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転生した王妃は親バカでした  作者: ぶるもあきら
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私の罪(パウロside)



浮気の一つや二つ普通だろ?


若い頃の私はそう本気で思っていました。


恋愛結婚して、子供も生まれて普通に幸せな家庭だったのに、会社の上司に連れて行かれた飲み屋で出会った女性に無性に惹かれた。


向こうは最初は営業トークだったのかも知れない…

それでも私はそんな事もわからないほどに夢中になるにはそう時間が掛からなかった。


そんな状態で妻が勘づかないはずはなく、初めての子育てにストレスをためていたのかほぼ毎日口論になった。


そうなるといっそう家に帰りたくなくなり夜な夜な足は飲み屋へ向かう。


冒頭のように浮気なんて普通だろ?って言い聞かせながら。


それからしばらくすると妻は何も言わなくなった。


飲み歩いて浮気している事だけじゃなく日常会話すら事務的で必要最低限しか話さない。


その時、私は思ったのです。

ああ、妻のように私も上手くやればいいんだ…


それからは表面的には幸せな家庭を演じながら、気持ちと身体は浮気相手にと二重生活が始まったのです。


そんな事をしていれば浮気相手の妊娠が発覚。

結婚とか認知とかしなくていいから産ませて欲しいと懇願する彼女に私は堕ろせと言えず結果了承してしまうのでした。


十年以上、そんな生活をしながら両方の娘の父親として過ごしてきたが、ある日妻方の娘が高校に入学と共に妻は離婚届を置いて家を出て行ってしまった。


なぜだ?

普通に上手くやれていただろう?

なんで今のタイミングなんだ?


妻の置き手紙には、娘のためを思ってずっと我慢していた事。


浮気相手の女性もその子供もずっと前から知っていた事。


今は自分にも愛して愛されている存在の人がいるから慰謝料も何もいらないから離婚しろと…


妻であり母親となっても愛されたいと願うのはいけない事なのかと書かれていた。


生活が落ち着いたら娘は迎えに行くつもりだが、高校生になれば自分の意思があるだろうから選ばせてやって欲しいと結ばれていた。


青天の霹靂だった…


私はまったく予知できていなかった。


妻にも気持ちを寄せる相手がいたなんて…


自分の長年の裏切りは棚に上げて怒りが込み上げる。


もう遊ばない玩具でも人にあげるとなると嫌がる子供のように…


それから私はおかしくなった。


いや、あの浮気を当然としていた時から既におかしかったのかも知れない。


離婚届を提出して、浮気相手とその我が子を家に招き入れその直後婚姻届も出した。


残された娘、あかりを見ると出て行った妻を思い出し気分が悪くなる。


妻となった浮気相手とその娘を可愛がり溺愛する姿をあかりに見せる事で出て行った妻に仕返しをしているような気になった。


俺はお前がいなくてもこんなに幸せなんだぞと…


私が蔑ろにするからだろうか、新しい妻も娘の恵里奈もあかりを放置しているのはわかっていたが、それでも私はやめられなかった。


それが本当に悪手となっていたのに…


そんな時、あかりが高校を卒業する少し前に突然言われた。



「卒業したら家出るから」



すでに離れた地で大学も決まっていて学生寮に入るという。


特待制度で行くから学費も何もいらないと…


あり得ないかも知れないがあかりが大学受験していた事も、なんなら受験生だった事も知らなかった。


家族で放置していたからもあるが男親などそんなものなのかも知れない…



私はまた間違っていたのだ。


出て行った妻と同じように娘にも


(何もいらない)


と言われてしまったのだ。



それから話しかけようとも3年近く無視してきたのだ、なんて言えばいいのかわからない、放置していたと認識している妻も同じようだった。


唯一、あかりと良く話していた恵里奈もあかりが出て行くと聞くなり嬉しそうに喜んだ。


おかしい?仲が良かったはずでは?



そうしている内に卒業式の翌日、あかりは誰にも何も言わず静かに家を出て行ったのだった。



そしてこの時は生涯、もう二度とあかりと会う事は出来ないなどと思いもしなかった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 父親ほんとクズですねぇ。 優も、後妻がお金を止めてるとわかった時点でそれまでの分を送金し、その分のお金がなくても 以後は自分で送金すればいいのにそれをしてない…。そこありえない。 どっちの…
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