第10話 気まずい・・・
夜が明け日が昇り太陽の光は深い森を照らし、月明かりで見えていた風景とはまた違う顔を森は見せていた。眩しさを感じながら大きく伸びをすると、自分を座りながらにらみつけるエイクァが見えた。
「ん・・・んー! おはようエイクァ」
「・・・」
昨日の夜はあれからランもエイクァも眠そうだったので、お互いにおとなしく寝る、と約束して眠りついた。ランが最初に眠りにつきエイクァは自分が眠るまで寝ないと言いたげな目をしながら十分位で眠りについた。
はえーよ。
余談だが自分は二人がぐっすり寝ている間、寝たいのに寝られないという苦痛を味わうことになった。自分がどれだけの間、意識を失っていたのかは相変わらず分からないが眠ろうにも体がそれを拒絶して、眠れたのが明け方になろう時だった。
「ランもおはよう。ぐっすり眠れたか?」
「オォン!」
「・・・元気だな、いい子だ。挨拶も出来ない誰かとは大違いだ」
何となくまだ気分がだるいのでランの体に倒れ抱きつき、意味ありげにエイクァに目を向ける。
「なっ! 誰の事だ!」
「お前・・・は失礼か、ごめん。まぁ、もちろんエイクァの事だけど」
眠れない間に考えていたのはエイクァとの関係をどうしようか? という事だった。昨日は正直やりすぎたかと反省をしている。エイクァからの先制攻撃で腕の骨を一本やったとはいえ、自分の言葉遣いやあの脅迫は行きすぎだ。落ち着いてるつもりでも落ち着けてない、そんな変な気持ちだった。
「・・・何であやまるんだ?」
「エイクァの事、お前って言ってごめん・・・かな」
「・・・お前、おかしい。昨日と違う」
「それは・・・ごめん、とても・・・とても悲しい事があったんだ」
ケルスが死んだ。
もっと話がしたかった。
もっと見守りたかった。
もっと旅がしたかった。
もっと・・・世界を二人で見ていたかった。
それはもう出来ない、そう思いながらも想像せずにはいられなかった。
「・・・泣いているの?」
そう言われて自分の顔に手を当てて気がつく。自分はどうやら泣いていたらしい。
「ははっ、とも、だちがいたんだ。ずっと一緒だと、おも、ってた・・・」
「その人が・・・どうしたの?」
「・・・ころされたんだ、いい奴だったんだけどな。人助けばっかり、しててさ、ぜんぜん、知らない人でも、苦しんでたら、あいつはいつも、いつも、ムカつくぐらい、おひとよしだった・・・なのに・・・なのに!!」
それなのに・・・!
「ぶっ殺しやがった! あの兵隊どもが! 王の剣が! あいつの家族を! あいつを、全部ぶっ殺しやがったんだよ! 完璧に、家ごと、燃やして、絶対に助けられないように! ・・・許せない・・・許・・・さない!」
語気が荒くなる、自覚はしていたが抑えられなかった。それを見てランが心配そうな顔をし、自分の顔をべったりとなめてきた。
「・・・おい、大丈夫だよ。俺は」
大丈夫だ、そう自分に言い聞かせながら息を整える。ランとしては慰めてくれたのかもしれないが、その行為でただでさえぼろぼろの服が唾液まみれになった。
「よくわからないけど・・・守れなかったのか? お前は光る魔法が使えるぐらい強いのに」
「・・・あぁ、守りたかったんだけどな」
「・・・」
「・・・」
沈黙。少しいらないことを喋りすぎたのかもしれない。エイクァが話しかけづらそうにランに視線を向けていたのを見て、昨日の夜に事前に考えていた事を提案する。
「そういえばオオカミを返して欲しいって言ってたけど、何がしたいんだ? 内容によっては力になってもいいぞ」
「本当か!」
よほど嬉しいのかエイクァは一瞬で笑顔を浮かべる。
「可能な限り力になろうと思う」
「なら頼む、俺の村を守って欲しい!」
「・・・なにから?」
「最近盗賊が俺の村を襲おうとしてきて、とても数が多くて・・・このままじゃ危ないんだ」
「その村の人たちで抵抗できないぐらい強いってことかな? そいつらが」
「数が多いんだ。それにあいつら魔法を使う奴がいてよくわからないし、今は女達しか村にいないから・・・勝てない」
悔しそうにエイクァはそれを語ったが疑問点が出てくる。女たちだけ? どういう理由で男たちが居ない村なのかが気になったのだが、今の話で啓は自分がもしかしたらすごい勘違いをしているかもしれない事に気がついた。
「エイクァってもしかして・・・女の子?」
「え?」
地雷を踏んだかもしれない。無表情、ついで悲しそうに、そして怒り、分かりやすい感情の変化を表すエイクァの顔に啓は思った。
間違えたのは悪いけど仕方ない、と。
物語を書き終えた後に別で改訂版を出す事にしたので
これから一気に完結に・・・動くかもしれません(まだまだ先ですが)
引越し日はまだ未定・・・。




