表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/110

75.改善策


「簡単ではないか。余かミヤコが仲良くするよう言えばよいのだ」

「アウル、それハ違うヨ。誰かに言われテ仲良くするナンて、苦痛ダヨ」

「コルリの言うとおりだねえ。誰かに言われて仲良くしても、どこかで歪みが生じてしまうよ」


 アウルの自信満々の意見には残念なら賛成できないよね。

 お兄ちゃんもわかってくれてるみたいで、同意してくれた。

 学校でもケンカの後に先生に仲良くしなさいって言われても無理だもん。

 子供のときの「ごめんね」「いいよ」のやり取りほど虚しいものはなかったよね。

 満足するのは大人だけ。

 だから私はタゲリに対して未だにわだかまりはあるんだよね。


「水の王様はヒッキーと仲良くなりタイみたいナノ。だけどヒッキーは何事ニモ無関心だカラ水の王様に興味ナイの。それで水の王様はヒッキーの気ヲ引こうとしテ、逆に怒らせテるノ」

「愚かとしか言い様がないな。では、どうするのだ?」

「うーン。水の王様がヒッキーに仲良くしたいっテ、言えばいいんじゃナイかな?」

「ですが、それだけでは土の王様は断られるのではないでしょうか?」

「確かニ……」


 水の王様の本音を伝えると、アウルは呆れたようにため息を吐いた。

 だよねー。今どき小学生男子でもやらないよ。

 あ、タゲリはそれっぽかったけど。

 ストレートに素直が一番だと思うんだけど、ツグミさんに突っ込まれて納得。

 どうしたものかと悩んでいたら、今まで黙ってたノスリが意外なことを言った。


「あのさ、関係改善っていっても、やっぱり俺たちが口を出すことじゃないと思うんだ」

「じゃあ、どうスルの?」

「それは……正直に言えば、思いつかない」

「ノスリ君の言いたいことはよくわかるけど、やっぱりそうは言ってられないよ。今回はここで起こったことだけれど、次は別の場所で精霊の王たちはケンカするかもしれない。それは王都かもしれないし、別の国かもしれない。不確かなことではあるけれど、それだけに僕たち人間はずっと怯えて生きていかないといけないんだよ?」

「そう……ですよね」


 ノスリの気持ちもわかるけど、やっぱりお兄ちゃんの言うことのほうが正しい。

 もちろんこれは全面的に人間側からの意見だけど。


「ふむ。やはりここは余の出番だな」


 満足げにアウルが頷いたけど、まだ話し合いの途中だよ。

 よっぽどみんなの役に立ちたいんだなあ、アウルは。

 それはたぶんミヤコちゃんもだ。

 ミヤコちゃんもアウルもとっても強い聖獣なのに、私たちのために行動してくれてる。

 本当にありがたくて嬉しくて、でも本当にこのまま甘えてもいいのかなって気持ちもあるんだよね。

 ただ今回についてはミヤコちゃんやアウルに頼るしかないのかな……。


「あ、ソウだ」

「コルリ、何か思いついたのか?」

「うん。あのネ、やっぱりアウルにお願いするコトになるんだケド……仲良くスルように言うんじゃなくテ、ケンカしても暴れナイように言うのはどうカナ?」

「ケンカを許すのか?」

「ああ、そういうことか!」

「それで上手くいくだろうか? 水の王様は俺たちのことをよく思っていないんだろう?」

「それは関係ナイよ。アウルやミヤコちゃんが言っテくれるんだカラ」

「お二人のことは崇拝していらっしゃる感じでしたものね」

「皆もケンカを許すのか!?」


 微妙だけど、けっこう有効な案だと思うんだよね。

 それを提案したら、みんな理解してくれた。

 ノスリは半信半疑って感じだったけど、それは水の王様のミヤコちゃんに対する態度を最初から見てないからだね。

 ツグミさんは見てたからしっかりわかってる。

 って、アウルを置き去りにしてたよ。


「あのネ、アウル……お兄ちゃん、パス」

「ええ? まあいいけど」


 難しい説明は苦手なんだよね。

 アウルは博識だけど、これは知識じゃなくて経験じゃないとわからないことなんだと思う。

 色々な人と関わって、気遣って生きてきた経験。

 私の無茶ぶりにお兄ちゃんはちょっと考えて、それから話し始めた。

 やっぱりお兄ちゃんは頼りになるなあ。


「仲良くするっていうのは、たとえば嫌いな者同士でも会えば気持ちに嘘ついて、にこやかに挨拶しなければならないだろう?」

「うむ。挨拶は大切なのだ」

「だけど、土の王様のような方には苦痛だと思うんだ。それでもアウル君やミヤコちゃんに言われたならしなければならなくなる」

「ふむ。あやつは暗いが忠実だからな」


 アウルってば、ヒッキーは暗いんじゃなくて引っ込み思案なんだよ。

 あとで注意しとこう。

 ヒッキーは繊細だから本人に言わないようにね。

 でも今は話の腰を折っちゃだめ。


「コルリの話から、水の王様もかなり面倒くさ……いや、素直じゃないようなので、挨拶するにも簡単じゃないと思うんだ」

「ふむ。あやつは真面目だが捻くれておるからな」


 うん。それは否定しない。

 ついでにプライドも高くて面倒くさいよね。

 お兄ちゃん、はっきり言っていいんだよ。


「だから、今まで通りでいいんだよ。嫌なことは嫌と言えばいいし、ケンカもすればいい、ただし、暴れない――というか、今回のように力を使って争わないでほしいんだ。気脈が変化するような、そこに住む人間や他の生き物たちに影響を与えるような力を使うのは避けてほしい。アウル君にはそう伝えてほしいんだ」

「なるほど。そういうことか……。うむ。よくわかったぞ」


 うんうん。私もよくわかったよ。

 さすがお兄ちゃん!

 これでヒッキーと水の王様も理解してくれたらいいな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ