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白奏…弐

 傍らで聞こえた、存在が立てた音に視線を動かす。混ざり合った銀の隻眼が宿す世界の色もまた、白だった。

「行けないのか」

 拒絶ではなく、不可。

 軽く竦められた、肯定の意志を示した肩が、落胆の色を宿して落ちる。

「雪が降らないと。それが約束だから」

 哀しげに呟いた。相手が視線を座り込んだ床に落とせば、自然と交わらなくなる互いの瞳。

「雪…か」

 相手の単語を繰り返す。意味などない。理由もない。

 ただ、そうしたかっただけ。

 うな垂れている彼が見ている世界は白。

 窓の外を見ている己の世界もまた、白。

 冷たい硝子が隔てる向こうの時間を染めている色彩は、硝子玉の中だけに存在する事を許している。

 こうして眺める事だけが、唯一、私達に許されたこと。

 望むことも。

 求めることも。

 羨むことも。

 ただ、眺めている。

 それだけが、この白い世界でたった一つ、許されていること。

「雪か…」

 再度繰り返す。

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