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転生したらヤクザになっていた!?  作者: 八雲武
序章 転生と私生活
6/32

第5話 日常の中での1つの光景

 自宅 地下5階 恵介の部屋


「・・・」


 俺が自室でやっているのは、ネットを使った株価の取引だ。

 自室のパソコンを使って、株価の変動を見ながら取引をしているので無言でマウスを動かしていることになるのだが、午前中で既に20万程の利益は出ている。

 元の世界では株取引は損する取引と言われていたし、この世界でもその基本法則は変わらないのだが俺の手に掛かれば何故か、市場取引の変動が手に取るようにわかるので一日平均としては50万円程の利益を出している。


 元々、俺にはそういった才能がないはずなのだがこの世界の俺は、暇つぶし程度にやっていたら感覚的に覚えていたのだろう。

 その他にも、転生した俺の記憶にない才能や技術、知識などがある。

 才能としては、数種類の外国語を完璧に習得して会議で出てくるような難しい単語で会話をすることが可能だったり、運動神経がいいので近接格闘術を覚えていたりしていた。

 技術は株取引で損をしない取引をしたり、交渉術やシステムエンジニアとして自作でパソコンを一から組んだりすることができる。


 知識としては何故か、生物学と経済学などの博士号を取得している。

 まさに、英才教育を受けていたみたいだが俺の記憶にあるものは全て途轍もない程、ハードな日程をこなしながら勉強をしていたようで中学生の時の記憶にいい思い出は殆どない。

 これじゃあ、普通に死にたくもなるなぁと思いつつ、作業をしているとドアのチャイムが鳴って複数のメイド服を着た女性が入ってきた。


「はーい、注射の時間ですよ~」

「とっとと採血されて実験体になるのですよ」

「はぁ~、今日も恵介様はかっこいいわ~」


 そんなことを言いながら、彼女達は勝手に入ってきたので急いでパソコンをスリープ状態にしてから、俺は彼女達にこう言った。


「せめて俺が返事をしてから入って来いよ」

「そしたらスルーするじゃん」

「待っているのも面倒だからとっとと入るに限るのです」

「ずっと立ちっぱなしなのもつらいのよね~」


 俺の発言に、反応した3人のメイドさんは順番に九条真理恵、上杉織姫、武田美夜子で彼女達は俺が小さい時からのメイドとして俺を支え続けてきたメンバーだ。

 普段、家にいる時はメイド服だが俺が個人的な用件で外出する時は、私服やスーツ姿で行動している。

 かつて、そのことに疑問を持った俺は彼女達に聞くと、


『そういう決まりなのです』


 と、言われて妙に納得した記憶がある。

 俺がそう思っている間、彼女達はこれから行う作業に必要な道具を部屋の中心にある机やその周囲に組み立てて行き、ものの5分で全ての準備が完了した。


「はい、坊ちゃんはここまで来ようね~」

「その言い方はいい加減にやめてほしいんだがねぇ」

「私達にとってあなたはいつまでも子供扱いなのです」

「すぐに終わるからね~」

「・・・」


 彼女達とは10歳ぐらいの年が離れているためか、年の離れた弟とか甥っ子みたいな感じで接してくる。

 そんな対応に、俺はため息を吐きながら機材が設置された机まで行き、椅子に座ると最初は採血だった。


「ったく、俺の血なんて採っても輸血なんかに使えねーだろ」

「それでも治療に必要なだけの細菌なんかがたくさんいるから100mlだけでも十分な量だよ~」


 人間の体には、100兆個とも言われる細菌が住んでいるらしいがその殆どが腸内や皮膚などに生息しているため、血液内にいることはない。

 理由は、血液内の白血球に細菌が食われるからだが俺の場合は何故か、血液内にも大量の細菌がいる。

 これも八岐大蛇の能力によって発生している出来事で、普段は“常在菌”として血液内を回っているがいざという時は、猛毒を帯びた細菌に変化させてから空気中に飛ばすことができる。


 感染経路は、血液から唾液腺を通って出る唾液などが蒸発して水蒸気となって、大気に触れた時から細菌が活動を始める。

 感染させた細菌の程度にもよるが、最も強力なものになるとたったの数秒で同じ空間にいる人間がくたばる程だ。

 とは言え、無闇矢鱈(むやみやたら)に人殺しをするつもりはないからこうやって採血に参加しているのだが、研究者達によると向こう10年はこの血液の研究に専念しても解決できる量ではないと言っている。


 しかも、生物兵器として人を動けないようにするだけだったらほんの数時間で、全ての細菌が白血球に食べられることから証拠の隠滅もたやすいとのことで、軍事利用に使われる可能性すら出ている。

 そのため、組織として信頼できる研究機関に持って行き、そこで研究をしてもらっているのが現状だ。


 そんな理由で、採血が終了すると織姫がこんなことを聞いてきた。


「ところで今日の予定はどうするんです?」

「午後からは久しぶりに本屋にでも行こうかと思う」

「じゃあ、車を用意させてもらいますね?」

「あぁ、頼む」


 この世界の日本は、俺が想像していた以上に電子化が進んで電子書籍にとどまらず、会社でも社内で使われるツイッターでのやり取りが中心になったことや、自宅から会社の業務を行っているケースが多くなってきているという。

 医療分野などでも、遠距離にいながらも重篤患者の手術を行えたりもして作業の効率化が図られているため、少子化が問題視されている日本ではどうしても人手が必要な業務や伸びしろがある分野に人材を割り振れるようになっている。

 そのため、電子書籍などの発達で実際の紙を使った本を売っている本屋の数が激減したので、残っている本屋に向かうのにも一苦労する。

 世界有数の大都市である東京でも、都心の駅の近くにしかなくなっている。これが地方に行くと、本屋が一軒もないという都道府県まであるのだから、この状況は行き過ぎなのではないかとも思えてきた。


 そんな訳で採血が終了して昼食を取ってから30分後、黒塗りの高級車に乗って都心の本屋へと向かうのだった。



~~~~~~



 某駅 駅ビルの本屋


「・・・」


 やはり、普段から電子書籍を取り扱っているサイトのおすすめ欄にはあまり、出て来ないような本の情報収集は本屋に限る。

 本屋が抱えている本の在庫はそれ程、多くないけど電子書籍が普及した現代においては月に30冊が売れれば良い方なので、問題と言う問題は起きていない。

 現在、どんなジャンルの本を見ているかというとミリタリーや歴史などのジャンルを中心に見ている。

 この世界の日本は、元の世界よりも地盤が安定して地下資源が豊富なために江戸幕府は戦国時代を終わられると、積極的に海外へと出るようになった。


 そのため、当時の清国を経由しなくとも欧米諸国との交流を直接、行うことで最新の技術を輸入していって発展していったそうだ。

 その一方で、海外のずる賢いやり方も積極的に学んでいったために国際交渉の場においても可能な限り、自分に有利な立場になるように水面下での交渉もうまくなっていった。

 その結果、第2次世界大戦の時には連合国側に立ってアメリカやイギリスと共に参戦し、ドイツとイタリアを中心とする枢軸軍と戦いを行って辛くも勝利したとのことだった。


 それらの流れで、現在でも国連の常任理事国の一席に座って国際的な決議に出席している。

 元の世界の日本より、遙かに優位なポジションに立っているがそこに至る経緯で、多数の出血を国内外で強いてきたので手放しには喜べないと考えている。



 それはともかく



 一通り、見て回った俺は必要な情報を回収したので九条さん達にこう言った。


「それじゃあ、帰るか」

「はい」


 俺がそう言うと、俺に付き従っていた九条さん達やその他の護衛の人達はいそいそと動き始めた。

 家に帰った後、俺は欲しい本や新刊などを電子書籍として購入してじっくりと読むのであった。


 そうして、春休み中の一日は終わった。

次回からはようやく、高校に入学します

それに伴って、新しい章に入りますのでよろしくお願いします

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