新章 ヘッケルバイン①
キーボードのNが壊れ気味です。
PCショップ回ると一個だけは直せず、直すなら全とっかえと言われました。
悲しいです。
2045年。
存在感戦争と言われる世界戦争により、人類はその数を大きく減らしていた。
およそ10万人、それが世界に残された人間の数。
一方一時存在が消滅しかけていた日本にはおよそ1億人が存在していた。
ミルコたちは賢者の石の力を使い、日本の存在を固着させることに成功したが、それはそれぞれ同時に、しかし確固たる認識はされずに存在していた『世界』と『ヘッケルバイン』の交わりを表す。傭兵ミルコは人類全体を巻き込んだ大きなうねりに翻弄されることになる。
あらゆるものを分解、構成することができる『賢者の石』と融合し、力を使いこなせれば人類最強となったミルコ・クロフォード。
超人類を生み出す「ベストマン計画」を推し進める研究機関の一つ、サムライ機関の生き残り檜山良二。
あらゆる分野に精通し、存在感の研究を進めた超天才檜山良、そのオリジナル体の意識をAI化したx1。
『知る』ことを最上の快楽とする天才科学者ジェール・マルキンス。
日本を再構成し固着させることに成功したミルコ達だったが、『世界』の管理者であり結社のリーダー檜山良一に追い詰められる。
ミルコ達と行動を共にしていた最強生命体ジェリスの体を乗っ取り、迫りくる良一に、ミルコ達は賢者の石の力で『ヘッケルバイン』へと飛ぶ決断をした。
時は流れ2050年。
「資料に目を通してくれよ」
大介は歴史の教科書以来だなと思い年表に視線を預ける。
1873年 檜山良誕生
1970年 マルキンス誕生
1988年 良一・良二誕生
1990年 存在感戦争開始
1992年 ミルコ誕生
1995年 日本消滅およびヘッケルバイン誕生
1997年 ジェリス誕生
2001年 存在感戦争終結および結社の結成
2008年 教団の活性化
2009年 量子化精神の研究に着手
2015年 サムライ計画試験体全滅
2018年 量子化精神の発動
2020年 檜山良オリジナル隊全滅。X1の起動
2021年 ミルコの被検体化および存在感戦争の情報抹消
2045年 ヘッケルバイン固着
「いや、待て。クローンを繰り返したりしている檜山良と良一はいい」
少し間をおいて大介は続けた。
「マルキンス博士は80歳。良二は62歳。ミルコは58歳。ジェリスですら53歳高齢化も甚だしいな。そうは見えんし」
X1と名乗るAIが説明する(と言ってもスピーカーからの発声ではあるが)。
「存在感戦争以降に生まれた人間は従来の時の流れの感覚から見ればだけど、因子によって若くなるからね」
良二は補足する。
「俺たちは檜山良に生み出された時点で因子をいじられているから通常より若くいられる。サムライ機関の中にも肉体を若く保つ技術はある」
資料を渡したミルコ自身が改めて
「まぁ、手段とかはどうでもいいんだよ。嘘をつく意味もないし。いろいろややこしい。記憶をいじられているせいか存在感ってもの未だにピンとこないしな」
少し嫌味を含んだ視線をX1に送る。
無反応を決め込むAIに代わって大介が話す。
「それで、今2050年ということは、5年のずれがある」
中と外の時間がずれていたのかなと言いながらマルキンスが笑う。
「とりあえず、日本政府はもう存在しない。2045年に教団Zが統一組織として実質管理している」
こういった時に言葉を選ばないのはx1だ。
「教団が支配してるんだね。それにしても教団Zとはまた。元々の教団とも違うのかい」
「実質社会は大きく変わっていない。政治も仕事も遊びも、公的機関も。すべての根本が教団に置き換わっただけだ」
大介の説明にx1はかぶせるように言う。
「それは歴史的に支配っていうんだよ」
煽るなよとミルコが割って入る。
「とりあえず、この世界の1億10万人での殺し合い等は避けたいんでね。国外に統一組織結社があることはさっき説明したが、全面戦争は避けたい。何より、あんたたちの本尊になる予定だったジェリスも利用されている」
大介は興味深いはずの話の内容それよりもミルコが気になって仕方がなかった。
それがなぜかは分からなかったが、ソワソワした。
「いろいろ分かったが、いったん警察で身柄を拘束させてもらう」
大介は業務的に会話することで、落ち着きを取り戻そうとした。
ミルコが大きなため息をついた。
「俺の人生は拘束されるためにあるのか」
マルキンスがいやらしく付け加えた。
「いやなら世界をバラすか」
何なんだこのオカルト集団はと大介は本気で思った。
ありがとうございます。




