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『反逆の咎人(とがびと)勇者 〜仲間に裏切られ追放された俺は、邪神の力を喰らって真の救世主(魔王)となる〜』  作者: 白狸
第3部【世界法則(フォーマット)崩壊編】〜星を喰らう原初神と、すべてを終わらせる究極の魔王〜
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(最終話)【反逆の咎人勇者】誰にも支配されない世界

『――理解不能。バグがシステムを上回ることは、論理的にあり得ない。絶対防壁、最大出力展開』


原初神アルファの巨大な無機質の声が響くと同時に、何万重にも折り重なった光の盾(絶対防壁)がアレンの眼前に展開された。星の崩壊すらも防ぎ切る、世界で最も強固な概念の壁。


しかし、右拳に無色透明な『虚無の炎』を宿したアレンは、歩みを一切止めなかった。


「論理的にあり得ない? なら、お前らのそのポンコツな辞書をアップデートしておけ」


アレンは、絶対防壁の目の前でピタリと足を止め、大きく右拳を引きかぶった。


彼の中に渦巻く、追放された底知れぬ怒り。


自分を見下す理不尽な権力への憎悪。


そして、邪神ノアと共に練り上げた『誰にも支配されないという究極の意志』。


「どんなに完璧なシステムだろうが、最後に勝つのは――俺たち人間の『意地(バグ)』だ!!」


――ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!


アレンの放った最強の一撃が、幾重にも連なる絶対防壁を紙くずのようにブチ破り、光の巨人アルファの胸の中心へと深々と突き刺さった。


『……ッ!? 致命的エラー。修復、不能……。世界、初期化プロセス……停止――』


『虚無の炎』がアルファの巨体を内側から喰らい尽くしていく。


星の意志であり、絶対の創造主であった光の巨人は、最後に「なぜ自分がバグに敗れたのか」という疑問すらも処理しきれないまま、無数の光の粒子となって爆散し、完全に消滅した。


その瞬間。


星の深淵を覆っていた真っ白な幾何学空間が、ガラスのようにパリンッと音を立てて砕け散る。


――サァァァァァッ……。


アレンがゆっくりと目を開けると、そこはもう星の奥底ではなく、元の地上――魔王城のバルコニーの上だった。


見上げれば、裁定者エノクによって真っ白に漂白されていた空が、美しい本来の青空へと戻っていく。


システムによる「消去(デリート)」がキャンセルされ、消えかけていた大地も、風の音も、鳥のさえずりも、すべてが世界へと還ってきたのだ。


「……アレン、様」


背後から、震える声がした。


振り返ると、イリスや魔王軍の幹部たち、さらにはエルフの姫ルミナや元天使のセラフィアたちまでもが、魔王城の庭に集結し、空から降り立ったアレンを信じられないものを見るような目で見つめていた。


「世界の崩壊が、止まった……。神々だけでなく、星の運命そのものから、私たちを救ってくださったのですね」


セラフィアが涙を流し、その場に深く膝をつく。


それに呼応するように、魔王軍の魔物たち、エルフたち、そして生き残った人間の戦士たちまでもが、種族の壁を越えて一斉にアレンに向かって平伏した。


「おお……! 奇跡だ! 世界を救った真の神様だ!」


「我らが救世主様に、永遠の忠誠を!」


かつて、人々から「世界を滅ぼす悪魔」と恐れられていた青年は、今や全種族から祈りと賛美を捧げられる、文字通りの『生ける神』として崇められようとしていた。


誰もが彼を讃え、永遠の統治を願う、感動的な光景。


しかし。


「――神だの、救世主だの。……反吐が出るな」


アレンの底冷えするような低い声が、歓喜に沸く人々の空気を一瞬で凍りつかせた。


「勘違いするな。俺は誰かを救うために戦ったんじゃない。俺を見下し、勝手に俺の運命を決めようとした目障りな連中を……まとめて黒炎で灰にしただけだ」


アレンは自身に向けられた熱狂的な祈りや賛美を、鬱陶しいホコリでも払うかのように手で払いのけた。


「俺は神にはならない。誰かの祈りを聞いてやるほどお人好しでもない。……俺は、俺の邪魔をする奴を燃やす、ただの『魔王』だ。それ以上でも以下でもない」


恐怖と畏敬で静まり返る群衆を背に、アレンはバルコニーから城の奥、『玉座の間』へと足を踏み入れる。


彼に寄り添うように付き従うのは、真祖の吸血鬼イリスただ一人だった。


「ふふっ……ええ。それでこそ、私が永遠の忠誠を誓った我が王ですわ」


イリスが玉座の横に立ち、新しい極上の赤ワインをグラスに注いで差し出す。


アレンは無造作にそのグラスを受け取ると、漆黒の外套をバサリと翻し、世界で最も高く、誰にも見下されることのない『魔王の玉座』に深く腰掛けた。


「ああ。これからは、誰の顔色も窺わず、俺の好きにさせてもらう」


アレンが赤いワイングラスを軽く掲げると、脳内で同調したままの邪神ノアが『クハハッ! 最高の気分だぜ、相棒!』と愉快そうに笑った。


理不尽な理由で勇者パーティを追放された、一人の人間。


彼は、自分を裏切った人間たちを蹂躙し、傲慢な神々を天界から叩き落とし、ついには星の創造主すらもその拳で粉砕した。


結果として世界からあらゆる「支配」が消え去り、真の自由がもたらされたが……彼自身が「正義の味方」を名乗ることは、生涯、一度としてなかった。


――誰にも支配されない。誰にも頭を下げない。


圧倒的な闇と暴虐を以て理不尽をねじ伏せる、絶対無敵のダークヒーロー。


反逆の咎人勇者アレンの苛烈なる覇道は、彼が玉座に座り続ける限り、この自由なる世界で永遠に語り継がれていくのであった。


【反逆の咎人勇者~追放された不遇職、邪神の力で世界をねじ伏せる~ 堂々完結】

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