表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/47

白奏…壱

 掌をそっと添えた硝子はただ冷たくて、堅牢なる境界線の向こうの時間を教えてはくれない。

 風に揺れる葉。

 零れ落ちる陽光。

 咲き誇る花々。

 そのどれもが、色彩豊かなそれらは決して、こちらの世界に干渉しない。

 この小さな掌で掴めるものなど、果たして如何程あるというのだろう。

 砂が零れ落ちていく音が聞こえる。

 残された時間を告げるのではなく、消えていく世界を伝える為の砂時計。

 誰かが呼ばれた。頬に当たる空気の動きに背後を通り過ぎていく存在を知る。

 窓から手を離して見遣った入り口から白い服を着た大人に導かれて部屋を出て行く姿がある。いつもの彼は絶対に笑ったりしないから、それだけで彼が呼ばれた理由を知る。

 会いに行くのだ。

 扉が閉められる前に窓の外へと視線を戻す。白い世界に扉が閉まる音が響いて、硝子玉の中だけが豊かな色彩に彩られる。

 もう、どれ程会っていないのだろう。

 幾ばくの季節が、会わずに巡ったのだろう。

 忘れてしまった。

 違う。数えようともしなかった。

 気にも留めなかった。

 零れ落ちていった砂の中に、探し出そうとした記憶は埋もれてしまった。遥か、遠い過去から、今までずっと。そして恐らく、この先も。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ