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第八話 転生早々、どうやらまたピンチのようです。

たいへん遅くなりました。

フィオーネちゃん、腹黒執事とエンカウントです。


 


 やっほー、フィオーネちゃんでっす☆

 

 現在ジェイドさんに助けてもらって連れて行ってもらった先(なぜかお城)で、王様にといつめられt…げふん、質問されてるなう☆


 って現実逃避してる場合じゃないや。

 それにしても転生早々、私ピンチにしかあってないじゃないか。

 私のLUKは50もあるはずなんだけどな……?

 じゃなくて、今は言い訳考えろ私、記憶喪失って設定なんだろ。

 自分に関してのことはほとんどわからないって答えで大丈夫だよね。

 だからここに来てからのことだけ答えればいいはずだ。



 「えっちょ……ちゅかえたからちゅかえまちた」


 「何か特別な訓練でもしたのか?」


 「わかりましぇん」


 「親が得意だったのか?」


 「わかりましぇん」


 「………家はどこだ?」


 「わかりましぇん」


 「何人家族だ?」


 「わかりましぇん」


 「……両親は?」


 「わかりましぇん」


 「そうか……君の名前は?」


 「たぶんふぃおーね・れんじあでしゅ」


 「多分……いや、いい。好きな食べ物は?」


 「わかりましぇん」


 「好きな色は?」


 「わかりましぇん」


 「……そうか。それじゃあ幼子(おさなご)其方(そなた)はどうやって魔法をつかった?」


 「なんとなく……?」


 「詠唱がなかったようだが?」


 「あい。しちぇないでしゅ」


 「なにをした?」


 「いめーじ?」


 「それだけか?」


 「あい!」



 はぁ、とため息をついた王様はいつのまにか側にきていた執事さん──いつからそこにいたんだろう──からマグカップを受け取ると私に握らせてくれる。


 私の頭をぽんぽんして飲んでもいいぞと言ってくれたのでありがたくご相伴にあずかることにする。

 ほかほかとあったかくて、まだ湯気がたっている。

 中身はホットミルクのようで一口飲むとほんのり甘く蜂蜜の風味がした。

 おいしいくて一気に飲むのはもったいないので、ちょびちょびと飲んでいるとそれをみたジェイドさんと王様に笑われた。

 ………やめて、二人してそんな生暖かい目とかいたたまれないから、高校生にもなってそんな目で見られるとかダメージにしかならないから!!私のライフはもうゼロよ!

 見た目子どもだけど中身は高校s…あ、コ○ンだ。

 


 「それにしても、こんな幼子どうしたんだ? どこぞから攫ってきた?」


 「いやどうしてそうなった!? 何でいつのまに俺が攫ってきたことになってるんだよ!? 俺言ったよな、魔の森から拾ってきたって、言ったろ!?」


 「いやそこに意味はないのだがな……」


 「ってないのかよ…。…ん? どういうことだ?」


 「この幼子、記憶がないだろう?」


 「あ゛っ…」


 「ったく…どう考えたって一番大切なところだろう。いつもいつもどうして一番大切なところを伝えない」


 「うぐっ…」


 

 たったままの私をさりげなくイスに誘導してくれる執事さん。

優しいなぁー、と一瞬思ったんだけどそれもおかしいよね。

 だってこの中で一番偉い王様が座ってないのに私にイスをすすめるとかおかしくない?


 なんか執事さんたくらんでない?

 実はいい人装ってるけどこの人、かなり腹黒いんじゃない?

 ついでに王様至上主義だといいと思うの。 私的に凄く美味しい設定だと思うの。関わりたくはないけど。

 


 「えんりょしとくの。いちばんえらいおうしゃまがしゅわってないのにわたしがしゅわれないの」


 「……っ! ………そうですか?」



 そういうと執事さん──といっても若いんだよ?みため20代前半だ。金髪に澄んだ翡翠色の瞳をもつアイドル系のイケメンさんなのだ──は、驚いた後ににっこりと笑みを深めた。


 ……やっぱりこの人ただものじゃないぞ。

きっと人なつこい笑みを浮かべながら、腹の中では相手の弱点を探ってるような人だ。

 今の質問もきっと試験かなにかだったのだろう。

 

 ……この人は要注意だな。

 


 「へぇ、君は年のわりに頭いいんですねぇ。それでは、7+9は?」



 どうやら試験続行のようだ。私に思惑がバレたと悟ったのかカモフラージュのさり気なさもスッパリ投げ捨てた模様です。潔すぎか。

 お次は算数らしい…って私ってばなめられているんだろうか。



 「16」


 

 勿論、即答しましたよ、えぇ。これは即答しないと私の沽券に関わる。なにせ中身は女子高生。即答できなかったら恥ずかしいレベルです。

 悔しかったら高2レベルの問題でももってきな。


 私が即答するとさらに笑みを深める執事さん。

 残念ながらどんなに笑みを深めても私には効かないぞ。次はなんですか。なんなんですかコラ(やさぐれ)



 「ごめんごめん。そんなに警戒しないで。ほらここお城だからさ、王様いるし……はっきり言って無能なやつはいらないんだよね」


 「……」 



 自分の性格までバレているらしいと悟るとすっかりかぶっていた特大の猫を脱ぎ捨てる。

 えっ、なに? 誰を警戒するなって?

 そんな無茶な。この人を警戒せずして一体誰を警戒すればいいの? 



 「えっと、ほら、言うでしょ、なんちゃらは虎よりも~って。だからさ税金の無駄遣いは………ね、わかるでしょ?」



 ほらみろどさくさに紛れてまた試してきた。何が警戒しないで、だ。

 全然まだまだつづけるつもりなんじゃないか。



 「かせいはちょらよりもちゃけし、でしゅ」


 「そうそうそれそれ!」



 腹黒執事さんがまた笑みを深める。

 ちなみに私は苛性は虎よりも猛し、といったつもりだ。


 そこにジェイドさんと話し終わった王様がきて、私に話しかけてくる。



 「幼子、その男はアコニット・セレストという。執事長をしていて、私の身の回りのことをしてくれているのだ。私の右腕だ。……あぁ、右腕がわかるか? …そうだな、側近のことだ」


 どうやら王様は私が『私の右腕』の意味を理解出来ないものと思ったらしい。心外だ。

 ねぇ王様、普通の子供には側近も通じないと思うよ? 私は中身があれだから通じるけどさ。

 


 「大丈夫ですよ、国王様。この子、状況を把握することに長けているし判断も悪くない。何より、かなり頭が切れるようですし。国王様、この子を僕に教育させてください。立派なメイド(使える駒)にして見せます」

 

 あるぇー? おかしいな。

 立派なメイド、のところが使える駒、に聞こえたぞ?

 ってか、この人の下でなにかを学ぶとかマジ勘弁なんですけど。

 何されるかわからないじゃないか。

 しかもアコニットって、英語でトリカブトのことだぞ、似合いすぎだろ。

 


 「ほぅ……? お前が欲しがるとは珍しい。……だそうだが、どうする幼子」



 って王様ものり気とかやめてください。

 洒落になんないから。いやマジで。

 でもそこで私に選択権をくれる王様嫌いじゃないです。割と好き。オマケで付いてくるアコニットさんがとんでもなくマイナス要素過ぎて総合的に考えてあんまり関わりたくないけど。



 「ていちょーにおこちょわりしゃせちぇしちゃじゃきましゅ」


 「……何故だ? 何も咎めぬから素直に言ってみよ」


 「……こんにゃにちぇもやいちぇもくえにゃいようにゃうみせんやませんのおにーしゃまで、ちゃぶんだけど、おうさましじょうしゅぎしゃで、にっこりひちょにゃつこいえがおでちかづいちぇためしてくるひとがじょうしとかかんべんねがいましゅ」


 「……アコニット、お前は『煮ても焼いても食えな』くて、『海千山千』のお兄様で、『にっこり人懐こそうな笑顔で近づいてためしてくる』人らしいぞ。幼子相手にしくじったな」

 


 クックックッ、と楽しそうに王様が笑うとジェイドさんも笑い出した。



 「あははっ珍しいな、アコニットが正体見破られるとか。あははははっ。そうかそうか、似煮ても焼いても食えないか。なぁ、フィオーネ?」


 「あい、かっこいいおかおにみとれてるとあしもとみられてとんでもないしっぺがえしくらいそうなの。きっとそーゆーひとをげめんにょぼさつにゃいしんにょやしゃっていうの」


 「外面如菩薩内心如夜叉、な」


 「あい! あこにっとさんははらぐろにゃの、きっとまっくろけっけなの!」 


 「……そうか」



 ジェイドさんが私の頭をなでなでしてくれる。

 だから私は高校生だと何度言ったr…………そういえば今は幼児なんだった。

 っていうかジェイドさん、噴き出すの我慢するのはいいけど全然耐えれてないからね、プルプル震えてっからね!

 


 「ところでアコニット、どうしてこの幼子にこんなに嫌われたんだ。女子供を誑かすのはお前の得意分野だろう?」


 「誑かっ……!? …………いえ、ちょっと洗礼がてら試しただけですよ?」



 どうやらアコニットさんは人を誑かすのが得意らしい。

 なんて特技だ。

 そして本人は誑かすという言葉にショックをうけているようだ。いや人を散々試しておいてどうしてショックをうけてるの。

 自覚あるでしょう絶対。

 っていうか、ちょっと? あれでちょとなの? 幼児相手にあの態度しといてちょっとなの?

 


 「おまっ……30歳かせいぜい40歳ぐらいの子だぞ!? そんな子にそりゃないだろ!?」


 「幼子だろうが老人だろうが無能はいらないので」


 

 ジェイドさんの言葉をバッサリ切り捨てるアコニットさん。

 アコニットさんの発言にジェイドさんも頭を抱えている。

 ねぇ、アコニットさんも気づいて!

 王様の顔も引き攣ってるから!

 貴方の大事な国王様も若干引いてるから!!

 


 「……んで、どうだったんだ?」 


 「合格です。満点合格」


 「「はぁ!?」」



 王様とジェイドさんが同時に叫ぶ。

 って王様も? なんでそんなに驚いてんの?

 ってか王様、性格どしたの? どっかに落としてきたの? なんなの? そんな驚くことなの? それより、あんな簡単なのどう間違えろと?

 ちょっと世界が違い過ぎてフィオーネちゃんわかんないや。



 「まず、私が勝手に席を勧めてみたところ『いちばんえらいおうしゃまがしゅわってないのにわたしがしゅわれないの』と言われました。既にこの時、私の性格を見破っての返答かと。その時に警戒されまして……。おまけにその質問で洗礼がてら試されていると悟ったようで、次から警戒されました。次に簡単な計算問題ですね。7+9は、と聞くと間髪を容れず16と答えてくれました」


 「……そうか」


 「なんで、少しレベルを上げて、質問してみたんですけど」


 「……レベルを上げ……いや、何でもない。それで?」


 「即答されました。かなり難しいのをだしたつもりだったんですけど」



 えぇーあれがかなり難しいなんてそんなの嘘だぁ。

 あれ、それともこっちの世界の学問はそんなに発展してないの? まさかの中世レベルなの? まじで?

 あれだね、前世チートできるね。

 するかしないかはさておいて。



 「何を聞いたのだ?」

 

「『ほらここおしろだからさ、王様いるし、

はっきり言って無能なやつはいらないんだよね。えっと、ほら、言うでしょ、なんちゃらは虎よりも~って。だからさ税金の無駄遣いは………ね、わかるでしょ?』っていったんです」



 今更ながら子供に何言ってやがるって感じだな。


 3歳、4歳の幼子にそんな事言って理解出来るわけないだろ。私だから出来たけど。そういえばさっき、ジェイドさんは30歳か40歳のって言ってたな。もしかして年齢のカウントの仕方が違うのかしらん? それともただ単に種族的に成長が人間よりゆっくりなの? でも、ステータス画面には3歳って書いてた気がする。あるぇーる 今度調べてみるか。


 3歳児には到底無理……うん、既に前世チートは始まってた模様。

 ………………自重しなくちゃ。



 「いや、わかるわけないだろ」



 えぇ、ジェイドさん。私もそう思います。

 ごもっともです。本来ならありえないと思います。

 中身が私だったから出来ただけで、普通の子供にはできない所業です。

 普通の子供にそんなこと求めたらギャン泣きされると思います。



 「この子はわかってたみたいですよ? 『かせいはちょらよりもちゃけし』って可愛らしく答えてくれましたから」


 「苛性は虎よりも猛し、な」



 悪かったな滑舌悪くて。

 この体じゃあ、ちゃんと発音できないんだよ。

 っていうか、可愛らしくは余計だ。あと私の言い方の再現すんな。これは精神攻撃だと思っていい? アコニットさん覚えてろよ……この借りは、いつか返す……!! 



 「……それでは嫌われても仕方あるまい」

 


 納得、といった表情で頷くジェイドさんと王様。

 王様が若干呆れ顔なのは気のせいなのか?

 


 「はーあ、侮らずにしっかりしとけば良かった。……ねぇ、今からでもこっち来ない? 可愛がってあげるからさ」



 アコニットさんがしゅんとした顔で聞いてくる。

 そんな顔で罪悪感を煽ろうったってそうはいかないからな。

 それに最後の可愛がってあげるからさって、絶対に前になんかつくだろ。後悔するほど、とか。可愛がるの意味もなんか違う気がするし。



 「幼子……フィオーネとかいったか。其方は何をしたい?」



 王様が私に問いかけてきた。

 ……何を、ねぇ? 何をしようか。

 この世界でやりたい事ならいっぱいある。



 「えーちょ……じぶんのしちゃいことをしいゃいでしゅ。じぇいどさんにおんもかえしちゃい」



 前世ではできなかったことをしてみたい。

 友達と笑い合うとか、何かを協力して成し遂げるとか、そんな平凡なことがしてみたい。

 私を助けて何から何までしてくれたジェイドさんに恩が返したい。

 こんなに人の優しさが暖かいのだと教えてくれた恩を。

 自分に利益などほとんど無いというのに助けてくれた恩を。

 きっと一生かかったって返せやしないけど。

 ジェイドさんの為になにかしたいと思う。 



 「じぶんのたいせつなものをじぶんでまもれるようになりたい」


 

 そして、何より



 「そのために、ちからがほしい。じぶんにかちがほしい。……だから、そのためにべんきょうしたい」


 

 私が王様の目をしっかりと見つめながら答えれば、そうか、と微笑まれた。

 


 「そうか、それならば、頑張らなければならぬなフィオーネ。其方の頑張り、期待している」


 「はい。……だから、わたしにべんきょうをおしえてくだしゃい」


 「よかろう。……ジェイドも良いな?」 


 「……あぁ」



 王様直々にOK(言質)とったどー!

 やったーっ! わたしやったよーっ!!

 とまあ、喜ぶのはあとにして……。

 


 「あい、ありがとうございましゅ。これからおねがいしましゅ」


 

 挨拶するのは基本だよね?




いったい、ほかの小説を書いてるみなさんはどうやって――をつなげてるんでしょうか。私が機械系がダメなだけなんでしょうか………?

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