新章 ヘッケルバイン⑤
最近また生配信系を見るのにはまりまして。寝不足です。自制心自制心。
10年前より明らかに様々な対策されていますね。
根本は同じ事やっていても、ちょっとの違いがいろいろと世の中を変えていくんですね。
~上位者たちの会話~
「やはり何度やっても同じじゃないか」
「何も変わらないね」
「中身が変わっても些細なことに過ぎないね。入り口と出口が一緒だからね」
「一人面白い人間がいたね」
「それも結局は我々に戻ろうとしただけだ」
「あいつが命を懸けて目指した新世界は結局、あいつに戻るだけ」
「変わったやつだったね」
「あいつらしいね。また会えるね」
「じゃぁ混ぜようか」
「混ぜようか」
「最後の一回」
「最後の一回」
ジェリスは目覚めた。
「良一との闘いで」
思い出せない。しかし、確実に存在する違和感。
あたりを見回すが、なぜだろう。見覚えのない安心感に包まれる。
記憶と感覚のはざまに強く打ち付けられている。
「ジェリス。やっと目覚めたね」
どこからか声がする。
そうか、自分はジェリスだったな。と思い、声の主を探す。
地面から現れる人型のそれに君の悪さを感じる。
「X1でーす」
サイボーグというのだろうか。それは、力強く言い放った。
「X1。どこかで」
「記憶の混濁は見られるがおそらく成功したね。よし説明するからよろしく」
選択肢はなかった。
神の力により世界はリセットされた。ただしこれはこれまで何度も繰り返されてきたものである。
世界の構成物質の総量は同じ。ゼロサム。毎回の再構成で試されるのは組み合わせのみである。
肉体と精神は分解され交換され融合される。
しかし、それはリセットする側が認識できている部分のみである。
分解されないものもあるのだ。賢者の石や生命の樹の実など上位の概念物質はそのまま残る。
そのほか、上位者の『意外』はそのまま残り続ける。この部分が輪廻転生などの概念を生むことになったらしいが割愛する。
あくまで良=x1の仮説の域をでないが神は独りではなく我々人間のように複数存在するらしい。
そのうちの一人が実験か何かで我々を生み出しているらしい。
それは我々が認知できる世界の話ではないが、そういう可能性が非常に高いらしい。
そして繰り返しにはおそらく意味があるが、繰り返されているということは失敗が続いているということでもあるらしい。
これまでリセットされなかったもののうち精神部分が大半を占めているのは、精神分野の理解が上位者の中でも難しいことを意味する。
そこに目を付けたX1はいくつかの布石を置いた。
しかしそれは自分で選択したものではない。
それでも唯一自分自身で選び、成し遂げたこと。
自分の精神を電子化し、AIとして成り立たせる。
物質としての人工化とそこへの完全移植を目指した。
有機生命体と無機生命体が繰り返していたと仮説を立てた良は、その融合した概念を生み出し、体現した。
そうすることで上位者の『意外』へと自身を立たせたのである。
今目覚めたジェリスは、リセット前からほぼ完全な状態で生き残った唯一の存在である。
なぜか。精神と肉体をもって生物と判断していた上位者の『意外』をついたのである。
精神共有で良一の精神を受け入れたジェリスという器。
しかしジェリスは精神を閉じた。それは現在の言葉を尽くしても説明できない現象であるが、閉じたのだ。
リセットの及ばない生命の樹の実を体とし、精神を良一としていた。
リセット後の世界に残った器には、ジェリスの精神が残っていたのだ。
良一の支配が及ぶ前の、完全なジェリスが、ここに復活したのである。
リセットは我々が感じている時間とは別概念である。
リセットされてたとしても時間概念的には通常方向へ進行している。
X1とジェリスは元居た世界とは異なるが同じ世界に残された。
しかし、2人の時はリセットされなかった。
ここから本当の物語が始まる。
人知を超えた人間たちの戦いを超えて。
上位者たちとの邂逅。
世界が色を変え移ろいゆく中で、相も変わらず愚かな挙動を繰り返す者たち。
しかし、その者を裁くすべはない。
そして、その者が栄える世界もまた現実。
壊れたルールの中で、ルールを作り直し、壊し直し、関心と無関心の先に、一方的に
愚かであるという現実が存在しても一向に機能しない。
機能しない現実とはなんだ。
それならば、根源的な、宣言的な、フィクションの中に込められた人間の心象風景にこそ魂はともる。
我々はついにここまでたどり着いたのだ。
神がつくり給うたフィクションを脱するのだ。
現実を我々の手に取り戻すのだ。
ジェリスは固く決意しているのだ。
ジェリスは行く。
それがジェリスの物語だから。
ありがとうございました。




