表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生した平凡な私の非凡な日々~ドラゴンさんに懐かれました。  作者: もり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/110

48.合流

 

 旅は順調に進み、時々アウルがノスリに会いに行って無事を確認してくれたので、私たちは安心して新しく住む街に到着できた。

 出発から三日目までは普通に旅を続け、夕方近くになって人影が見えなくなった山道で、荷馬車や馬車、さらには馬までをミヤコちゃんが亜空間に仕舞ってくれたんだよね。


 そこからは大きめのフェニックスに変身したミヤコちゃんの背中に私とお父さん、お母さん、おばあちゃんが乗って、白澤に――私的に見て大きな羊っぽいのに戻ったアウルの背中にお兄ちゃんと双子たちが乗って、一気に移動した。

 双子たちは大騒ぎして、おばあちゃんはよくわからない神様に祈ってたり、お父さんとお母さんはなんだかラブラブしていて、私はとりあえずまっすぐ前を向いて何も見ないふり。


 そして、前もって決めていた場所に人影がないことを確認して降り立つと、ミヤコちゃんが亜空間から馬車を出してくれた。

 また旅を始めてすぐに到着した小さな町で宿に泊まり、やがて目的の街に到着。

 本当に楽ちんだったよ。


「ありがとう、ミヤコちゃん、アウル」

『うむ。我にとっては容易いことなのだ』

『よ、余だって、どうってことないのだからな。今すぐにでもノスリを迎えに行ってやるぞ?』

「あ、それはもう少しあとでお願いするね、アウル」


 みんなも長官の知り合いが探してくれていた貸家に着いて、口々にお礼を言ったんだけど、たぶん傍から見たら、ペットの猫と犬にお礼を言っている変な家族に見えただろうな。


 実は、とっても惜しいけど、ミヤコちゃんは小鳥の――フェニックスの姿を封印することにしたんだよね。

 この街までまだミヤコちゃんの噂が届いていなくても、時間の問題だから、別の動物に変身したほうがいいってお兄ちゃんの提案。

 確かにその通りで、ミヤコちゃんもかまわないって言ってくれたから、何の動物にしようかと考えて……本当はハムスターとかウサギとかもいいかって思ったんだけど、捕食動物として狙われても困るからね。

 猫でいいかな? ってお願いすると、ミヤコちゃんは二つ返事で了承してくれて変身してくれた。


 それがもう! もう! 子猫で超かわいいの!

 真っ黒な子猫と真っ白な子犬。

 何だろう、この至福。

 そんな二人がじゃれているともう! じゃれるとか! 

 本人たちは普通に遊んでいるだけだって言うけど、見てるこちらは子猫と子犬がじゃれているだけで、これにはもう家族みんなメロメロ。

 この姿だと、二人とも家の外にも出ることができるから満足みたい。


 そして、ご近所さんへの挨拶回りも終わって……って、私はずっと引き籠りだけど、落ち着いたところで、いよいよノスリを迎えにいくことになった。

 さらにはツグミさんもミヤコちゃんが迎えに行ってくれるんだ。


 私たちの旅立ちは三日後。

 この街はこの国の東の交易拠点になっているからとても賑やかで、私たちもそこまで目立つことなくあっという間に馴染むことができたから。

 ちなみにノスリの国――チャムラカ王国とも少しは交易しているみたい。

 ただ危険が多いので、商隊はあまり行きたがらないとか、護衛にお金がかかるから、チャムラカ王国の物価は高いとかって、いい噂は聞かないんだよね。

 たぶんノスリは知っているとは思うけど、何て言うか……居たたまれないな。


「じゃあ、ミヤコちゃん、アウル、気をつけてね」

『うむ、任せるがよい』

『コルリは心配性なのだ。我はちゃんとツグミを連れて戻ってくるのだ』


 夕方になって、ノスリとツグミさんを迎えに行ってくれる二人を私とお兄ちゃんが見送る。

 目立たないようにと、ミヤコちゃんもアウルも鳥の姿に変身してくれて、二人は窓から飛び立っていった。


「心配するな、コルリ。ミヤコちゃんもアウル君も世界最強と言っていい力を持っているんだから」

「うん、それはわかっテる……。それデも心配するのが親心っテいうか……」


 そう言うと、お兄ちゃんは大きく噴き出した。

 そんなに笑わなくてもいいのに。

 むっとした私に、お兄ちゃんは困ったような顔をする。


「わかってはいたけど、コルリも大きくなったなと思ってね。僕もそろそろ妹離れをしないといけないんだろうな……」

「え? お兄ちゃんはお兄ちゃんダヨ。そりゃ、いつかお兄ちゃんが結婚しちゃうト思うと寂しいケド、大好きなことに変わりはないカラね! 本物のお姉ちゃんだと思っテ、大切にするカラ、もしその……恋人ができたラ、ちゃんと教えてネ?」

「……コルリは馬鹿だな。そんなこと心配しなくていいよ」

「ええ……」


 何だか納得いかないけど、お兄ちゃんがすごく優しく頭を撫でてくれるから、よしとしよう。

 それからどうしても窓辺から離れることができなくて、お兄ちゃんも一緒に付き合って待ってくれた。

 色々な話をしているうちに、日が暮れて、雲が多い今日はとても暗い。

 やがて街の明かりもぽつぽつ消えていって、本当に真っ暗になってしまった夜空に、何かの影が動いた。


「お兄ちゃん……」

「うん? あれは……」

「ミヤコちゃんだ!」


 大きな黒い鳥がふわりと舞い降りてきて、窓辺で羽ばたくその背にはツグミさんがいた。

 お兄ちゃんが手を差し伸べてツグミさんを部屋へと引き入れると、ミヤコちゃんはぱっとその場で子猫に変身して飛び込んでくる。


「ありがとうございます、ヒガラさん」

「いや、無事でよかったよ」

「ツグミさん、いらっシャい! ――ミヤコちゃん、ありがとう!」

『うむ。もう少し早く戻ることもできたのだが、ツグミの周囲を驚かさぬよう、暗くなるまでのんびり空の旅を楽しんできたのだ』

「そうだったんだね! とにかく無事でよかったよ。ありがとう、ミヤコちゃん!」


 子猫から美少女に変身したミヤコちゃんをぎゅっと抱きしめる。

 ミヤコちゃんはいつものように「これ、苦しいぞ」なんて言ってるけど、離してあげない。


「ミヤコちゃん、本当にありがとう。とても楽しかったわ」

「ツグミさんが『ありがとう、楽しかった』って」

『うむ、どうってことないのだ』


 ツグミさんとミヤコちゃんの通訳をしているうちに、お兄ちゃんが「あ……」と声を上げ、そちらを見た瞬間、窓からノスリが勢いよく飛び込んできた。

 ノスリは一回転したけど、どうにか受け身をとって起き上がる。

 ええ? 何、その乱暴技。

 と驚いているうちに、空飛ぶ羊が――じゃなくて、アウルが窓から入ってきた。


『これ、アウル! ノスリを投げ入れるなど危ないであろう!』

『誰もいないことを確認したぞ。それに、ただ速度制御が難しかっただけだ』

「え? 今のって、アウルが放り投げたの? ノスリを? それはひどいよー」

『余は……余は、これでも頑張ったのだ……』

「あ、うん。そうだね、ごめん。ありがとう、アウル。助かったよ」

『うむ。まあ、頑張ったのではないか?』


 私とミヤコちゃん二人して責めたせいか、アウルの目に涙が浮かんだ。

 慌てて慰めてお礼を言うと、アウルはぐしぐし鼻をすすりながら少年の姿に戻る。

 そんなアウルに何を察したのか、ノスリは自分のコートをアウルにかけて、背中を優しく撫でた。


「アウル君、ありがとう。すごく助かったよ。それに空の旅も……かなりスリリングで楽しかった、かな」

「当然なのだ。速いほうがノスリは喜ぶと、余は知っておったのだ」

「うん、ありがとう」


 どうやらお兄ちゃんや双子たちを乗せた時と違って、かなりスピードを出したらしい。

 ノスリはちょっと汗をかいてて髪の毛もくしゃくしゃで、けっこう大変だったんだなってわかる。

 ひょっとしたら、ミヤコちゃんより早く帰ってきたかったのかもしれない。

 それで、保護膜のようなものもなくて、ノスリは直接風に当たったとか?

 まあ、羊と鳥じゃスピードも違うもんねえ。


「とにかくみんな無事でよかったよ。細かいことはあとにして、下に行こうか。父さんたちもみんな、首を長くして待っているからね」


 お兄ちゃんの一声で、みんなとにかく立ち上がった。

 ノスリとツグミさんを加えて、これから三日は賑やかになるね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ