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13話

「さて、まだ1時間ちょっとか。せっかくのオフコラボだし、なんかやろうよ」


「そうね。マシマロ消化雑談でもする?」


「ゆりゆりASMRとかどうかな!」


「未成年いるから却下」


「ちゃんと全年齢だって!」


「妹の前で出来るかそんなの!」


…え、このふたりってやっぱそういう関係? ラブホ中継もそういうこと??

やば、どきどきしてきた。


「ちょ、違うからね!?」


「あは、そこで焦ると墓穴だぞれんれん」


『てぇてぇ』

『こういうのもっとちょうだい』

『密室に女3人、なにも起きないはずもなく』

『そういやお嬢、罰ゲームまだやってなくね?』

『最下位だったもんな』


あ、テトぷよ最強決定戦のやつかな。

そう、お姉は最下位だったのだ。トーナメント戦だったんだけど、初戦で優勝者の紫上さんとあたって競り負け、その後の敗者復活戦とかでも勝てずに見事最下位。

決してお姉が弱かったわけじゃないんだけどね。紫上さんや他の先輩ライバーがガチすぎた。


「…そういえばあったわね」


「なんだっけ罰ゲーム、面白いやつ?」


「…ホラゲ配信」


「え」


ホラゲかあ。お姉は苦手なんだよね。どのぐらい苦手かっていうとバイオブラッドとかハンターズムーンでも進行不能になるレベル。


『双方に地雷やんけぇ!』

『放送事故不可避』

『鼓膜の替えまだ届いてないんだけど』

『脳で感じられるようになってからが本番や』

『ワイン用意してくるね』

『愉悦部員もいますよと』


この様子だと獅子森さんも苦手なんだね。


「あ、でもほら、今からだと準備もあるし遊んでも時間かかるだろうし、今度でよくない?」


「そうそう、買うところから始めなきゃいけないからね、うん今度にしよう」


「碧鬼3でいいならあるよ?」


「「ちょっと!」」


『まさかの裏切りw』

『敵は身内にいたか』

『魔王からは逃げられない』


いや、どうせやらなきゃいけないなら私とか獅子森さんがいるときにやったほうがまだ気が紛れない?



碧鬼、まぁ説明不要のホラゲだよね。追いかけてくる碧鬼から逃げたり隠れたりしながらギミックを解いて脱出を目指す鬼ごっこ+脱出モノの金字塔で、今日遊ぶのは3作目。

碧鬼のデザインがまた秀逸なんだよね。デザイン自体は複雑というわけでもないのに、絶妙な怖さとキモさを兼ね備えてる。

配信画面をいったん待機画面に変えてもらい、Streamのアカウントを私のでリログして碧鬼をインストール。容量自体は軽いゲームだから5分かそこらで終わった。


「……というわけでね……ここからは碧鬼配信に切り替えてやっていきます…」


「みんなたくさんコメントしてね、お願いだから。ほんと、マジで」


『お嬢の声がお通夜で草』

『レオナ必死w』

『さっきまでのテンションはどこに』

『ほんとに嫌なんだなw』

『まぁ罰ゲームですしおすし』


うーん、どんよりしてるな。まぁ苦手な人はとことん苦手だからね、ホラー。


「名前…なんにしよっか…」


「なんでもいいよ…」


「じゃあ忠介にするね…」


「お姉ホント好きだねそれ」


『同心かな?』

『酒強そう』

『? なんか元ネタあり?』


ちなみにお姉が好きなのは二代目吉右衛門さんVerである。



さて、ゲームが始まった。操作は罰ゲーム対象のお姉。

お約束どおり、主人公とその仲間が廃屋に迷い込み、閉じ込められて仲間が散り散りになるところからスタートだ。今回の舞台は山奥の廃校だね。

主人公…忠介は校舎を探索するうち、生物室に迷い込む。そこで碧鬼と初遭遇となったんだけど


「「ぎゃああああああああ!!!!!????」」


「え、うっさ」


絶叫とともにのけぞってコントローラーを放り出すお姉。当然碧鬼に追いつかれてゲームオーバー。


『鼓膜ないなた』

『¥2000 鼓膜代』

『わかっててもビビるわ』

『碧鬼はいつものデザインなのな』

『初見だけどこれは怖い』

『ワインが旨い』


「はー、はー、はー、きっつ…」


「ちゃんと逃げてよーレン。ゲームオーバー画面のドアップ怖いんだって」


「一緒に叫んでたあんたに言われたくないわ!」


大丈夫かな、これ。



その後リトライを繰り返すこと数回。コントローラーを落とさないまでもパニックで操作が覚束ないお姉に変わってここだけ私が操作することになった。

机の隙間を縫って碧鬼を撒きつつ奥にある鍵を取って生物室から脱出。絶妙に障害物とかあるから正確な操作が鍵。まぁ序盤も序盤なのでそこまで難しくはない。てか相変わらずこの独特のキュッキュッみたいなBGMは焦りと怖さを煽るなあ。ほんとよくできたゲームだ。


「はい、出られたよ。交代交代」


「もーあんたやってよ…」


「それじゃ罰ゲームにならないでしょ」


『ドSw』

『さすが魔王』

『妹ちゃん怖くないの?』


「びっくりはしてますよ」


「強い…」


「あんた昔からこういうの平気だったものね…」


まぁ、ゲームだしね。現実のほうが怖いものはもっとあるし。口には出さないけど。



コメントでも「とりあえず進めて欲しい」との声が多く見られたので、どうしても詰まる場合は私が操作していいことになった。まぁずっと同じシーンだと飽きるしね。それに、流石にかわいそうだし。

あとヒントというかギミックも詰まったら解説していいことになった。といっても私も3はまだ未プレイなんだけど、まぁこの手のゲームは大体パターンがあるので推測することはそこまで難しくない。


「あ、その鍵とったらたぶん鬼が来そう」


「え」


「心の準備ヨシ…わああああほんとにきた!!!」


「逃げて逃げて逃げて!!」


「えちょちょちょこの椅子邪魔じゃま!!」


「来てる来てる来てるってーーー!!」


「いったん戻って…あ、だめだね」



「「ぎゃああああああああ!!!」」


『悲鳴に色気の欠片もねえw』

『大人系女性V事務所の社長の姿か、これが』

『事件ですか事故ですか!』

『やべ窓開いてた』

『通報不可避』

『¥2000 ワインうめぇ』

『何杯目だよ愉悦部ニキ』



「ちょてととてと待って!」


「なななんなんで!? 急に出てきたよ!?」


「ランダムエンカウントかな?」


「言ってよ! 事前に!!」


「いやランダムなんだって」


「ちょコメント絶えてる絶えてる! もっと賑やかして! 紛らわさせて!」


『…』

『…』

『…』

『スン…』

『ワインうめぇ』


「わざとらしく黙るなァ!」



その後なんのかんのあって初期エリアの1棟をクリアし、渡り廊下を渡って体育館、プールを経由して(どういう構造の学校なんだ?)最終エリアの第2棟の3Fまで来た。あとはここから屋上に行ってクラフトで作ったロープで脱出するだけ、なんだけど。ちなみに半分以上は私が操作してたと思う。


「え、ドア開かないんだけど!?」


「え? え? なんか見落とし?」


「やば来てる来てるあーーっ…」


ゲームオーバー。

あー、これは例のやつだな。シリーズファンならお馴染みのやつ。


「これは、アレだね」


「アレってなに…?」


「山場だし、あえてのノーヒントでどうだろう」


「「ちょっと!?」」


『やはりドS』

『あーあれね』

『まぁシリーズファンならすぐわかる』

『アレか、美味しいよな』

『白米によく合うんだよな』

『¥300 ほどほどで勘弁してあげてw』

『¥3000 妹ちゃんは理解ってるな。ワイン飲むかね?』

『未成年に勧めるなw』


「とりあえずやり直すけど…なんか見落としあった…?」


「わかんない…えーなんだろ」


さて、どれぐらいかかるかな。



リトライを繰り返すこと30分。ギミックは解けていない。

流石に二人とも疲労困憊になってきたし、空気的にもちょっとダレが入る頃合いだ。

ここら辺が引き際かな。


「もう進めていいですよね?」


『うん』

『いいと思う』

『ちょっとかわいそうになってきた』

『ワイン1本空けたしええで』

『酒の味とはこれほど化けるものか』

『愉悦部が増えとる…』


「じゃ、お姉。とりあえずドアまで行って」


「ドアまで?」


「うん」


ランダムの碧鬼を撒きつつ(だいぶ慣れてきた感ある)ドアに到達。この時点で確定の鬼が後ろから迫ってきている。

調べると「開かない」と表示されるんだけど


「連打して」


「え、こう? ………開いた!?」


「来てる来てる! 早く入って!!!」


何度も連打すれば開く、というギミックでした。ここまでフラグ管理を徹底してきて、伏線なんかも丁寧に貼ってきたゲームで唐突にこのノーヒントギミックだもんね。これは難しい。しかもプレイヤーが鬼の対処に慣れてきて少し安心したところにこれ。いやー凄いゲームだ。


「答えは連打する、でした」


「わ…」


「うん?」


「「わかるかァァァァァ!!!」」




今日も面白かった。配信って楽しいなあ。

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