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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
110/110

夏休みのはじまり

 


 エフィムを無事回避したので、週末は迷宮へ潜る。

 お金はもちろん必要だけど、お守り用の魔石も欲しいのだ。

 リェーンとオネエに相談した結果、基礎メンバーお揃いのデザインで服の中に隠せるネックレスを作ることになった。

 オネエは今魔動ミシンに夢中なので、今日はサオンとスケッチの三人。リェーンに素材袋も作ってもらったし、無理に全員で来る必要もない。元々オネエは戦いたい人でも稼ぎたい人でもないので、パーティから外すことも考えた方がいいかもしれない。あくまでも本業は服飾なわけで、そっちの方が忙しいしね。


「オネエのお土産に革もいっぱい回収して帰りたいね」

「そうですね! 虫に革はないので虫のいないところに行きましょうっ!」


 魔動ミシンは革も縫えるのだ。万能である。

 オトリとコトリ用に肉も持って帰らないとね。庭で肉焼き器を使って焼いていると、嬉しそうに寄って来るのだ。猫なのに。


「いい革が手に入ったらスケッチの装備も新しくしたいよね」


 私とサオンの防具は何も言わずともオネエが作ってくれている。しかしスケッチは財布が別だから勝手に作るわけにもいかないし、何より成長期の男子。サイズが変わり易い。


「背、ちょっと伸びたよね」

「わかる!? そうなんだよ! もうこのまま伸びないかと思ってた!!」


 珍しいくらいにスケッチのテンションが上がった。めっちゃ嬉しそう。

 元々スケッチは学園でかなり低い方だ。気にしているのかもしれない。が、残念ながらまだまだ私の方が背が高い。それも十センチ以上の差。いつも見下ろしてごめんね!

 サオンが何とも言えない笑顔で固まっているが、見ていないふりをしよう。


 いい大きさの魔石も手に入れ、革も回収出来、お土産の肉も手に入った。残りの素材を売ってほくほくしながら帰る。うん、中々の稼ぎだね。

 今のところ迷宮の深部に潜っている人は少ないようで、ほとんど人に会わない。つまり稼ぎ時! 追いつかれる前にもっと階層増えないかな。

 深く潜るだけなら簡単だけど、地図を完全なものにするのはやっぱり難しいようだ。罠がない分進みは早いらしいけど。

 

「このままオネエに採寸してもらおうか」


 温泉でさっぱりした後、スケッチの採寸を行う。お、やっぱりちょっとサイズ変わってるね。

 採寸後は夏休みの予定も合わせておく。スケッチはやはり自由参加の訓練に出席したいようなので別行動だ。ただ休みに入ってすぐの数日はパーティのランクアップ試験を受けるので訓練には出られない。


「セリカさんはどうするの?」

「せっかくだから遠出したいんだよね。東ノ島行きたい」


 話を聞く限りモンスターも迷宮も少なそうだけど、一回は行って見たいよね。珍しいモンスターのいる山も行きたいし、コジローを見るに間違った昔風日本になってそうだし、面白そう。


「南方も良いと思います!」


 サオンは南方がいいらしい。

 南方にはアンジュお姉様がいるし、特産がチョコレートだしいいかもしれない。強めのモンスターと迷宮があるなら南でもいいなぁ。


「……あまり楽しみにしない方が良いですよ」

「何で?」

「婚約者の問題がありますからね、実家に戻ることになるのではないでしょうか」

「…………」


 オネエが嫌なことを言う。でもそんな気がする。

 シシーが頑張ってくれた夕食を終えたあと、スケッチをきっちり家まで送る。油断した途端、スケッチは絡まれそうだからね。



 

 夏休み初日、寮に届いていた手紙は見なかったことにして、さっそくギルドへ出かけた。パーティのランクアップ試験を受けるためだ。

 四日以上掛かるとは聞いていたが、その理由は試験自体が遠方で行われるかららしい。

 その内容はランダムで決められた迷宮へ潜り、指定されたモンスターを狩って来ること。もちろん監視員がつくので素材を買って揃えたり、人を雇ったりなどは出来ない。もちろんそんなことする気はないけど。

 私たちが今回行くことになったのは、以前行ったことのあるキノコのいる迷宮だった。そこの五十階にいる触手の生えたキノコモンスターの魔石を回収すれば良いらしい。キノコに触手ってなんなの? 想像するだけでシュールなんだけど。 とにかく魔石は個人的にも欲しいので、一匹と言わずニ三匹は狩りたい。

 厄介なのは、監視員の護衛も務めなければならないことだ。監視員が戦えず弱いからではなく、護衛依頼にもきちんと対応出来るかどうか、ということらしい。今回は戦闘面だけしか見られないのでまだ楽だけど。生活面を含み依頼人の我儘も応えないと、となると面倒なことこの上ないしなぁ。

 監視員はおなじみアディさんだった。


「よろしくお願いしますね」


 うん、知らない人より知ってる人がいいよね。女性というのもポイント高し。

 アディさんに話を聞くと、女性が多いパーティだと女性の監視員の可能性が高いそうだ。今回はちょうど良い女性ハンターが捕まらず、アディさんが立候補してくれたという。

 うん、その調子で監視に優しさのエッセンス、お願いします。


 キノコの迷宮から一番近い町の宿に泊まり、翌朝からさっそく潜ることになった。

 目標が最初から五十階だとわかっているので、寄り道せずに魔方陣を使う。

 気配察知でモンスターを探しながら歩く。すぐ当たりとはいかなかったけど、一時間もしないうちに見つけることが出来た。 

 声を掛け合い協力してますよアピールをしまくってキノコ狩り。あっさり魔石を手に入れた。ちょっと苦笑いされたけど無事合格! 

 これで次はスケッチのソロだな。対戦相手次第だけど、合格ラインはいってると思うんだよね。

 せっかく五十階層まで潜ってるんだし、時間いっぱい魔石と他の素材も回収する。アディさんも苦笑い気味だったけど許可してくれたし。

 キノコの毒成分も抽出出来たので、サオンの投擲のいい武器になりそうだ。麻痺の粉とか便利そう。

 前回よりも深く潜っているので稼ぎも中々。本当は次の日も潜りたかったけど、アディさんがいるので断念。一人では帰せないので翌早朝、王都へと戻ることにした。



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