エピローグ
[フォレスト・アラヤ]で起こった事件から一か月が過ぎていた。
ミィの殺害を目論み、旧開発区に現れた[UCEE]の構成員たちは、そのほぼ全てが[守護剣]と都市警察によって捕らえられ、その仲間たちが入れられている刑務所に収監されている。
また、戦いの現場となった旧開発区の一角、廃墟の広がるあたりは危険として封鎖され、戦いの跡は多くの者の目にはつかなくなっている。
都市の主要な場所の被害は、ミィが投げた瓦礫による少数の建物の損傷のみ。
そのために、市民たちの記憶からは一月前の事件のことは少しずつ忘れられていきつつあった。
…そんな、ある日の夕刻。
「…るい、これ、とっても面白そう!」
そう言うのは、るいからのプレゼントである紫の衣装を纏ったミィだ。
手首のあたり絞られた袖と、腰から垂れる三角の布が目立つそれを着た彼女は、初めて見る祭りの光景に興奮する。
…今、[フォレスト・アラヤ]では一度は怪物騒動で中止、延期となった例の祭りが、再開催されているのだ。
街には以前と同じように屋台が立ち並び、店主の客引きの声や屋台のゲームをして結果に一喜一憂する市民の声があたりに満ち始めている。
その中を、ミィはるいと月音と共に歩いていた。
「…お姉ちゃん達、やらない?」
ミィはそう、るいと月音のことを呼ぶ。
それは自分よりも背、精神共に上の相手だから、というだけではない。
「そうね。長距離射的、難しそうだけど面白そうね」
「…せっかくですし、やってもいいかもですね」
ミィの言葉に、るいと月音は笑ってそう言う。
そうし、ミィを見る二人の目には、家族に対する暖かな感情が宿っている。
それは彼女ら三人が今はもう、本物の家族になっているからであった。
「…二人目の妹も、可愛いもの、です」
あの事件の後、無事仲直りをしたるいとミィの親密さや、前者が妹と、ややその場の勢いで言ったこと、さらには引き取り手が現れないままであったことから、月音はそのままミィを、自分達家族に招き入れることにした。
そうして、彼女は晴れて安心して身を寄せる場所を得、月音とるいの本物の妹となったのだ。
「早くやろ!」
「…そうねっ!」
興奮のせいで急かすミィに、るいは頷き、ミィの指さす店先に小走りで向かって行く。
そんな様子を見ながら月音は温かい表情を浮かべ、自身も小走りで走っていく。
「すっかりいい姉妹になりましたわね。以前より仲いい気もしますし、良かったですわ」
るい達の様子を、祭りを楽しむ人々の間から見、ラピラリは言う。
三人は楽しんでいく。
自身を夢に進ませてくれた妹と笑いあい、自分に暖かな場所をくれた姉と一緒に屋台のゲームをし、自分達が守った妹たちに楽しむ顔を見る。
そうして、平和が訪れた都市で、彼女らは幸せな時を過ごしていった。




