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一時の雨

書いてて思ったのは戦闘を描写するのが苦手で一番時間を使ったかもしれないです。それ以外は何となくかけるんですが、戦いだけは苦手でした、前回から時間が空いたのはこれのせいかもしれないです。感想、ブックマーク等をもらえると励みになり、とても喜びます。続きもどんどん書くのでぜひ読んでください、誤字脱字などがありましたらご報告よろしくお願いします。

この世界において生と死は不可逆であり、誰にとっても等しく訪れる、人間、魔族、亜人、エルフ、竜、たとえ"神"でさえも、いずれも例外は無い。死者は蘇らない。魂や記憶は残らない。転生復活はありえない。だからこそ生物は死を恐れ嫌悪する。死は罰でも救済でもない、世界を循環させるための手段でしかない。

たった一人を除いては。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「体が痛い」


何も引いていない地面にそのまま寝ていたのだからあたり前だ。たぶん今日は嫌な一日になりそうだ


「まぁ屋根と壁があるだけ村長に感謝しないと何だろうけどな、でもやっぱり干し草かなんかは欲しいよな、体がガチガチだし、首も寝違えてるし、ほんとお優しい(ドケチ)村長様だこと。


「あれ、なんか入り口の前においてある?」



僕は家(壁は穴だらけで床は土、ドアなんてなく風や雨なんかが入りっぱなし)の入り口の部分に目覚めたら村長の家に来るようにと書かれた紙が石の下にクシャクシャにおかれていた。


『シグレよ、目覚め次第わが家に急いでくるべし』


「村長さんから呼び出すの珍しいな、いつもは僕と話すと穢れるとか言って代わりの者に伝言させるのに。何か嫌なことが起こる気がするな」


僕の予想は当たっていた、村長の家の側まで行ってみると人が入ったり出たりせわしなく出入りしていた。


「なんにかあったのかな」


村長の家に入ろうとした瞬間にいつもは嗅いだことのない鼻の奥に忘れられないような匂いがしてきた。寝起きで口の中が乾燥しているにも関わらず舌の裏が変に湿る、甘いのに腐りかけたような匂いが近づくたびに濃く生臭くなっていく


「これは、!血の匂いだ」


僕は何か良からぬことが起きたのだと覚悟し、家の中に足を踏み入れた。そこには数名の村の男たちが血だらけで倒れていた。僕は嫌な考えが頭によぎった。


「やっと起きてきたか、この穀潰しが、まぁ今日のとこはよい。穀潰しのお前にいい仕事があるぞ」


これはきっと村長や村の人にとってはいい話でも僕にとってはちっともいい話ではないのは確かだが村長の機嫌を損ねると給料どころか一日一食の食事すらなくなると僕は知っているので、反抗はしない。前は愚痴を一言こぼしただけで三日飯が無かった、あの時は死を覚悟したものだ。そこから僕は村長の前で余計なことを言わない、余計な詮索はしない、余計な行動はしないの3Yを守っている。これは目上の人を不機嫌にしない一番の方法なのである


「はい、お仕事を頂けるなんてありがたいです。僕ができることでしたら、なんでもさせていただきます」


「そうか、何でもかよく言った、では最後の仕事をお前にワシ直々にくれてやろう。感謝して死ぬ気で取り組め」


「はい、、、て、最後?村長、最後っ、、」


「お前の両親と同じくこの村のため、生贄にさせてやろう。これは名誉あることなのだ。最後くらいはワシらの役に立て」


僕が質問を言い終わるまでもなく告げられてしまった。大方これ以上僕と話したくないのだろう。まぁ起きた瞬間から嫌な日になるとは思っていたし、家に入る前にうすうす気づいてはいたが、まさか今日がその日になるなんて。何も実感がわかない、脳では意味を理解していながら心は理解して無い様だ。


この村の付近は比較的凶暴な魔物は居らず安全な生活を送れている、それは近くの洞窟に居るという魔物に生贄を出すことで保たれている、だが生贄を出してもまた数年すると付近の森の魔物が村の近くまで出てきて、村人を襲うことがある、まさにその時期が”今”である。僕の両親も生贄にされた。僕は生物が必ず持って生まれてくる固有スキルを持っていなかった、そのことを知った村の人達は僕のことを気味悪がり両親まで迫害されたのだ、その為村から生贄を出すタイミングで僕の名前が挙がったのだが、最初は父が、次に母が僕の代わりに生贄になったのだ。僕がここまで十六年間生きてこれたのは両親のおかげである。なので僕の一日の日課は、まず両親の墓参りから始まる。


「父さん、母さん、とうとうあなたたちのところに行くことになってしまいました。父さんがくれた母親との時間は僕にとって掛け替えのない時間でした。父さんは見たことは無いけれどそっちに行ったら一緒にキャッチボールとかできたらいいな。母さんが教えてくれた人との付き合い方や善悪の判断は、ひと時も忘れていません、僕が村の人々に虐げられても腐らず人を恨むことなく生きてこれたのは、母さんのおかげです。幸い今日一日は休みにしてもらったので最後に美味しいご飯でも食べてそっちに行きます」


いつもの日課をこなし最初で最後の休暇を後悔の無いようにしようと決め、両親の墓を後にした。


「後悔しない様な一日といってもな、今までろくに休んだこともないし、この村からどうにか出ようかと考え十年近く貯めていたお金を数えてみるが、逃げだすための馬車代には足りない、何をすればいいのやら、、」


麻袋に入った銀貨二枚と銅貨二十二枚と銭数枚を触りながら少量のお金でも自分が貯めたお金なので使わないともったいないと思っていると、目の前に今までは入るという考えすらなかった食事処が目に入った


「ボロボロだけど料理は高くなさそうだし、初めてパン以外の食べ物でも食べてみるかな」


中に入ってみると営業しているのかわかないほど暗く客も誰一人としていなかった。


「いらっしゃい、見ての通り誰もいない、好きなとこ座りな」


「あ、はい、ありがとうございます」


入り口の左側の小さな椅子に腰かけお酒を飲みながら話しかけてくれたのは、服もボロボロで痩せこけ、腰も曲がった爺さんだった。言葉道理にキッチンの目の前にあるカウンター席に腰かけた


「何にするかい?あまりいい物は出せないけどな」


「自分もあまりお金は持っていないので助かります。この店のおすすめとお水を一杯ください」


「あいよ、今から作るからちょいとお待ち」


言われた通り待っていると今までには感じたことのない、嗅ぐだけでよだれが出てくる匂いがキッチンから漂ってきた。


「あいよ、お待ちどうさん」


「ありがとうございます。いただきます」


出てきたのは見た目は濃い茶色で、表面だけが硬そうに焼かれているが切り分けると中はまだ赤みが少し残り触れると弾力があった。噛んだ瞬間に繊維がほどけるまで時間がかかった。やわらかいわけでもないが、石のように固いわけでもない、口に入れたことのない柔らかさだった。歯の隙間に細い筋が引っかかる感触が残るが、不思議と不快じゃない、味は濃く塩気と一緒に温かい脂が舌の上に広がる。噛めば噛むほどに口の中が乾く感覚がある、飲み込もうとすると少し喉で止まった気がしたので、一緒にあった水で流し込む。飲み込んだ後、腹の奥に重さが落ちた。満腹感というより何かを詰め込んだ感覚に近い、だが幸福感がすごい。匂いは食べている最中よりも、食べ終わった後に残りる。鼻先と域にしばらく消えない匂いが残った


「何ですかこれ!?初めて食べたんですが、こんなにおいしい物は生まれてから食べたことが無いです!」


「そうか、そんなにうまかったか、そういってくれると料理人冥利に尽きるよ。それはな、森付近でとれるウサギ肉だ、だが普通に焼いてもこうはならない。」


店主は教えてくれた、店に入ったときに見た疲れたようなあきらめたような顔ではなく、子供が好きなことを自慢するように楽しそうに。


「ほんと美味しかったです、最後にこんなのが食べられて僕は幸せです」


「最後ってのは、この村から出るのか?それなら今はやめておけ、村付近の魔物が活発化してるんだ」


「知ってますよ。」


「じゃなんだ?」


「その魔物の活性化を止めるために僕が行くんです」


「そ、そうかすまない、」


「あなたが謝ることではないですよ、これは前から決まっていたことですから。」


「そうか、本当は俺みたいなおいぼれが行くのが一番なのだろうが、あの村長は聞く耳を持たなかったんだ、力のない老人の最後の気持ちとして、今回の代金はいらないよ」


「いえ、こんなにも美味しい物を食べさせていただき、こうやって相手が僕だと知っても差別することなく話してくれる人なんてあまり居ませんし、どうせこの先使うこともないのです、貰ってください」


「何から何まで情けない老人ですまない、君が助かる奇跡を神に祈ってるよ」


「はい、ありがとうございます、ごちそうさまでした。奇跡が起こったらまた来ます!」


僕はそう言って店を後にした。


「この村には村長みたいな人ばっかりではなくいい人が居るんだなー」


僕の心はここで生贄になる事実と向き合い始め、体全身で理解した。諦めていた人生だったが、人との交流で心が生贄となることを嫌がり始めた。


「なんでだろう、、、覚悟は決めていたはずなのに、こんなにも死ぬことが怖く、逃げ出したくなったのは、嫌だ、、死にたくない、、死にたくない、残ったお金で武器でも買ってやろう僕にできることは適当に振り回すことくらいだけど、残ったお金を村長に取られるよりましだ!」


村で唯一の武器屋により、所持金で買える一番安い刃がボロボロな短剣を買う。武器屋の店主は僕が店に入ろうとした瞬間から嫌な目で見てきて、帰り際には後ろから何か投げつけられた。さっきの考えをやめたくなるような感情が湧いてきた、道中ですれ違う子供たちには石を投げつけられ、小さな子供には見せてはいけないような者のような反応された、慣れていたはずだったのにな。


武器を買い外を歩いていると嫌な顔しかされないので家に戻った、家に戻り時間をつぶし気づくと夕方になっていた。生贄の準備を始めるくらいの時間だ。最後に両親の墓に挨拶をして、村長からもらった歩きずらい白装束に着替え、村の人にばれないように、服の中に買った武器をしまう。どうせ僕のことをなめてるから、手荷物検査とかもしないだろうし、襲い掛かったところで、身体強化や武器系統の固有スキルを持った、護衛の人たちには無能力の僕では勝てないだろうし。なるべくなら、人は殺したくはない。


外に出て見入ると、村では村人がせわしなく準備していた。屋台や、ステージなどが設置され始めていた。村長に家に行く時、忙しそうだったのは、このためだろう。村人が重症のケガを負って帰ってきたのに、お祭りなんてするのかよ。


「母が生贄になった日もそうだった。それもそうだよな、村で気味悪がられている僕が居なくなると同時に付近の魔物がおとなしくなるんだもんな、祝いたくもなるよな」


僕は震える足を叩き村長の家に向かっていた


「逃げずによく来た、ほめてやる。」


僕は村長にに対して何も言うことなく、護衛に連れられ魔物の洞窟に向かったのだった。少し歩き辺りはもうすっかり暗くなっていた。洞窟の中へ松明を護衛の人が持ち先導してくれた。


「俺たちはここまでだ、せいぜい村のために役に立つがいい」


僕を連れてきた護衛は洞窟の半分くらいの場所までついてきてくれた。まぁ大方逃げないようになんだろうけど。僕は護衛の人から松明を受け取ると、護衛の人はそそくさと帰ろうとしていた。どうせ怖いのだろう。僕と一緒に居たら死ぬかもしれないし。


「一矢報いるにも松明を光らせていたらばれる。消しておこう」


「痛って、なんでこんなところにとがった岩なんてあんだよ、誰か傷薬持ってないか?血が出てしまった。」


後ろから護衛だった人がこけてけがをしたようだ、洞窟の中は光がほとんどなく、足場もゴツゴツしているので仕方ないだろうと思っていると、前方から今朝嗅いだ生臭い血の匂いがこちらに向かってきていた、


「まさか!、、、」


僕の想像は間違っていなかった、奥からドンドンと大きなものが近づく音がしていたが、自分なんて見てもくれず、僕を過ぎて洞窟の入り口の方まで行ってしまった。


「、、、死ぬかと思った~」


僕は安堵のため息をはきながらも耳を澄ませていた。すると洞窟の入り口から、護衛できていた人の悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえてきた。おそらく匂いにつられてお腹が空いている魔物は一目散に向かったのだろう。音はそれほど大きくは無かった、だが血の匂いはそれで十分だった。


「声が聞こえなくなった、でも帰って来る気配はない。」


他のやつが襲われている隙に逃げた人を追いかけているのかもしれない。僕は戻ることも考えたが、もし聞こえてないだけでまだ洞窟に居たら八合わせてしまう、それなので仕方なく奥に進むことにした


「とても生臭くて鼻で息がしたくない、でも口で息をすると、血の味がして気持ち悪いし」


血の生臭さに悶えながら奥に進んでいると、天井に穴が開き、月の光が山に神秘的に丁度さす、人骨や動物の骨などが沢山積み重なった山があった。


「多分今までの、生贄の人達の骨はここに」


僕は見てもわからないだろうと分かっていながら、両親の骨を探すのをやめることができなかった。山を見回していると、頂点に何か青い物が突き刺さっているているのが見えた。魔物が拾ってきたいい装備か何かいい物だと思ったので取りに行こうとした。


「すみませんが少しばかり、踏ませていただきます。」


生物の骨を踏みつけて上るなど失礼極まり無いのだが、今は緊急事態なのでお許しいただきたい。


「何だこれ、剣か?いや、剣にしては切れる部分が片方だけだし、包丁にしては長いし。色合いとかは剣としても納得いくくらいカッコいいし、どっかで見たことあるような、刀、、?」


頂点に刺さっていたのは、刀だ、黒を基調とした刀は光をほとんど反さない。柄は夜に沈んだ青がにじんでいる鍔は夜青色。装飾は何もない、誇張尻ための武器ではないのだろう。とりあえずその刀を抜いてみることにした。


「うわ!なにこれ軽すぎる。玩具かな?」


「玩具とは失礼ね。れっきとした武器なんだけど?アンタがひ弱でこのくらいの軽さにしないと持てないでしょ?気を使ってあげてるの。後、女の子に対して体重の話は禁句よ!」


周りを見渡しても誰もいない、だが声は耳からしっかりと聞こえてくる、


「うわ!刀が喋った!?」


「そんなことはとりあえずいいから、ちょっと見させてねー。【鑑定】」


「鑑定!?まさか君鑑定スキルが使えるのか?」


「使えるわよ、必須スキルじゃないの、、、て、アンタのステータスなにこれ!?」


「僕の能力はどうなの!?自分でも知らないんだ頼む教えてくれ」


「全ての数値が一般人の十分の一以下、魔力量なんてゼロ。しかも固有スキルないし、本当に生物?私だってあるのに、」


「期待しては居なかったがまさかそこまでひどいとはな。このまま村に戻っても殺されるだけだろうしなー、どうしよ。」


「ん?固有スキルは無いのにスキルは一つあるのね、って、、、これは、、」


「どうかしたか?」


「うふふ、面白いスキルを持っているわね。あなたの今後が気になるわ。決めた私アンタに付いてくことにするわ。アンタの名前は?私はアスル。これからよろしくね」


「何を勝手に決めてんだ?付いてくるって言ってもこの先生き残れるかも怪しいぞ?」


「そこは大丈夫よ、。安心して、貴方はここを切り抜けられる」


「ほんとか!確かに喋る刀なんて聞いたこともないし、きっと物凄い能力があるんだね?僕の名前はシグレ頼りにしてるよアスル」


「私の能力は、、、」


「ゴクリ、能力は?」


こんなにもピンチの場面なのに助かるなんて言うからにはさぞ凄い能力を持っているんだろうなと、期待を胸に秘めて聞いてみた。


「確かにすごいけど今のアンタじゃ使えないかな、使ったら体がバラバラになってもおかしくないし」


「え?、、じゃあどうやってここを抜け出すの?」


「♪気合♪」


「捨てて行こうかな」


「ザンネーンもう捨てられませーン♪」


アスルがそういうと僕の腰のあたりに少し重い感触が、アスルに似た色アスルががピッタリ入りそうな鞘が腰には存在していた。


「いつの間に!?」


「これで死んでも一緒だね♡」


「頼むから縁起でもないことを言わないでくれ」


そうこう話していると先ほどは真っ暗で見えなかったが、血のようにどす黒い赤色を体にまとう熊がここには月の光が有るのでしっかりくっきり見えた。


「洞窟に住み着いてる魔物ってまさか、、?」


「そう、アイツよアタシもここに連れてこられてさ何もできなくて困ってたのよ。だから倒しちゃって」


体長は二メートルはあるだろう、鋭い爪は護衛の人の者だろう血が付着していた。爪だけで俺の手のひらと同じくらいだ、あんなのに引っかかれたら、人間なんて豆腐のように裂かれるだろう。真っ黒の毛並にどす黒い赤色の液体を付けた熊型の魔物。レッドグリズリーだ。


「無理言うなよ。お前も僕のスキル見たんだろ?なら僕に戦闘ができる能力が無いことが分かるはずだけど、、」


「大丈夫大丈夫、スキルがあるから」


「スキルって言ったって使い方も能力も知らないんだけど?」


「まぁ何とかなるよ私が保証する!」


僕は、震える足を動かせないままブラックグリズリーを見つめていた。絶対に死ぬ。頭の中にはそれしかなかった。村でも自分の半分しか生きていない子供にすら勝てずいじめられているのだ。ずっと眺め動けないでいると。ブラックグリズリーがこっちに突進してきた。意外にもにも動きはそこまで早い方ではなかったが、震える足では逃げることなんてもってのほかだ。突進しながら迫りくる禍々しい爪をただ見つめることしかできなかった。


「死んだ、、、」


指一本たりとも動かすことのなく僕は死んだのだった、、、、、、、、、、


「・ぃ・・て・・いき・て・・生きて・・・・」


{死を確認、スキル発動ギフトを送ります}


「スキルが発動したのか、こんな絶望的な時に、間に合わないだろう」


僕に突進してきたはずだったブラックグリズリーは僕を背にして座っていた。


「どういうことだ、何があった?」


「お帰り、どうだった?生まれて初めてのスキル発動」


「何があったんだ?さっきまで突進して来てて、目の前まで爪があったのに」


「ほんとに貴方は何も知らないのね。貴方のスキルは【エヴァライズ】まぁ、簡単に言うと死ぬけど死なないわ。能力はそれしか知らないわ」


「死ぬのに死なない?何それ、チートじゃん」


「チート?何それ、まぁ私が切り抜けられるって言ったのはそのスキルが有るからよ。」


「じゃあさっきは死んでたのか。なんかギフトが貰えるって聞こえたんだけど、これも幻聴じゃないのかな?」


「どれどれ、【鑑定】本当だ筋力が少し強くなってる」


「やっぱり幻聴じゃないのか、、ってなんで上裸なの?」


「あいつの爪で服ごといったからね。体は戻っても服までは戻らないじゃない?」


「そうか、まぁ命があるだけましか。」


「シグレ、アイツこっち気づいたみたいまた来るよ。」


ブラックグリズリーは大きく鋭い爪を再度僕に向けて振りかざしてきた。


足はいまだに震えている、だが、死を経験したからか、少し成長を感じた。震える手で刀を構え、ブラックグリズリーの勢いをつけた攻撃を防ぐことができた。アスルの基本能力をおかげであることは百も承知なのだが。今はただ少し自分の成長がうれしい。


「突っ立ってないで、後ろに引いて!」


アスルのおかげで爪の攻撃を耐え、引くことまでできた。引くというか、勢いにで後方に飛ばされた感じだ。


ブラックグリズリーは、攻撃を止められたことにいら立ったのか、爪がどんどん間禍々しくなっていった爪のサイズは少し小さくなったが、より鋭く、より禍々しくなった。


「どうしようアスル、あんなの喰らったらアスルが折れちゃうよ」


「それは大丈夫、私は絶対に折れないから、しっかり受け止めるのよ」


レットグリズリーはへっぴり腰で震える手で刀を構える僕を引っ搔いてきた、刀の場所がよかったのか、体には直接あたることなく、アスルで爪を受け止めることができたのだが、先ほどの威力とは比べ物にならず、後方のとがった岩にぶっ飛ばされ、意識を失った。


{死を確認、スキル発動ギフトを送ります}


「シグレ!起きて!」


「また、死んだのか僕、」


「さっきとは、比にならないくらいの威力があるわ、シグレの筋力と技術力じゃ受け止められないわ。」


「じゃあどうすんの、次も生き返るかの保証もないのに?何回も死ねって?」


「このままあいつが飽きるのを待つまで何十回も死ぬか、一か八か死ぬ気で戦うのどっちがいい?」


「どう考えても後者だろ」


「だろうと思った、私の固有スキルを使うわ、体が爆散しないように気をつけなさい」


「どうやって気を付けるんだよそれ、でもいい、やってくれ」


{所有者の許可を確認スキルを発動します}


アスルがそう告げた瞬間僕の体の奥を灼けるような熱が血液のように全身を駆け巡った。血管の中を溶岩でも流れているかの熱量だった。


「ぐっ.........!」


骨がきしみ、筋繊維が悲鳴を上げているのが分かる。


それでも体は勝手に動き出した


レットグリズリーが爪を振り上げる、だが、今の僕には止まって見える


「遅いわ」


それはアスルの声だっただが、いつもよりも近く、僕の口から発せられていた。


一歩


たった一歩踏み込む、次の瞬間にはレットグリズリーの懐へもぐりこんでいた。黒い刀が月光を受けることなく降り抜かれる。


一閃


レットグリズリーの首もとから赤黒い血が噴き出した。魔物は何が起きたのかも理解できないまま、数歩ふらつき、その巨体を地面へ沈める


轟音ともに土煙が舞った


「やっ、、、た?」


戦いは数秒だった、だが、僕には何時間にも感じられた。


「シグレ」


さっきとは違う初めて聞いた時と同じアスルの声だ、その声には少しばかりの驚きと、いたずらがばれた少年のような声色


「ごめ~ん♪」


「え、、?」


右腕から力が抜けた、アスルが手から落ちる


カランカランと金属特有の甲高い音が聞こえた


続いて左足、左手、右手と体の自由が無くなってく


膝が崩れ落ちる。


呼吸ができない。


肺が動かない。


心臓だけが辛うじて嫌な音を立てて暴れている。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


そしてーー。


ぴたりと止まった。


視界が暗く染まる。


全身が遠のいていく。


{死を確認、スキル発動ギフトを送ります}


「よかった、ちゃんと生き返れた、体動くって最高なんだな」


「お帰り、今回は長かったわね、」


「そうなのか、僕からしたら一瞬だったから、」


「あなた一日に三回も死んだのね、【鑑定】」


「アスルが居なかったら、何回死んでも無理だったよ。そこだけは運がよかったのかも」


「な、なによそれ/// 別に褒めたってなにも出ないわよ。というか、これからどうするつもり?」


「そうだね、帰る場所もないし、お金もないし、仕事がありそうな王都でも目指してみようかな、」


「あなた、身分証明するものあるわけ?」


「、、ない」


「王都の前に他の村や町行って通行書とか手に入れないと」



「だね、一番近い町は、多分港町サーベントかな」


「鑑定結果とか、お互いのことも、サーベントに向かいながら話しましょ、最優先はそのボロボロな服ね、町にすら入れてもらえないかもしれないわよ」


「そうだね、服もボロボロだし、ちょと先代の人の服借りよっかな」


近くに倒れてあった比較的にきれいな服を着ている骸骨から服を借りて、多少は身なりが改善されただろう、所々破けてはいるが、変質者にも見られないだろう、腰に刀を帯刀している以外は。


「山賊とか魔物に会わなければいいけど、」


「別に心配することないでしょ、実質無敵なんだから」


「自分の目でしっかりスキルを見たいし、そもそも信用してないし、突っ立ってても意味無いし、とりあえず向かおうか。」



















私事ですか、新学期が始まり、新しい環境に慣れず、まあまあひどく体調を崩したのと、中間テストなどが重なり、前回から出すのがとても遅れてしまい申し訳ありません。読んでいただきありがとうございました。良ければブックマーク、感想等していただけると幸いです。

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