼ばれている。老獪な策士。
イングベルト・マトゥシュカ
マトゥシュカ家の長男でヴィレムの兄。慎重で堅実な若き将。厳しい兄のようでヴィレムは慕いつつも少し苦手のようだが、実は愛情表現が下手なだけで心優しき弟を心配している。
本来は心優しき聡明な将であるが、マトゥシュカ家の長男としての自分の役割を承知しており、父の望むように行動する。第一次メルベルク砦攻略戦ではエーベルやドミニクの真っ直ぐな将としての姿勢に感服しながらも、最後はドミニクを暗殺しフォーベック家とペトラウシュ家の残兵を吸収した。
レオン・マトゥシュカ
マトウシュカ家の次男。地頭は良いがあまり頭脳を使う事はせず、性に合っているという理由で自ら先頭に立つ将となる。小難しい事は兄に任せ自分は武略で兄を支えると公言している。
竹を割ったような性格と自ら危険に身を晒すその剛勇ぶりに慕う部下は多い。心優しき弟を可愛がっており、誰よりも応援している。
その弟であるヴィレムが死んだと聞いた時はセラムを恨みもしたが、ヴィレムからの遺筆によってヴィレムのセラムに対する愛情の深さを知り深く感じ入る。
エーベル
ゼイウン公国三名家の内、フォーベック家が誇る将。敵を恐れず前のめりに死すゼイウン魂を体現したような猛将で、部下の信頼は厚い。
第一次メルベルク砦攻略戦の折、ホウセンの罠にかかり戦死。
ドミニク
ゼイウン公国三名家の内、ペトラウシュ家が誇る将。エーベルと合わせてゼイウン公国の二枚看板と言える良将である。
第一次メルベルク砦攻略戦の折、退却途中にマトウシュカ家の陰謀により暗殺される。
マルセル
マトゥシュカ家の将。セラムを危険視している。
地名等
ゲルスベルク
ゼイウン公国の都市。
マトゥシュカ家が治める、ゼイウン公国の主要都市である。
メルベルク砦
ゲルスベルクの北にある砦。
ゲーム上では二度の防衛任務があった重要拠点の筈だが、ヴァイス王国が関わることもなく陥落。
その後、ゼイウン公国三名家連合軍の猛攻を弾き返すも、援軍要請に応えたセラム隊により跡形も無く崩壊した。
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ノワール共和国
西にヴァイス王国、北にグラーフ王国と接する、南北に長い領土を持つ国。
風土豊かで、様々な動植物資源の宝庫。
二十二の都市国家が選挙で議員を選出し、二年毎の持ち回り制で議長を決める合議制によって一つの国を運営している。
共和国とは国民全体が国家を所有する、所謂君主が存在しない国家である。
流れ者や学者など、全てを受け入れてきた歴史的背景もあって、都市毎の特色も様々。また、大陸随一の魔法大国である。
この国で生まれた一人の天才魔法使いが二十年前に大規模魔法を開発したため、近隣国で唯一戦術運用が可能な魔法使い隊が存在する。
軍事形態は各都市が軍を所有し、軍内部選挙で選ばれた軍政務代表と軍事務代表が運営する。国難に当たっては議会の承認を得て軍を動かす。
ノワール共和国の登場人物
フラウメル
ノワール共和国の現議長の女性。
反戦派であり、対グラーフ王国包囲網の一角を担いつつも、グラーフ王国との和平を図っている。
マエリス・カールストルム
世界を股にかける大商会の副会長。24歳。
現会長の孫であり、体力的に衰えてきた会長の代わりに営業を担当する。
金髪眼鏡の知的な女性である。そしてその胸は豊満である。
マクスウェル
作中では名前だけ出ている賢者。ノワール共和国の魔法使い隊が扱う大規模魔法の基となる複合魔法の開発者。
作中の二十年前に「神の目」という神器を探し旅に出る。消息は十年前から不明。旅中では医師としても名声を馳せる。セラムやホウセンと同じ地球人の疑い有り?
ジョージ・ウィンストン
アッシュ・トパ出身の軍監。マクスウェルの弟子で、教養があり、新たな戦術を編み出す有能な軍人。自らをウォースパイト(戦争を軽蔑する者)と称し戦場に立つ。その矛盾に身を置きながら短期に戦争を終わらせる術を模索している。
モーガン
ノワール共和国軍人の軍政務代表。軍政を司るトップである。
ブラッドリー
ノワール共和国軍人の軍事務代表。軍事を司るトップである。
地名等
アッシュ・トパ
学術都市と言われる通り、この街の住人は学者や学徒が集まっている。フラウメルの出身地でもある。
神の目
神の見ている景色が見られるとも全てを見通す力があるとも言われる伝説上の神器。
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その他の登場人物
沙耶
セラムの元人格である日本人の幼馴染。相思相愛であったのだが、事故により他界。
セラムはその時心の距離が若干離れていた事や態度が冷たくなっていた事を悔いており、最後に交わした「約束を守る」という言葉は呪いとなって今もセラムを縛る。
セラムが「守る」という事に異常に拘る理由である。
神凪
神の声を聞く事ができる教会の中でも唯一かつ特別な存在。教会のトップである教皇にユーセティア神のお告げを伝える役目の最中、一度グリムワールらしき存在の声を聞く。
神々
グリムワール
世界の創造神。あくまで概念上の存在として信じられており、信仰の対象にはなっていない。
ユーセティア
グリムワールによって創られた善神。人々を守る役目を司るとされている。
ニムンザルグ
グリムワールによって創られた悪神。信仰している者に力を分け与えることがある。
グリムワールと敵対している?
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魔物
ゴブリン
下位魔物の代表格。小柄な肉体と少々の知性を持ち、主に家畜を襲う。群れを成し人間を襲う事もあり、人間の女を攫って繁殖に使う事もある。
オーガ
中位魔物。三メートルを超す巨躯と鋼の肉体を持ち、その筋力は樹木を圧し折る。並の人間では束になっても敵わないが、それでも魔物の中では弱い部類である。
ケルピー
下位魔物。水場に住む魔物で、水を汚染されると怒る。水の魔法を操る。
ヒルギガース
中位魔物。丘巨人とも言われる。大きい個体は体長十メートルを超す。大木や岩を武器として使う場合が多い。多少の知性があり、魔物と言っても性格は穏やか。滅多に人間と敵対はしないが、彼らや彼らと共存関係にある動物を傷つける相手には容赦しない。
オーク
下位魔物。豚頭の大柄な人型をしており、人を襲う。群れを形成する場合も多く、軍人や冒険者でも一対一では油断ならない。
女を犯す習性があり、率先して狙ってくる。嗅覚に優れる。
魔狼
名前は仮称。セラムとカゴメが遭った上位魔物。二本の角が生えた大狼の姿をしており、その瘴気と圧力だけで意識が飛びそうになる程。
災厄
名前は仮称。八十年前マレーラ大平原を荒野にせしめたと言われる魔物。現在は目撃情報は無い。