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不完全な親切心
「麻婆豆腐弁当に持っていっていい?」
「いいですよ……いや、ちょっと待ってください。こぼれるかもしれないません。少しドロッとさせます」
私はお腹が空いていて、作った全部を食べたくて、かつ水分が多い方が好きなんですが……まあいいか。
「ごはんの下に入れる。これで、こぼさないよ」
それは確かに合理的だった。けれど、どこかで引っかかる。
――これであなたの目的は達せられますよ。
そんな風に言われた気がした。
貴方の為にやっているのだが?
ただの親切心の為にやっているのだが。なぜ、それが私の望みみたいに処理される?少し、イライラが溜まる。
……コントロールされたくないという思いがあった? 弁当についての独特なルールがあった? だから完全な親切ではない? そう解釈してもいい。完全な親切ではなかったかもしれないという予測が私の心を穏やかにした。
相手に対して完全にプラスな行為をしたと思うと、相手が予測から外れた時怒りが沸いて止まらない。相手にマイナスがあるかもしれない行動だからこそ、自分の心が穏やかで相手が自分の想像から離れても落ち着いて受け入れられる……そういうことかもしれない。




