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8話

「「にこぷれゲーマーズ!はっじまっるよー!!」」


『きちゃぁぁぁぁ』

『わーい!』

『のりこめー』

『生きがい』

『待ってました』



「みんなーやっほ~、にこっとぷれい3期生、お嬢様ギャルの緋影レンです。今日もゆるっとよろしくね」


『やっほー』

『やっほー』

『きゃーお嬢ー!』

『姐さんお疲れサマッス!』

『お勤めご苦労さまです!!』


「誰がヤ◯ザじゃコラ。ゆるっと言うとろーが。じゃー次ー」


「皆さん、こんばんは。にこっとぷれい3期生、紫上 柚葉(しじょう ゆずは)と申します。今宵も、あなたの心にそっと咲けますように」


『柚葉様ー!』

『今日もお美しい』

『安らぐ声』

『これが清楚だ。見習えお嬢』

『お嬢と並んでると柚葉様の清楚ぷりが際立つな』


「言いたい放題の組員どもはあとで説教なー。はい、今週も始まりましたー、にこぷれゲーマーズとは、私達ゲームに疎い3期生ふたりが、各方面のゲームの達人をゲストに招いて、ゲーム配信を少しでも楽しいものにするため、様々なゲームテクニックを教えてもらう番組です。目指せ、プロゲーマー!」


「ゲーム有識者の皆さんのご意見もお待ちしております。コメントでたくさん、私達にゲームのことを教えて下さいね」


『まかせろり』

『有識者頼むぜ』

『お嬢からのお説教…トゥンク』

『何気にゲーマーにも注目されてるんだよなこの番組』

『普通にプロゲーマーとかゲストに来るしな』

『にこぷれの謎のコネ力』


「今週のお題は”ぽよぽよvsテトリス”です!来週末ににこぷれ内最強決定戦があるので、その予習ですね!」


「落ち物パズルの2大巨頭同士の対戦ゲームですね。わたくし、落ち物は少し自信があるんですよ、ふんす」


「お、言ったなー。最強決定戦は概要欄ににこぷれ公式でやる開会式のリンクがあるから、事前高評価と通知オン、そしてチャンネル登録よろしくお願いします!」


『柚葉様かわええ』

『お茶目なとこもすこすこ』

『通知オンおっけーです』

『テトぽよの有識者っているのかよw』

『我有識者だがまずはそっと後方腕組み』

『実在した!?』


「じゃあ早速、今回のゲストを紹介しますね!はい、挨拶どうぞ」


「えー…皆さんこんばんは。緋影レンの妹です」


…どうしてこうなった?



紫上柚葉(しじょう ゆずは)。にこぷれ3期生でお姉こと緋影レンの同期。平安時代からタイムスリップしてきたお姫様で、帰る手段を見つけるまで現代社会のことを勉強中、という設定。モチーフはまんま紫の上だろうか。デコ出し姫カットの清楚系和風美人で、衣装も十二単衣…ではなく淡い紫の和服。麻呂眉が御愛嬌。性格も見た目通りおっとりはんなりだが京言葉は使わないもよう。

最大の特徴はアルファ波含有率120%とか言われているその声で、雑談を聴いているだけで不思議と眠気が誘われるんだとか。

その声を最大限生かした囁きASMR配信は、女性Vtuberにありがちなセンシティブ要素やイチャラブといったあまあま要素が無いにも関わらず、リスナーの性別を問わず絶大な人気を誇る。

…というのが事前にお姉から聞いた情報。実際話してみたらまぁその評価もわかりみというか、体感したというか。打ち合わせで眠気を誘ってくるのは最早軽く兵器なのでは…? とりあえずその場でチャンネル登録して通知オンにした。

あとお礼言われた。彼女も例の騒動でチャンネル登録伸びたらしい。風が吹いて桶屋が儲かるみたいな原理だろうか?


で、にこぷれゲーマーズに戻るんだけど


「これ私要る?」


『妹ちゃんきたあぁぁぁぁぁ』

『まさかここでも声が聞けるとは』

『誰?』

『れんれんのリアル妹さん』

『神プレイでバズってた子』

『立ち絵もないのか』


すまんね、私はVtuberってわけではないのよ。


「いやあ、あたしもどうかと思ったんだけどね…」


「テトぽよの有識者さん、さすがの弊社のコネでも見つからなかったのですよね…」


「あー…」


正確にはいることはいたけど共演はちょっと…みたいな人ばっかだったらしいけど。


『まぁそうよね』

『パズルゲーはねぇ』

『コメの有識者ニキ出ろよ』

『我有識者だけど推しと直接会話とか畏れ多い…』

『口調の割にヘタレで草』


「まぁ、我が妹なら大丈夫でしょう。ゲーム上手いし」


「それはともかく、えっと、とりま1回対戦してみるってことでいいのかな」


「そうですね、ではわたくしから」


「わかりました」


「ふふ、先程も申し上げた通り落ち物パズルには一家言あります。負けませんよ?」


「はい、お手柔らかに」


ここまで台本通り。

さて対戦開始、と。私がぽよぽよ側だね。



「………」


「あー、えっと」


あかん、やり過ぎた。いやお姉が全力で行ってよしって裏でメッセ送ってくるから…


『まさかの10タテ…』

『しかも1戦につき3分も経ってねえ』

『虐殺ショーかな?』

『全滅!?10人の柚葉様が全滅!?』

『トータルで3分は保ってるぞ』

『有識者ニキひとこと』

『我元有識者。冷や汗が止まらん』

『降りてて草』


「ふ、ふふふ…」


「えっと、ごめんなさい?」


「いえいえ、偏にわたくしの未熟故の敗北ですので…あぁ、おレンさん、タイムマシンを用意してくださいますか…30分前のわたくしを黙らせてきますので…」


「いや、ないからね」


『アカァン!』

『トラウマになっとるw』

『戻ってきてーw』


フォローしておくと、別に下手というわけではなかった。自信あるというだけあって、積み方やルート構築なんかもちゃんとしてたし。ただミスのリカバリーに手間取ったり、ちょっと揺さぶりをかけると動揺して視野が狭くなったり、みたいな感じ。


「えっと、お姉ともやる?」


「やらんやらん。あたしまで再起不能になったら配信止まるわ」


「おレンさん!? 裏切るのですか!?」


「いやいや裏切るってなによ。あたしはほら、妹の実力知ってるから」


「地獄にはともに手を取り合って堕ちましょうと約束した同期の絆は…?」


「いつの間にそんな約束が!?」


『キマシ…キマシ?』

『逃げるなーお嬢ー』

『責任はどうとるんですか!』

『説明してください!』

『組員が説明を求めてるんですよ!』


「ええい、うっさいわお前ら。ほら、今のプレイをみて有識者の解説コーナーいくよー」


意外とおちゃめな人だな、柚葉さん。

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