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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
1章 1部
19/82

19.武器屋のガドル


「友紀。ちょっといい?」


お母さんが話しかけてくる。


「たぶん、ここの人達って危機感っていうか、そういうのがあまり無い気がするのは気のせいかしら?ゼスト王の兵達も突撃するばかりだし。魔法を使う人達は少し考えている気がするのだけれど・・。

なによりステータスとかロープレっぽいじゃない。前の戦いでもそうだけど、ここの兵達ってみんな盾とか持ってないでしょ?それに魔法力ってあるじゃない?あれって昔のゲームで言ったら賢さなんじゃないかしら?これは全部私の想像なんだけど。」


私もそう言われると腑に落ちるところもある。だけど私達も今現在魔法力が高い訳じゃない。ここの人達もちゃんと喜怒哀楽は共有できる・・・危機管理能力は賢さなの?・・


「友紀様、まず武器屋に行って杖を買おうよ?」


サランが後ろを向き話しかけてくる。


「えー、もっと大きい武器屋とかが在庫多いんじゃないの?」


「でもここかリンドバル領でしか買い物できないよ。村とかにも武器屋あるかもだけど在庫は少ないんじゃない?」


「武器屋行きましょう行きましょう。」


お母さんは乗り気だ。どんだけ武器を持つ気だ。大通りの左手側に大きな武器屋が見える。結構大きなレンガ造りの2階建て構造だ。中に入るとコーナー分けされていて分かりやすい。

一番在庫が多いのは剣と杖だった。お母さんは剣のコーナーを回ってくるといい2階に上がった。私は1階の奥の杖のコーナー、椅子に座り足を組んで煙草を咥え本を読んでいる店員の横に杖とロッドが陳列していた。少し煙たい。

普通の木製の杖と金属製のロッドがあって握ってみてはステータスを見る。杖は基本的に魔法力上昇が多くて攻撃力が少ない。雀の涙程度だ。ロッドだとその逆で魔法力上昇が少なく攻撃力が高い。高いと言っても剣ほどではない。


「友紀様は魔法メインなんだから杖とかがいいと思うよー。」


サランがひょっこり顔を出して話しかけてきた。


「ロッドは殴ると杖よりも痛いから攻撃力があがるんだよね?ステータスの攻撃力補正ってあるじゃない?これはどちらでも付くの?」


「いんや。何故か杖は魔法特化なんだよ。ロッドはどちらかといえば魔法の効果も上げられる棒って感じ。だから棒術スキルが上がるんだ。杖は魔法力と魔法レベルを上げやすくする効果があるって感じかな。だから友紀様は魔法力と魔法レベルを上げるんだったら杖かな。」


「でも魔法レベルは素手でもロッドでも上がるんだよね?」


「勿論上がるよ。私もロッドだもん。だけど杖の方が早く魔法レベルを稼げるってこと。」


私は悩んだ挙句にロッドを選択した。どちらも覚えるのなら棒術も覚えたい。攻撃力も上げるのだ。私は欲張りなのだ。


「じゃあロッドにする。どのロッドがいいの?」


「友紀様はステータスが見えるっていう裏技使えるんだから、さっきみたいに手に取って確かめてみながら選べばいいよ。」


魔法レベルは武器を持たなくても光のライトを出してれば上がるとエリアドルさんは言った。

ならば杖やロッドである必要はないのではないか?

手で出せるなら普通の武器を装備しても出せる。魔法力アップの補正は確かにありがたい。

だけど私は攻撃魔法を使えない。精々ライトの灯りが大きくなるだけだろう。

これがゲームと仮定するならば魔法使いは杖とロッドしか装備出来ない?


「サラン。ちょっと2階に行ってくる。ナイフや剣も見てみるよ。」


店員がちらりとこちらをみる。


「サランの連れか?」


ぼそりと店員が呟く。サランは店員を見て頷く。


「ちょっと友紀様?魔法使いは杖かロッドがいいと思うんだけど・・。」


サランのその考え方に私は違和感をおぼえるのだ。

私は2階に辿り着き目についた適当な剣を握った。ステータスの攻撃力の上昇が確認できた。

装備出来るじゃないか・・。


「んんんんんんん。」


「どうしたの友紀?トイレは下よ?」


お母さんが慌てて声を掛ける。自分の娘が剣を握りしめてここで用を足すと思ったのか?

私はそこまでアホの子ではないのだ。念じながら唸っていると剣の先からポワンと光の球が現れた。


「出来た!出来るんだ。」


私は少し声を荒げた。お母さんも目を大きく開く。これはもう他の武器でいい。

もう・・{杖は魔法力を上げる。}・・・それだけなのだ。

攻撃魔法を覚えた時に・・更に言えば敵と対峙した時のみに使用すれば良いのだ。

私は他の武器も物色し始める。すると2階奥に長い武器が数多く掛けられているのを見つけた。

これは・・・槍だ。雑多に立て掛けられている槍、丁寧に横に掛けられている槍。ショーケースに入っている槍。

値段は様々だ・・が、槍の形状も様々だ。2m程の長さの槍や私の身長ほどの槍、剣のように先が真っすぐになってる槍もあれば三俣の槍もあってショーケースの槍なんかは2m程の長さで三俣に分れている横の剣が斧になってその逆側はハンマーみたいになっている。剣先は真っすぐ突き刺す感じだ。


「それはハルバートって言うんだ。槍としても斧としてもハンマーとしても使えるけど、嬢ちゃんには重いかもしれないぞ。」


2階に上がってきた店員が話しかけてきた。


「槍を使いたいのか?」


「うん。槍がいいんだけど、斬ったり刺したり出来るのがいい。」


「殆どの槍は斬っても刺しても使える。」


「スキルは?剣のスキルとか槍のスキルとか。」


「そうか・・・そういう事だな。それなら嬢ちゃん、使いやすい槍と使いやすい剣を使い分けるべきだ。ちょっと待ってな。」


店員のおじさんはゆっくりと2階奥、槍の陳列している横の小部屋に入っていった。


「友紀様、槍を使いたいの?兵士向けだよ?」


サランが不思議そうに私を見ながら感想を述べた。


「違うんだよね。なんかさー。兵士向けとか魔法使い向けとかさー。」


「ふうん。まあ友紀様が装備したいのを装備してみるといいよ。だけど杖もめぐみ様の分も2本買うからね?」


「うん。杖も戦闘時には使うからね。そのつもり。」


奥から木の長い箱を抱えた店員が戻ってきた。店員は足元に箱を置き開いて見せた。


「これなんかどうだ?」


鉄製の槍で私の身長くらいの短い槍。先は1本で先端は鋭く尖っているが剣のように斬ることも出来る形だ。


「これは手槍といって投擲も出来る武器なんだ。もちろん槍として刺す、斬るも出来る。お嬢ちゃんの言う剣スキルは剣やナイフのみにスキルの恩恵があるんだ。何故かは分からないがな。槍は斬っても刺しても槍術だけ。ハルバートも槍である以上、槍術だ。だがこれは投擲のスキルが手に入る。投げて敵にダメージを与えると・・だけどな。投擲のスキルの恩恵は投げナイフや手槍、手斧、石や岩も該当する。だが剣や普通の槍を投げて敵を倒しても投擲にはならない。

何故かは分からないがそういうもんだと覚えておくといい。お嬢ちゃんみたいな武器選びは好きだぜ。

俺は元ヴァレンシア帝国の武器商人ガドルだ。お嬢ちゃんは?」


「私は友紀。ちょっと遠いところからきたの。それとさ。この弓の矢って作れない?」


私は背中に袋に包んで背負っているボウガンを取り出してガドルさんに見せた。


「嬢ちゃん・・これは弓なのか?」


「うん。ボウガン。引き金を引くとシュバって矢が飛び出すんだよ。凄いでしょ?」


「ああ。こいつは凄い。これが矢か?作れん事もない。ないが・・・その代わり・・・」


「ああ。ダメだよ。ゼストに渡ったら面倒くさいし・・。」


「それは大丈夫だ。ここカルナック伯爵様の領民は全てゼストに敵対している。勿論俺もだ。」


ガドルさんはどや顔で親指を立てた。


「だったらカルナック兄ちゃんに聞いてからまたくるよ。」


まあ聞く気もないのだがとりあえずそう答える。ガドルさんは大きく目を開いた。


「お嬢ちゃん知り合いなのか?」


「まあね。今は詳しくは言えないけどまたくるよ。その槍と杖を2本準備しといて。杖はガドルさんに任せるから。あと矢だけ1本渡しとくね?」


「ああ。わかった。ちゃんと見繕っておいてやる。」


――――――――――― 

ガドル  レベル11


剣士

弓使い

槍士

格闘家



HP  48/48

MP   8/ 8


攻撃力   26 + 8

防御力   14 + 8 

敏捷性   18 

魔法力    7

魔法防御   6


装備

 

鉄の胸当て    防御力に+ 8



スキル

格闘 レベル4 素手補正 +8

剣術 レベル3

槍術 レベル3

弓術 レベル3

投擲 レベル2

棒術 レベル1


魔法 


―――――――――――


ゲオルグさんより強い・・・ヴァレンシア帝国ヤバし。


「それとさぁ。ガドルさん。」


「うん?」


「ヴァレンシア帝国ってみんな強いの?兵とか。」


ガドルさんは顎に手を当て少し上を向く。


「まあな。ここの弛んだ兵たちよりは強いんじゃねえか。塔の兵士とトントンかもな。そう言えば塔の兵士にはヴァレンシア帝国の人間も何人かいるはずだぞ?」


「そうなんだ・・・。」


モンスターや魔獣とも1回戦ってみないと分からないかもだけど、下の2つの国が滅んだのも兵士のレベル不足なのではないだろうか。前の戦闘を見ていてもエリアドルさん頼りではあったけど、カレンさんやリカルドさんも強かった。

5とか6とかのレベルで他の兵士の3、4人分程の強さはあった・・・。

私はガドルさんに手を振って武器屋を後にした。


「お母さん、行くよー?また今度ここに来る約束してるから。」


お母さんは名残り惜しそうだが仕方ない。


「ほらほら次行くよー?」


サランがそう言い、次の場所に向け歩き出す。


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