*** 猫の鳴き声 2
目の前ではレンとフランが自分の言ったとおりの訓練をしていた。
「レン、もう少し水を凍らせる速さを上げられないのか?」
「・・・まだ貴方に教えられてから三ヶ月しか経ってんだから上出来でしょ?」
「三ヶ月"しか"じゃない。三ヶ月"も"だ」
あれから二人とは学園の授業が終わってから、毎日かかさず属性の訓練をするようになった。
レンはもともと水への適正が高いため氷は簡単だと思っていたが、教え始めた当初は物凄く苦労したのを覚えている。元々いた自分の世界にあった"冷やす"という事をすればいいだけかと思っていたが、じゃあどうやって冷やすんだろう? と考えると・・・そもそも氷を魔法を使わずに作る事が不可能だった。温度が0以下の場所に水を放置すればいい、言ってみれば簡単だが、実行しようとするとそもそもどうしようもなかった。散々悩んだ末、その問題を解決したのは"偶然"だった。魔力の動きを変則的に動かすことで周囲の熱を奪える事を発見したのだ。気分転換に法技か何かを作れないかと試していた故の奇跡だった。
「ケルス、レンばかりじゃなくて私にも何か助言してくれてもいいんじゃない?」
「・・・フランはもう風のコツを掴んでるだろ。あとはそれをもっと練習して力を上げるしかない」
フランの練習している風は氷ほど難しくない。すでに自分も使えていた為、習得に時間をかける事は無かった。ただ唯一の難点を挙げるとすればそれは・・・地味、だった。先に使えた自分ですら"ちょっと強い風"レベルなのだ。ひたすら練習に次ぐ練習でフランのそれは"強い風"までになっていたが、それでもまだどうしようもなかった。
「いつになったらレンみたいに強くなれるのかしら」
「そんな目で俺を見るな。・・・・・・仕方無いな、出来るかわからないが少し見ていろ」
以前、風を使った時に偶然出来た現象を再現できるかは分からないが試すことにした。集中し大きな木に向かって風を吹かせる。
「・・・なにしてるの?」
「静かに見てろ。運が良ければ見られるはずだ」
ただひたすら時間が流れた。そして五分ほど経ちそれはついに起きた。小さな音と共に木に傷が入ったのだ。ずっと風を吹かせていた為、その傷から大きな木は裂けて地面に倒れた。
「・・・え?」
「ふぅ、満足か? じゃぁこれが出来るようになるまで練習してろ」
「すごい! どうやったの?」
「知らないさ。風は適当に吹かせるとこうなるから頑張ってみろ」
「せめて何か小さなことでもいいから教えてくれてもいいんじゃない?」
「・・・本当に知らないんだ。あえて言える事は一つだな。技の名前は"カマイタチ"、何かを切りつける様な技だ」
「・・・カマイタチ。カマイタチか」
それでフランは聞きたい事が無くなったのか再び自分で練習をしに離れていった。
「可愛いなー。素直で、お前と違って優秀だ。なぁレン」
「・・・何がいいたいんですか?」
「別に? 特に深い意味はないさ」
「わかっていると思いますが、私にした事をフランにすれば私は貴方を許しませんよ」
「お前にした事? どれの事だ。お前の体を撫で回したことか? 蹂躙したことか? 体に穴を開けたことかもしれないな。それともその後、後ろから襲ったことか? どれの事だ?」
「全部です!!」
「・・・自業自得だろ」
「・・・・・・ばらしますよ? 存在を知られたら困るんですよね。"啓"」
レンのその言葉で空気が凍りついた。
「その名前は呼ぶなと言ったはずだ。もう一度穴を開けてやろうか? あの時は何とか死なずに済んだが次は分からないぞ?」
「あー怖い。でも貴方にはそれがもう出来ないわ」
やってやろうか? そう言ってレンの服を掴み近くの樹に叩きつける。
「私に・・・触るな!」
「っ!」
温度が下がる気配を感じてすぐに手を離す。しかし少し遅かったのか手の表面は氷のように冷たくなっていた。
「手加減しました。次はありません」
「・・・この技の危険性は教えたはずだがな。俺を殺すつもりか?」
「"フリーズオーラ"でしたっけ? 手加減したと言いました。次は殺します」
「ずいぶん強気になったな」
「えぇ、貴方のおかげで強くなれましたので」
「・・・約束だからな。もういい、お前はもっと"氷"の練習をしてろ。まだ凍らせる速度は遅いんだ」
「氷だけなら"啓"は超えたでしょ?」
「・・・警告だ。次に逆らったら"罰"を与える」
「怖がると思っているんですか? 何も出来ないくせに」
訓練を始めてからいつかはあると予想していた。未知の力を手に入れた驕り。いつかは自分に逆らうと予想していたがそれは思ったよりも早く訪れた。
「・・・はぁ。仕方ないか」
両手を伸ばしレンの服を掴む。その瞬間に腕から先が急速に冷えていくのがわかった。
「次は殺すといいました。もう、っんがぁぁぁあああぁあああ!」
「どうした? 俺を殺すんじゃなかったのか? やってみろよ」
レンの体はピクピクと震え、魔法にも集中できないのか自分の手はそれ以上冷える事も無かった。
「なんで学習しないのかなー。お前らにそれを教えて俺が何も練習しないわけがないだろうが」
"雷"で痺れているレンの制服の襟を掴み、フランから見つからない場所まで引き摺っていく。
「次からちゃんと言う事聞くんだぞ? ・・・さて、んじゃ久々に楽しませてもらうかな」
「あれ? ケルスとレンがいない・・・」
練習に集中しそれにフランが気がついたのは暫く経ってからだった。
猫の鳴き声
普通の書くといつまでも終わらないので中途半端だけどこれで一旦おわり
時間がすごいあまったら書き始めます。
気分的な問題でこの"痛い"部分はしばらく書くのが本当にきついんです。
省略したレンと啓の決め事
もう物語中で出すのは不可能だと思うので書いちゃいます・・・
1 フランと(レンとも)分かれたいから協力しろ
2 協力しなかったら消えてもらう
3 属性を教えてやるから頑張って覚えて次のクラス替えに優秀組みになって分かれろ
4 フランには目的は内緒
です
"啓"の名前は決め事をする時に啓が自分からぽろっといった設定になってますがそれも・・・いつか時間があったら・・・
Q 前の試験で始めてフランに使ったとき、習得できてなかったみたいな発言がなかったっけ?
A 雷による遠距離攻撃の事ですね。至近距離はこの時期に使えるようになってました。(これも作中描写は・・・ごめんなさい)




