第九話 お化け屋敷
さてさて、ジェイドさんの騎獣のアイル君に乗ってやってきました私の暮らす場所!!
いえーいどんどんぱふぱふ。
………………って何だよこれ。
手入れが行き届いていない(って言うかされてないっぽい?)大きな洋館と雑草のび放題の広い庭。
思わずこれ人住めるの? って考えてしまったけどしょうがないと思う。
試しにジェイドさんと中に入ってみれば屋根にはあちこちに大穴があいている。最早、屋根としての機能を果たしていないような…?床も私が歩いていてもギシギシ言うしやっぱりあちこちに穴があいている。
……ジェイドさんは1回床板を踏み抜いてたし。
2階に上がるために階段を登のぼろうと手すりに手をかければこっちに倒れてきた。ひえっ。
いや、サッとジェイドさんが両脇に手を差し込んで抱き上げて(というか持ち上げて)くれたおかげで無事だったけどさ。
私はぶらーんとジェイドさんに持ち上げられたまま唖然としてしまった。どんだけボロいんだこの家。
それはジェイドさんも同じだったようで、びっくりしたまま2人して暫く固まっちゃったよ。
………わざと壊そうとしたわけじゃないんだよ? 不可抗力ですとも勿論。
えぇ。………ワタシハ、ワルクナイデスヨ?
「………だれのふところにおさまってるんでしゅかね。はぁ。………それで、これのどこにすめ、と?」
「いや、すまん。流石にこんなところにお前を置いて帰ろうとは思わないから心配するな。俺もちょっとこんな事になってるとは思わなかった」
そんなわけで危ないから2階はやめておくことになりました。
ってかどんだけ古いんだよ。お化け屋敷かよ。
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ってなわけで、またまたアイル君の背中に乗って、文字通り舞い戻ってきましたまたまたお城です!
戻ってきて王様の部屋にまた行ったらアコニットさんに「またお前達か」って言われちゃったよ。
なんだよ! 不可抗力だよ!! しょうがないだろ!!
「今度はどうした」
何なの、ねぇ。問題持ち込むのは確定なの?
こっちはまだひとことも話してないよ? ねぇ、なんで王様わかるの? ねぇ、何で?
「どうしたも何もこの子が住む施設がボロボロで人なんてろくに住めやしないような所になってたから連れて帰ってきた。レオ、あれはいったいどうなっているんだ。手入れなんてまるでされてなかったぞ」
ジェイドさんもボロいとは思ってたんだね。ってかあんなところに住めとか鬼畜過ぎる。お金とかもないのに。自給自足ですかね? 3歳の幼女に? なにそれ鬼畜。
「………ほぅ? アコニット、すぐにギルに調べるように頼め。最優先だと伝えろ」
「畏まりました」
王様、何か纏う空気が冷たいよ!?
なんか怖いよ、王様というか魔王様っぽくなってるよ!? って魔王様だったね! 知ってた!!
………今度から魔王様って呼ぼうっと。
サッとアコニットさんが部屋から出ていくと魔王様はため息をついてこちらを見る。
「…はぁ。…しょうがない。面倒はジェイド、お前が見ろ。昼間は治療班にでも預けておけばいいだろう」
すいません邪魔者で。
ものすごく邪魔で、イレギュラーなのがよく分かります。
「………しゅみません」
「………謝らなくていい。子供が気にすることじゃない」
そんな事言われても迷惑かけてる自覚はあるし。
何なら戻って自炊してもいいんだよ? 大丈夫だよ。
………多分、おそらく、きっと、メイビー………ごめんやっぱ自信ないや。
私が余程しゅんとしていたのか、みかねた魔王様が近寄って私の前に座り込んで頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。
正面から私の目をのぞき込んで大丈夫だと言って安心させてくれた。
魔王様優しいっ! 何処ぞの執事とは大違いだね!!
「そういえば昼は食べたのか?」
ふと思い出したように魔王様が訪ねた。
そういえば食べてないや。お腹空いたなぁ。
「いや、まだ食べてない」
ジェイドさんの返事と同時に私のお腹がぐぎゅるるるぅ~っとなった。
ジェイドさんと魔王様の視線が同時にこちらに向く。
ちょっ、そんな揃って見なくていいじゃん!
「ぶふっ!」
そして噴き出すジェイドさん。
ジェイドさん、れでぃーにむかってシツレイだよ?
「……」
と思ったら魔王様も笑いを噛み殺してたわ。
遠くからならわからないかもしれないけど今私の目の前だからね。私の肩に置いた手が小刻みに震えてるのがよくわかる。
魔王様、おさえれてないからね? 本人にしっかり伝わってるからね? 二人揃ってなんなの? いじめなの? 私3歳なんだよ? 泣いちゃうよ?
「………さてと、腹も空いたところだし遅くなったが昼食と行くか。フィオーネ、おいで」
「あい」
わーいお昼ご飯!
……ゲテモノ料理じゃないといいな。
ってご飯に釣られてさっきの事を水に流してしまったけど、私って単純かしら?
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さて、私の足だと遅いので、ジェイドさんにだっこされてやって来ましたお城の食堂!
どんなお料理が出てくるのかちょっとドキドキしてます。
食堂にはいるといろんな色をした服を着た騎士様がいた。
なんでも部隊の色で分けてるんだそうな。
因みにジェイドさんは白部隊。しかもなんと隊長さんなのだそう。
どうりで魔王様なんかにアポなしで謁見できるわけだ。
超エリートさんだったよ………(げっそり)
さて、ここで他の部隊について、きいたことを話しておこうか。
まず一つめ、ジェイドさん率いる白部隊。
この部隊はいわば近衛部隊で王直属の部隊なんだそうな。
エリートの中のエリートって訳だね。
何でも、志願者数がいちばん多いらしいが、受かる人数は少ないらしい。せまき門、ということだね。
二つめは、黒部隊。
王直属の魔術特化型の部隊らしい。
何でも魔王様を守るために日々魔術やら魔道具やらを開発しているんだって。
何でもオタクが集まりやすいのか、お城きっての変人部隊らしい。部隊長さんは常識人で、隊員の暴走を止めることに頭を悩ませているとか。
大変だなぁと思っていたらジェイドさんに、無詠唱なんて離れ技したんだ、お前も行くことになると思うぞって言われてしまった。
なんと! もしかして他人事じゃないの!?
……ごほん、三つめは緑部隊。
此処は医療関係を部隊でこの国の部隊唯一部隊長が女性なんだそう。
どんな人なんだろうなー。美人さんなのかなー?
実はこの部隊、毒なんかも扱っているそうで拷問する時は秘薬やら毒やらを提供するんだそう。
………アレだね、お医者さんって、よく考えたら劇薬のプロだよね。緑部隊怖い。
四つめは黄部隊。
情報関係や外交関係を一手に担う部隊で、なんと部隊長は元王族……先代の王のご子息なんだそうだ。
でも、先王のご子息だから、という訳ではなく純粋に本人の実力で黄部隊隊長という立場を勝ち取った実力者さんなのだそうだ。その外交の手腕は他国からも一目置かれるほどらしい。リアル王子様すげぇ。
因みに今の王は種族が魔王で、魔王とは数千年にひとり、突然現れるいわば突然変異の種族なんだそうだ。
今の王様は元々は侯爵家の次男だったらしい。
しかし種族が魔王の者は王になる決まりであるらしく幼くして王宮に入り帝王学を叩き込まれるんだとか。
現王──私の中では魔王様なんだけど──もそうして王宮に入ったらしい。
……さて、話がそれたが五つめは紫部隊。
暗殺や他国への潜入捜査などをこなすいわゆる影というやつだ。
剣技に加え、隠密や魔術、毒や薬などに関する知識、潜入してもバレない演技力、思わぬハプニングでもカバーできるほどの機転の良さなど求められるものが多く、エリート揃いの精鋭部隊なんだとか。
実は意外にも入隊がいちばん難しい部隊なんだそう。
近衛……白部隊がいちばん難しいと思ってたよ。ごめん紫部隊。
六つめは赤部隊。
王都を警備するいわゆる警邏隊というやつだ。
ここで出世すると白部隊に入隊できるらしい。
必ず、という訳ではないみたいだが。
七つめは青部隊。
この部隊は黒部隊のしたにつく部隊で、普通に王宮勤めの魔術師さん達だ。
ここで頑張ると黒部隊に入隊できるらしい。
例外もあるみたいだけどね。
そして最後の八つめは橙部隊。
各領土に配置される警邏隊のことだ。
ここで出世すると王都の赤部隊に入隊できるらしい。
因みに主にこの八つの部隊で構成されているが、赤部隊と橙部隊は白部隊に、青部隊は黒部隊に、集約される。
基本どの部隊も戦闘できるように訓練されているらしい。
医療関係の緑部隊も、戦いの場では足でまといにならないようにと訓練を受けるのだそうだ。
……お疲れ様です。お仕事頑張ってください。私は無理そうです……。
そして赤部隊、青部隊、橙部隊を除く五つの部隊の隊長さんは王の側近なんだって。
そんなエリートさんのひとりに助けてもらったとか畏れ多くてほかの女性の目が怖いですgkbrもんです。
って私は誰に説明してるんだろうね?
ジェイドさんはたくさんの騎士さんが並んでいるところではなく空いているカウンターの方に歩いていく。
えっ、なんでそっちにいくの? あっちじゃないの?
「こっちは各部隊隊長と副隊長、それから白部隊しか使えないカウンターなんだ。仕事が多いから速く仕事に戻れるように、って配慮らしい」
あれ、顔にでてたかな?
私そんなに表情変わらないと思うんですけど。
ねぇジェイドさん。それってつまり、ゆっくり並ぶ暇があったらさっさと働けってことだよね?
配慮? ねぇ、それほんとに配慮なの?
カウンターにいるお姉さん1一人前と、4分の一人前を頼むとすぐに料理が出てきた。
………良かった、ゲテモノじゃない。
ジェイドさんが私の分も運んでくれて席につく。
椅子だと少し背の高さが足りないからジェイドさんが自分の膝に私を乗せてくれた。
自分の体の前に私の分を置いて、自分の分は横におく。
食べにくいだろうにそんなことまで気を使ってくれるジェイドさん優しいまじ優しい。
「いちゃじゃきまーしゅ」
因みに献立はかたかたパンと、サイコロステーキ、野菜スープ、デザートにベリゴ(苺)とオランジェ(蜜柑)、飲み物はピチレ(桃)のジュースだ。
地球より素材の味が美味しいので普通に食べられるが、日本人の私には正直微妙である。
お肉がパサパサ気味だし、野菜スープはちゃんとスープから野菜の味がしない。
ただの塩辛いお湯だ。
パンも酵母がないのか硬いしね。
これはお料理改革が必要か…? なんて考えながらご飯を食べる。
ちょっと今の体には多すぎて四分の一人前の半分でギブアップした。
残りはジェイドさんに食べてもらった。
かたじけない…。
「ごちちょうしゃまでちた」
ジェイドさんが食器を返しに行くあいだ私は椅子の上で待機です。
返しに行こうとしたらそんなちんまい身体でそのへん歩いたら蹴飛ばされるぞ、と言われたため辞退させて頂きました。
椅子の上で待っているんだけどこの体はまだ幼いからね。
眠いのですよ。子供はお昼寝の時間なのです。
ジェイドさんが帰ってきたときには既に瞼が半分以上下がっていた。
それでも眠気に抗おうとしているとジェイドさんが私を抱き上げていいリズムで背中をポンポンしてくれる。
寝てていいぞ、と言われたのをきっかけに私はあっさり睡魔に敗北したのだった。
おやすみなさい。……ぐぅ。




