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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
1章 1部
20/82

20.水の魔法


「じゃあ道具屋と冒険者ギルドとどっち行く?」


「冒険者ギルド?!」


お母さんが反応する。お母さんはギルドに行きたいみたいだ。


「私は道具屋に行きたいんだけど?」


サランは少し考えて


「うん。ちょっと待ってて。」


と言い走っていく。


「はい。おまちどう。」


横にポールを連れて走ってきた。


「サラン隊長・・どうしたんです?」


「うん。ポールはめぐみ様と一緒に冒険者ギルドに行ってギルドの説明とかお願いね。」


「・・・はい。って別行動するんですか?・・・りょ・了解です。」


サランはポールをジッと睨む。


「この町は大丈夫だよ。めぐみ様をよろしくねー。」


「じゃあお母さんまたあとでね。」


「うん。友紀も気を付けて。」


お母さんはポールの案内で歩いていく。


「じゃあ友紀様。道具屋はすぐそこですよ。」


道具屋は武器屋の角を左に曲がり真っすぐ進んだ右手にあった。4件隣の正面だ。小ぢんまりしたお店だが客は多い。


「いらっしゃい。」


50歳くらいの赤い髪のおばちゃんで丁度接客中みたいだ。


「カーラおばちゃん入るよー。」


「あら。サランちゃんいらっしゃい。ゆっくり見ていってねー。」


笑顔が素敵な少しがっしりしたおばちゃんだ。私は店内を見回す。干した草がいっぱいあって大量の瓶や秤、そして森の中に居るようないい匂いがする。


「ねえサラン、いい匂いがするね?」


「うん?この匂い?これはカルナックの森で採れる薬草の匂いだよ。」


「薬草って?」


「これこれ。この干してるやつ。深い傷は直接煎じて塗れば10秒くらいで傷がなくなるし指も急いで塗ってくっ付ければ繋がるよ。」


道具屋のカウンターの奥に紐で括られ干してある草。10秒は異常な回復速度だ。指もくっ付くんだ。


「ねえねえ、じゃあこのいっぱいある空の瓶は何に使うの?」


私は小瓶を1つ取ってサランに話かける。


「これは飲み薬にして貰うんだよ。煎じた薬草や毒消しの薬、病気の薬とかをね、おばちゃんの使う水の魔法の水と混ぜるんだ。

魔法で出した水は精霊の水と言って軽い病気や擦傷とかは治るんだよ。だからお貴族様なんかはこの水で料理をしたり普通に飲み水にしたりもする。奥に大きな瓶があるでしょ?中に精霊の水が入ってるんだよ。たぶんこの道具屋は世界で一番安い精霊の水を置いてる店だよ。」


「じゃあ水魔法をリンドバル侯爵領の学校で覚えればいいじゃない?」


サランは苦い顔で首を横に振る。


「それがそうもいかないんだ。水魔法の属性付与講師はここ魔法王国ゼストと南アルバート共和国と2人しかいないの。水魔法属性レベル10にならないと相手に与えられないし、この店のおばちゃんも毎日

水魔法使って商品作ってるけど属性レベル10には到底届かないみたい。」


「うん・・・。だろうね。そんな気がする。」


サランはキョトンとこちらを見る。


「んーん。何でもない。それよりもサラン、この瓶の水と空の瓶を買って帰ろうよ?」


「うん。私もエリアドル様に煎じた薬草と精霊の水を頼まれてたんだよね。」


「ごめんね。サランちゃん待たせたね?またカルナックの森にモンスターが出たのかい?あら・・初めてみる子だね?」


おばちゃんが手拭いで手を拭きながら話しかけてきた。接客も終わって少しゆっくりになったようだ。


「初めまして。友紀です。」


「初めまして友紀ちゃん。私はカーラ。見ての通り道具屋をやってるよ。それで今日はどういう御用向きだい?」


カーラさんはカウンターの横の柱に寄りかかりニッコリと笑った。私よりも少し背が高くて赤い髪に白髪がぽつりぽつり見える。昔は姉御って呼ばれていそうな人だ。


「カーラおばちゃん、精霊の水の大瓶1つと小瓶を10、それと煎じた薬草を3つ分頂戴。」


とサランが注文する。


「はいよ。ちょいと待っとくれ。」


カーラおばちゃんは大きなすり鉢を出し干してあった薬草を3つ紐を解いた。まな板で根だけを切り落とし別に分け20cm程の薬草を更に3つに切りすり鉢に入れ魔法を唱えた。

カーラおばちゃんの左手が青く光りポタリポタリと下に向けた手の平の小さな青い陣から水がすり鉢に落ちていく。その少量の水が入ったすり鉢に切った薬草を入れてゴリゴリと摺っていった。


「これで薬草の薬効を高めるのさ。」


カーラおばちゃんは不思議そうに覗き込んでいる私に気付いて笑顔を向けた。そこにサランがカーラおばちゃんに補足する。


「カーラおばちゃんの煎じた薬草に精霊の水を使ってくれるから効能がたかいんだ。死の淵だって救ってくれる。」


「そうなんだね。水の属性って凄いんだね。この国は水魔法使う人は多いの?」


「とりあえず魔法王国だからね。ゼストの血縁にも1人水魔法使いがいるし、公爵領にも何人か配属されてるはずだよ。エリアドル様もミランも使えた・・かな。いつもカーラおばちゃんに頼むんだけどね。」


「配属?なんで?」


私は驚いてサランを睨んだ。


「ここは魔法王国ゼスト、ゼストの国なんだ。リンドバル侯爵領で水魔法学院に入った時点で報告がいく。それが別の国の人でもね。昔は何度も外の国から返還してほしいってあったみたいなんだけど

ゼストは無視を決め込んでるみたいなんだよ。前は塔の関係者だけ出入り出来たんだけどね、関係者を装って逃亡しようとした親子が処刑されたんだ。見せしめに骨になるまで木に吊るされて。だからね、

水魔法を取得してもこの国を出られないし、配属も断れないんだ。」


「何それ・・ひどい・・。じゃあ誰も水魔法取りたがらないじゃない。」


「報奨金が出るんだよ。その家族に。村々は貧しいし税金も高いからね。ここは。」


歯を食いしばった。居ても立っても居られなくなる。でも何もできないのが歯がゆい。


「明日森に行こうか?レベルアップしないとね。塔に戻ってちょっと話をするよ。サラン。手伝ってね。」


「うん。任せてよ。なんでもするよ。」


「カーラおばちゃん、私にもその大きな瓶の水と小さな空の瓶を5つ頂戴?」


ちょうど仕込み終えたカーラおばちゃんに話しかける。


「はいよ。薬草はいいのかい?」


「うん。薬草はいいよ。その水と小瓶だけでいいよ。」


エリアドルさんやミランも作れると言う事だったが人付き合いもあるのだろう。私達は商品を受取り道具屋を後にした。馬車に戻り荷物を乗せてからサランとまた武器屋に向かった。


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