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転生したらヤクザになっていた!?  作者: 八雲武
第2章 仕事と学生の間で
23/32

第3話 学校生活の合間に

歯科に行って初虫歯。


20数年間、虫歯になったことなんてなかったから軽くショックを受けています(笑)

 週明け 学校


 5月も中盤に差し掛かってくると、これといったイベントがない限りはクラスメイトはそれぞれ、話しやすいメンバーと固まって話していることが多くなった。

 4月だったら、どういったメンバーがクラスメイトになったのかという偵察を兼ねて、色んな人と会話をしていたんだろうが今では話しやすいメンバーで固定している。

 俺のクラスも3~4人、大きくても5~6人ほどのグループができあがっていて、俺もその中の1つのグループに参加している。


 なのはやまどかの他に、井之頭葛葉(いのがしらくずは)如月結(きさらぎむすび)相原真理(あいはらまり)米内真瑠璃(よないまるり)の4人が加わった。

 やはり、男が少ない世界では男に対しての需要は高いらしく、クラスメイトの雄一郎ほどではないが俺に声を掛けたい女性がそれなりにいたのが驚きだった。

 雄一郎の方は、10人ぐらいの団体になっているので完全に別格な感じがするが、この学校には上には上がいることを実感している。

 そいつは3年生のクラスにいるのだが、イケメンで頭がいい上に明るい性格をしているので彼と親密なグループの合計人数が30人を超える。

 頭はよくてもあまり喋らない俺とは正反対の人間であり、皆が憧れる存在なのも頷けるぐらいコミュニケーション力が高い。


 しかし、それはあくまで学校での話。


 裏稼業でシノギをしている俺の情報網によると、学校にいない時間や休日には女性の弱みにつけ込んでお金を巻き上げているらしい。

 本来ならば、正義感に駆られて行動に移すべきなのだろうがヤクザが正義を語るのはそれこそ、世紀末な時代になる他に組織として被害報告が来た時ぐらいだろう。

 只でさえ、暴対法によって警察の監視が厳しくなっている上に、世論的に男性は貴重な資源として扱われているので迂闊に手が出せない。

 手を出すにはそれ相応の状況と費用が必要だし、現段階で学校の人気者が急に行方不明になると不安視する声と同級生を怪しむ雰囲気が出てくる可能性が高いからだ。


 そして、何よりも自分の黒い部分をうまく隠している奴の尻尾を捕まえるのはかなり面倒なので、しばらくは泳がせておこうと思う。

 学校の人気者が、法律を味方につけてしまったらヤクザは立場が弱くなってしまうからな。時期と状況を見計らうのも、裏稼業では必須のスキルになる。

 決して表社会で誇れるような仕事をしていないし、おおっぴらに発言もできないが少なくとも俺や彩葉達、そして母さんが指揮する組織の人のほとんどが自分達の仕事に誇りを持っていると思っている。

 そうでなければ裏稼業を長くはやって行けないし、こうして何事もない平和な学園生活を送ってはいけないだろう。


 ただし、やる時は合法なやり方だけではなく、非合法なやり方も辞さない構えだ。


「いて」

「黒澤君、授業中にあまりボーッとしないで!」

「はい、すみません、先生」


 俺がそう思っていると、チョークが俺の頭に飛んできて先生から注意を受けた。

 それと同時に周囲から笑い声が聞こえたので、少なくとも今は俺や珠緒をヤクザだと言うことを疑いとして持っているクラスメイトは、それほど多くないはずだ。

 変に荒波を立てて、俺や珠緒が学校に居づらくなるような状況を生み出すよりも、相手がボロを出して自滅していく方がよっぽど良い。

 それに、俺個人としてヤクザというものは社会的に見てしまえば、必要悪だという風な考えすら持っている。

 その理由はいくつかあるが、1番大きな要因としては他の地域のヤクザやマフィアとの抗争がしやすいと言うこと。


 これに関しては、暴対法によって組織的に行動の制限が厳しくなってきているので、表立って行動はできないが抜け穴はいくらでもある。

 つまり、規制が厳しくなっている時代であっても平気で人殺しをできる組織であるため、そんな組織がまともな組織だとは思えないからだ。

 そのため、俺は高校に入ってから今まで家族や自分自身がヤクザだと言ったことはないし、正直に言ったところで理解される可能性は低い。


 だから俺は、ほのぼのとした学園生活を送れるように腐心している。



~~~~~~



 夜 都心部


「恵介さん、お疲れ様でーす」

「お疲れーす」


 今日は月に1回、縄張(シマ)の見回りをするので護衛の女性を2人、引き連れて夜の町を歩いている。

 本来だったら、学生のみである俺がこんな道を歩いていていいはずがないんだが、現地調査も兼ねて見て回ってこいという母さんの命令によってやむなく見て回っている。


 そして、そこに広がっているのは昼間とは違った顔を見せる夜の東京だ。


 そこには生真面目な社会人はほとんど見当たらず、欲望に飢えた人達がそれぞれの目的で動いていることが手に取るようにわかる。

 この感覚は先天的に身についたのか、それとも後天的に身につけたのかはわからないけど、裏稼業をしていく上では必須のスキルだろう。

 何故なら、人々の醜い欲望を刺激してお金を巻き上げるやり方は闇金融だけではなく、ヤクザ系統の組織でもやっているからだ。

 そしてそれが、組織としての収入の一部になるのだから複雑な気分にさせられる。


(ははっ、異世界転生したら女の子とキャッキャウフフな夢を見ていた頃の俺をぶん殴ってこう言いたい。「夢なんざ、見てんじゃねえ」って)


 俺の姿を見かけた女性達に声を掛けられて、それの相づちを打ちながらそう考えて歩いていると、1つの店に入っていった。


 カランコロン


「いらっしゃーいってあら?」


 店のドアを開けると客の入店を知らせる鐘が鳴り、それと同時に大人びた女性の声が聞こえた。


「やあ、久しぶりだね」

「いらっしゃ~い。珍しいわね、どうしたの?」

「見回り中に偶然、立ち寄っただけさ」


 俺が入った店はスナックの店であり、顔なじみの人が店主をやっている。


「調子はどうだい?」

「まずまずってところね、ところで何を飲む?ジュースもあるわよ」

「すまん、今日は本当に見回りだけなんだ」

「あら、それは残念ね」


 この店主、名前は竜崎徹雄という名前で男なのだがオネェ系で、野郎なのに女性の色気を出しているから色々と対処に困る存在だ。

 しかし、あくまで同業者としてみてみるとかなりいい人だからアドバイスなんかをもらう時に重宝している。

 只でさえ、男が少ない世界で裏稼業をしているとなると孤独な場合は多いため、彼女(?)の存在は砂漠の中にあるオアシスみたいの存在だ。

 そのため、男性陣からかなりの人気でこの店のケツ持ちは実家が持ち、オーナーが俺と言うほどに重要視している。


 そんな彼女といくつか、会話をして俺は自宅へ帰っていった。

第2章からは学校メインからヤクザメインになっていく過程を書いていこうと思っています。


それでもオッケーという人は今後も読んでもらえたら嬉しいです。

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