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英雄の法  作者: 西表山cat
2章 幼い歪み
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第4話     新しいクラス

 ジェンヤ先生が教室に入った瞬間に教室の雑談がぱったりと消える。剣虎種・・・鋭い牙から相変わらず威圧感を感じる。だが授業を始める第一声は思ったよりも優しいものだった。

「おはよう諸君、まぁクラス分けの仕方を見て判っている者もいると思うが、言っておこう。このクラスには二年の試験で、比較的に成績が振るわなかったものをそろえている。成績が優秀だった生徒の先生は私よりもずっと優しそうな、しかも女性だ。まぁ別クラスと言っても一つしかないがな、去年一年過ごして知っているだろうが、別クラスと顔を合わせることはほぼ無い。教室が遠いからな、試験も別々だったから顔を初めて合わせる者も多いだろう――――――――」

 そうなのだ・・・このクラス、自分が知っているものがファーク以外にあまり馴染みが無い人ばかりだったのだ。しかもファークの席は大分離れているので多少話しかけ辛い。ディスチェに始まり、よく自分を気遣い勉強会などに誘ってくれたメイグもいない。先生も変わったので少し不安を感じてしまう。あの二人とも最初はなかなか打ち解けなかったのだ。新しいクラスメイトにどれぐらいで馴染めるのやら・・・。

「――――――まぁ残念だったな。こんな顔が怖い先生で。一応半年後、一年の時には無かったが、二年の中間試験でまた同じようなクラス分けが控えている。そこで改めていい成績を修めれば、クラス分けが行われる。私ではなく優しい先生を希望するものは勉強をがんばるんだな――――――」

 この先生何か顔について嫌な思い出でもあるのか? 別クラスの先生が優しそうとか、顔が怖くて残念だったなとか・・・

「――――――と話が長くなったが、以上だ。それでは授業を始めるぞ!」




「一年では主に攻撃、防御、治癒の魔法と、格闘を主に浅く広くと勉強をしてきた。二年からはそれらの分類ではなく、属性を教えていく。諸君がもっとも慣れ親しんでいるものはまず"火球"で間違いないだろう。これは分類が攻撃、属性は火に属する。使い方は飛ばして当てるか、腕に纏わせ相手を殴ると二つあった。水も教えていたが、これは適正を持っているものが少ないと知られていて攻撃にも応用しづらいので使っていた者も少数だろう。」

 水属性適正者が少数・・・少ないどころか、ケルスが実際に実践で使ってるのを見たのは一人だけだった・・・。

「さて・・・次に基本的な属性の数だが諸君が慣れ親しんでいる火、水、これに加え、地、の三種類だ。攻撃への適正は火>地>水で、防御は地>水>火、治癒は水のみとなっている。ちょっとした小話になるが、凄腕の魔法使いは風を・・・想像しづらいだろうが風を使用している者もいるらしい。まぁ今確認されている使用者はかなり少なく私も見たことが無い。後は伝説の中での話だが昔の魔法使いは"雷"なる光り轟音がなるよく分からない属性もあったそうだ。まぁ"風"、"雷"この二つは覚えなくてもいいぞ。最近では見間違いかなにかだといわれてるぐらいで、"雷"に至っては古文書でもよく確認が出来ず、時の権力者の作り出した――――――」




 長い授業が終わりようやく、昼休憩の時間になる。

『おい! ケルス!』

『・・・なんだよ』

『なんだ、その締まらない声は。属性だぞ? 属性。今までほぼ火でしか戦ってこなかったんだ。属性を習う期待は無いのか?』

『なに言ってるんだ、ただ地が加わるだけじゃないか。水は以前から使ってたしな』

『・・・おいおいおいおい。何を言ってるんだ、ケルス。聞いてなかったのか"風"と"雷"だよ! ってダメだ・・・やっぱり』

『なに自己完結してるんだよ・・・まさか風と雷を想像出来るなんて落ちじゃないよな・・・』

『実は・・・想像できそうだけど、やっぱやめとくは。それに自分にそんな才能が有るとは思わないし』

『・・・それがいいだろうな、だいぶ前に言ってた食文化だけで世界に災いが訪れるなら、伝説の属性で俺にどんな不幸が起こるやら・・・』

『だよねー・・・てか食文化、説明してなかった事まだ覚えてたのかよ。俺とっくに忘れてたぞ』

『それだけ気になってたんだよ』




 食事が終わり残った休憩時間を午前の授業の復習に当てる。

『なぁ、クラス変わって初日だぞ・・・普通お隣にいる人に声かけて仲良くしようとするのが・・・』

『・・・・・・おい、啓。一年俺の中にいて何を見ていたんだ。無理に決まってるじゃないか。俺は深く失望したぞ、なぜそんなに頭が悪いんだ』

 なんて馬鹿なんだといわんばかりに演技を混ぜながらやれやれとため息をつかれる。

『・・・そんなに嫌なのかよ。なら俺に任せてみない? ちょっと興味あるんだよね。ちょうど右に可愛い女の子がいるじゃん』

『また俺に代わって変な事言うつもりか? ・・・うまく仲良くなるだけならいいぞ』

 しばらくしてケルスが折れた形になった。多少恥ずかしくても隣にいるぎこち悪さを早く取り除きたいと考えたようだ。

『任せろ、俺を誰だと思ってる。5分で彼女にしてやるさ』

『うぉい!』




 覚悟を決める。

「えーと、初めましてかな? これからお隣になるケルスと申します。是非美しい貴女の名前を聞かせていただけないでしょうか」


『はぁああああああああ?? お前何考えてるんだよおおおおおお!! 俺の事考えてくれてるのかあああ?? なぁあああああ!!! ふざけんなよぉぉおお!!』

『大丈夫だ、問題ない。人間関係多少おかしくてもなんとかなるもんだ。これから証明するから見てろ』

 あまりもの自分の完璧な声のかけ方にケルスが感動して叫ぶが無視する。声をかけられた女の子は一瞬、自分に声をかけられたのか周囲を見回していたが、他に誰もいないことを確認して訝しげに自分を見る。

「・・・私ですか? ですよね。丁寧にありがとうございます。私はレンと申します、どうぞ宜しくお願いしますね」

 そこには昨日の試験でディスチェに一番最初に試験石を砕かれ泣いていた少女の姿があった。

『あれ? 昨日見かけたって事は一年の頃に同じクラスだったんじゃない?』

『・・・覚えてないな。俺は大分前の席だったし、レンは後ろの席だったんじゃない?』

『どれだけ人見知りなんだよ!』

「後ケルスさん、一年前から同じクラスですよ? 覚えてないかもしれませんが。今度はお隣ですから忘れないでくださいね?」

「覚えていたよ? ただこの数日間で見違えるほど綺麗になってたから気付かなかっただけださ」


『反省しろよおおぉぉぉぉおおお!』


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