現代と狩猟民族時代のギャップ
現代文明は本来の人間の形に合いません! テレビでそんな言葉が流れる。
「なぁ」
「どうした」
「俺は昔の形質を求める人に違和感があるんだよ。なんていうか……タイムマシンを持っているような感覚で話しているだろう? もうすでに人類はいて、地球環境は不可逆に変化はし続けるし、元に戻ったらなんて仮定するのは……例えば太陽の紫外線が強化されて外にあまり出れなくなったのに『昔みたいに出れたらな』と言っている生物みたいな印象だ」
「確かにね。もうすでに人間は、いる。とはいえ昔の形質を馬鹿にしたものじゃないよ」
「というと?」
「まず、溜め込むエネルギー設計。瞬発的な運動能力設計。短期的なストレス設計。短期的な報酬系設計。早めの繁殖設計。これら5つが現代人にあっていない設計とよく言われるよね」
「ああ、糖尿病。腰への負担。鬱病。ガチャ依存。晩婚化とのミスマッチ。色々言われているな」
「そうだね。でも、それって昔の環境だけではなく、資源が安定しないとか、いつ状況が変わるか分からない場所だと、その設計はかなり強いはずだよ」
「……つまり、昔に適応してるんじゃなくて、不安定に適応してると?」
「そう。だから“過去の再現”じゃなくて、“崩れた環境への保険”に近いと思う」
「だが、人類は黙って滅ぶわけないし、環境も激変するだろう? 昔の自然に戻るとは思えないが」
「うん。だから、狩猟採集時代みたいな自然に戻るって話じゃない。むしろ、何が起きるか分からない環境に対応し続けるって話になると思うよ」
「……なるほど」
「手段は似ていても、前提と戦略はかなり変わるだろうね」




