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悲しみ~俺のもふもふ~

 どうも、遅くなりました!


 あ、石を投げないで・・


 体調を崩してました。ハハハ、倒れてしまって。死んでないので大丈夫ですよ。


 ハハハ、

 ニーアさんが突如表れ移動手段を発明してくれてダブちゃんに散歩の時に負担を掛けなくて済んだとウキウキなブランです。


 そんな中ダブちゃんが仕事から帰ってきました。


 今人間に混じって暮らしているのでダブちゃんは近くの農場で働いています。

 観光地ですがここは昔から海と陸とで産業を支えてきたそうなので水産業も農業も盛んです。中でも南国のフルーツや気候のおかげで極端な気候でしか育てられないもの以外の野菜を数多く育てられるのでこの国での重要拠点の一つでもあるそうで大きな要塞もあります。


 そんな大きな街ですが大きな問題もあります。それは水の確保でした。


 水は近くにいっぱいあります。が、そのほとんどは海水が混じって塩害が出ていました。今では海水から真水に濾過する機械が開発されたのである程度確保出来ます。それでも今年は例年よりも気温が高く作物に与える為の水が不足しているそうです。


 人も真水が必要ですからね。ちなみに人が海水を飲み続けると死にます。


 そこでダブちゃんの出番です。ダブちゃんは人魚のハーフなので水の魔術は大の得意です。魔術で出せる水は真水なので畑に撒くだけでとても喜ばれます。ダブちゃんは魔力量も人より多いから疲れもない・・・魔力が使えるだけでも羨ましいのに。


 それでも作物を傷つけないようにするのは気を使うそうで帰ってきてからは私の毛並みを洗ってモフるのが日課になってました。


 ……あれ?前から日課じゃなかった?



 そんなモフモフを癒しにしていたダブちゃんに衝撃が走る事件が起きました。



 そう。玄関で出迎えた風船付きの私です。ニーアさんにナデナデされて綺麗にもなったブラン()です。一日の楽しみを奪われたダブちゃんは暫く固まってから私に手を伸ばしてモフってからまた動かなくなりました。


「あー、やっぱりそうなったか」


「きゅー?」(ダブちゃんの頭てしてし)

「・・・・・」


 あれ?私達余計なことしちゃった?


「聞こえているか分からないけど一応お帰り。お邪魔してるよ?」


「・・・・モフモフ・・」

「(´・ω・`)」


 うん、聞こえてないね。そんなに私を洗うのが楽しいかそうなのか。





 それから暫く固まっていたダブちゃんの頭をテシテシしているのにも飽きたので最近(とは言えこの姿になってかなり経ちますが)水族館とかで見たような水中で垂直立ちになるアザラシを真似してゆーったりまーったりと浮きながら横にも回転して漂ってダブちゃんとニーアさんの会話を聞いていました。ダブちゃんは所々片言になってました。そんなにショックかそうなのかぁー。



「それで、何で来たんですか?」


「暇だったからね」


「━━━━(イラッ)」


「というのは半分冗談で、ブランちゃんの感情があまりよろしくなかったから様子見とここのギルド長に呼ばれてね」



 え?さっきは聞いてないよニーアさん。私の様子見で来たんじゃないの?後、暇なんですね。



「君がこの街の農家さん達に力を貸しているのは知ってるよ。だから少し忠告しておこうかと思ってね。魔力で出した水は与えす過ぎると植物でも魔力酔いするからね。だから君が水を与えた土地から過剰に溜まった魔力を回収しに来たんだ。」



 ほほぅ。魔力って酔うんですか?車酔いみたいな?


 どっちにしても面倒ですね魔力って。あちらをどうにかすればこちらが悪くなる。キリがないですね。



「べつに君が悪いわけじゃないよ。君が水を与えなければ作物は全てダメになっていただろうしね。間が悪かったと言うか、本来だってあの程度水を与えたところで魔力酔いなんて起こさないからね。本当に間の悪い」



 ニーアさん曰く、魔力というのは場所により濃度の違いはあれど大気中にあるもので本来はヒトが魔術を使うだけで影響を与えるほど溜まったりはしない。今回は何らかの原因で溜まりやすくなっていたのか何なのか後少しで作物に影響を与えるところだったそうだ。


 因みにどう悪影響を与えるかと言うと、凶暴化するそうです。野菜が魔物化して暴れるらしい。どうも昔の人は何をトチ狂ったのか植物系魔物を改良して野菜を作ったらしい。魔力を溜めすぎると先祖返りしてしまうそうだ。オソロシヤイセカイノヤサイ。


 今後店で売っている野菜をみたら何度もこの事を思い出すだろう。コマルナァ~






「これも各地でみられる異変と関連があると思う?」


「俺に…聞かれても」


「何か見なかった?最近まで短い距離とは言え旅をしてたんだ。ヒトには見えない何かを見たりしなかった?」


「・・・・・・」

「きゅー」



 うーん、何か見たっけ?私昨日の晩ご飯までしか記憶を保持してないんだよね。だって・・・・だってなんだろ?何で?


 私が明後日の方向で頭にハテナを飛ばしている間に二人の話はかなり進んでいた。具体的に言うとダブちゃんと二人で遭遇したでかいナニかについてだ。


「でかい生き物か何かが海底を移動していた?」


「何か長いものだったと思う。蛇か━━ナニかだ」


「蛇、蛇ねぇ。」



 あんなに大きな生き物が蛇なら全長なんて何メートルですかね。メートルよりもキロの方がいいかな?どっちにしても私にはどうにも出来ないです。無力なアザラシはこーくすくりゅーを決めて壁にぶつかってます。いたい(×ω×)



無力なアザラシが壁に激突して、ダブちゃんが真剣な顔であの大きな生き物の事を深刻に考えていた。ギャグとシリアスが微妙に混じったような何とも言えない空気を破るものがいた。


 その人は何気無いとでも言うようにこう言った。



「ああ、多分それは関係ないと思うよ」



 さも当たり前の様にあっさり言いのけた。まるで何か知っているようにさらっと。確信でもあるのかのほほん顔で。



「“彼”はそんなことしないさ。基本寝てるだけだから」


「貴方は知っているんですか?あの生き物を」



 私が強かに強打した頭を届かない前ヒレで撫でようと四苦八苦している私を置き去りにしてシリアスしてるダブちゃんにニーアさんはのほほん顔を一瞬真顔にして眼光を鋭くして一言



「知らないことが幸せなこともあるんだよ」



 と、一言言うと元ののほほん顔に戻して頼まれた仕事をしてくるというと一瞬で姿を消してしまった。私は操作を誤り天井と風船に挟まれてジタバタ、ダブちゃんは何とも言えない冷や汗を背中にかいていた。


 私は心底シリアスには向いていないことが今ここで判明した瞬間であった。





 



 あ、冷や汗かいてるの背中だけじゃないよダブちゃん。私を撫でる手もじんわり汗かいてました。



 そしてやっぱり悲しそうに私と風船を見て



「━━━━はぁ・・・」



 そんなに悲しいのか。



 可愛いものを求めるダブちゃんは相変わらずだったのでした。





 誰の悲しみかサブタイでバレるよね!

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