表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一章:中位の町・べリアス
10/66

ペルセの暴走ー制御不能の力ー

 ---無限とも思える、沈黙の時間だった。


 ダスノムの名前を出してから、店員は全くこちらに声をかけてこようともしない。何なら、視線を合わせようともしてこない。

 一部の店員は、ペルセが視線を向けると、気まずそうに顔を伏せたりはしていたが、基本は変わらなかった。

 一体、何なのか。先程の会話とは、何か関係があるのか。


 そんなことを考えていると、部屋の外が騒がしくなった。同時に、汚れ一つない白装束をまとった、複数の男が部屋に入ってきた。


「お呼び立てして申し訳ございません」

「全然かまいませんよ。…それで、該当のものはどちらに?」

「…こちらです」


 一人の店員がためらいつつ、男たちをペルセたちのもとへ導く。一体、何の用だろうか。

 男たちと視線が合う。その視線には、見覚えがあった。


「…何?おじさんたち、誰?」


 近づいてくる男たちに、ペルセは声をかけた。しかし、男達からの返事は返ってこない。

 …意味が分からない。どういうつもりなのか。


「…さぁ、『お嬢ちゃん』。俺らと一緒に、行こうか」


 男はまるで、幼子を諭すように、優しく、穏やかに声をかけてきた。

 ---その時の男の表情を見て、一気に息が詰まる、そんな感覚を覚えた。


 ---『貴様らは悪魔の恥晒し。消えてもらうのは当然だ』---


 …そう、言い放った、あの時の襲撃者と、同じ表情だった。

 自分からすべてを奪い去った、あの悪魔と---。


「ひっ…!?」


 思わず身じろぎし、座っていた椅子から落ちてしまった。

 足がすくみ、立ち上がることができない。尻を動かし、情けなく後ずさりすることしかできなかった。


「…どうしたのかな?怖いのかな。大丈夫、怖くないよ。ちゃんとしたところに、連れて行ってあげるから」


 男たちは、表情を一切変えることなく、ペルセ達に近づいてくる。

 助けを求めるように、周りに視線を向けても、誰も自分の方を見ない。


 ---あの時と、同じ。

 いや、あの時よりも、悪い。


 そう気づいたときには、すでに壁に背中が当たる感触があった。

 男たちは、なおも表情を張り付けて近づいてくる。


 ---怖い。

 怖い、怖い、怖い。


 来ないで…来ないで…。


 ---私に近づかないで。


 そう思っても、なお男たちは近づいてくる。あの表情を、浮かべたまま。

 ペルセの恐怖は、限界に達していた。


「いやっ!!!!!!!来ないで!!!!!!」


 ペルセの叫びが、店中に木霊した。


 ---彼女が記憶していたのは、そこまでだった。


 ペルセが気づいたときには、室内にいたにもかかわらず、視界に魔界の暗い空が広がっていた。


「…え…?」


 自分が何をしたか分からない。何が起きたのかも分からない。

 辺りを見ると、瓦礫が散乱しており、周りの悪魔達が大騒ぎしているのに気づいた。


 そして、白装束の男達は、部屋の壁にもたれかかるようにして、全員倒れている。

 ---あたかも、何かに吹き飛ばされたかのように。


「…ここ、さっさと出ないと…」


 またあの白装束の男たちに詰め寄られても困る。

 ペルセはそう判断し、店を出ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ